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※2020年11月13日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※2020年11月13日 日刊ゲンダイ2面
【この政権のきれいごとには裏がある】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) November 14, 2020
バイデンに便乗
原発再稼働の悪辣
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/14g9QpMD5N
※文字お越し
福島原発事故の被災者が当たり前の日常を奪われてから9年8カ月。宮城県の村井嘉浩知事が、11日、東北電力・女川原発2号機の再稼働に同意した。東日本大震災の被災地では初めて。未曽有の事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉としても全国初となる。
政府から再稼働への同意を要請されたのは今年3月。たった8カ月で、くしくも「3・11」の月命日に表明したスピード同意は消極的な容認の積み重ね。「なし崩し」以外の何ものでもない。
女川原発は大震災の震源地に最も近い原発で、地震の揺れと津波で被災し、一部電源を失った。過酷事故をギリギリ免れたものの、傷だらけとなった原発の安全性については当然、より慎重な検証が必要となる。
ところが、原発が立地する宮城県、石巻市、女川町の3首長は原子力規制委員会の審査合格と、それを追認した県有識者検討会の報告を基に同意をゴリ押し。特に事故の影響が大きいと予想される半径30キロ圏内の5市町の不安の声にも耳を傾けず、結論を急いだ。
9日の県内の市町村長会議では賛否に悩む首長もいたのに、村井は会場の拍手をもって「総意」とみなし、わずか2日後には同意を表明。住民の不安を代弁する場を単なるセレモニーにおとしめたのである。
拙速かつ無謀な将来への責任放棄
その上、事故時の避難計画の実効性も置き去りのまま。30キロ圏内で暮らす約20万人が事故時に避難に使う道路は、昨年の台風19号によって冠水や土砂崩れが相次ぎ、一部地域は孤立状態に陥った。地元は震災前から県に拡幅を要望してきたのに、いまだ実現しない。予算の裏付けもなく、いつ工事が始まるのかすら決まっていないのだ。
地元紙・河北新報が3月に行った世論調査によると、「安全性に不安がある」として再稼働に反対した県民は6割。
再稼働の是非を問う住民投票の実現を求める署名は11万人以上に達した。これだけの民意を無視したゴーサインは、決して「地元同意」と言えない。
「原発がある限り事故の可能性がある」「事故があったから駄目なら、全ての乗り物、食べ物を否定することになる」などと屁理屈をこね、開き直る村井は正気なのか。
再稼働に同意した2市町は震災で大きな打撃を受け、地域経済の疲弊が激しい。「原発マネー」に期待する気持ちも分からなくはないが、恩恵を受けるのは限られた立地地域のみ。将来的なリスクより、目の前にぶら下げられた利権に依存する姿は、将来に禍根を残すに違いない。
震災の爪痕が残る被災地で始まろうとしている原発再稼働。拙速かつ、無謀な責任放棄の「免罪符」となっているのは間違いなく、菅首相の所信表明だ。「2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロ」とする「脱炭素社会」宣言である。
理想なきマキャベリストの怪しい脱炭素 |
菅に仰々しく言われなくても、「脱炭素」は既に世界の潮流だ。地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」の下、実に120カ国ほどが「50年に実質ゼロ」を打ち出している。
脱炭素に反対なのはトランプ米大統領くらい。そのトランプにひたすら媚びを売り、シッポを振り続けてきたのが、安倍ポチ政権だった。パリ協定離脱を通告した“怖い飼い主”に気兼ねして、「50年に80%削減」と中途半端な目標を掲げ、実質ゼロを目指す時期の明示を避けてきたのだ。
その結果、日本は再生エネルギーの拡大、ガソリン・ディーゼル車の全廃など脱炭素に取り組む欧州や中国の動きに取り残され、もはや「周回遅れ」となっている。今さら菅が「脱炭素」にカジを切ったところで、「50年に実質ゼロ」は極めて高いハードルだ。
2030年に10年比で45%削減しなければ実現はおぼつかないのに、現在の政府目標は「13年度比で26%削減」にとどまる。このままでは実現はほぼ不可能だし、菅が環境問題に熱心だなんて話は聞いたこともない。そもそも本気度自体に疑問符がつくのだ。
「米大統領選でバイデン前副大統領が勝利しそうな流れに乗った“便乗商法”でしょう」と言うのは、高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)だ。こう続けた。
「バイデン氏の看板公約も同じ『50年に実質ゼロ』。大統領就任初日にパリ協定復帰を表明しています。バイデン勝利の可能性をにらみ、“保険”の意味で盛り込んだ政策目標を、今や原発再稼働の方便に持ち出す魂胆は見え見えです。今後は原発を動かすことが、あたかもバイデン政権の意向であるかのように見せかけるのでしょう。懸念すべきは、この国は『対米従属』の風潮が強いこと。『米国が言うなら仕方ない』と脱原発社会を諦める人々も増えかねません。菅首相の『脱炭素』の方便はそこまで見越していると思います」
菅は「私も『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と、大ブームの「鬼滅の刃」の決めゼリフに便乗して2日の衆院予算委員会に臨んだ。その舌の根も乾かぬうちに「温室効果ガス」を「こうしつおんかガス」と言い間違え。脱炭素に本気なら、あり得ないミスで「鬼滅の刃」どころか、単なる「付け焼き刃」に過ぎない。
この政権がうたう「グリーン社会の実現」なんて、きれいごとには必ず裏があるのだ。
狙いは戦後民主主義の全否定
「長年続けてきた石炭火力発電に対する政策を抜本転換」し、その穴埋めに「安全最優先で原子力政策を進める」――。菅が所信表明でにじませた原発再稼働のロジックだ。しかし、30年先に「温室効果ガス排出ゼロ」を目指すには、石炭火力の技術革新こそ現実的だとの意見もある。
「石炭火力によって生じる二酸化炭素を分離、液状化して地中に埋めるなどの技術を確立する道もあるはず。菅首相がその議論を深掘りしないのは経団連が既存原発の再稼働や新増設を推進し、いまだに原子力を最も重要な基幹エネルギーに据えているからでしょう。財界にすれば既存原発を生かす方が、余計なコストを払う必要がない。『脱炭素』を旗印に原発依存を強める菅政権は財界のエージェントに成り下がっています」(五野井郁夫氏=前出)
菅自身は老朽原発の建て替えや新たな原発の増設を否定するが、足元の自民党はイケイケだ。世耕弘成参院幹事長は「二酸化炭素を出さずに大量のエネルギー供給ができる電源は原子力」「原発の再稼働や新しい技術を取り入れた原発新設の検討を進めていくことが重要だろう」と強調。
11日には女川原発再稼働の「地元同意」に呼応するように、党総裁直属機関の「2050年カーボンニュートラル実現推進本部」を立ち上げ、出席した議員たちは「原発の建て替えや新増設の議論を深めるべきだ」と怪気炎を上げた。
むろん、党総裁とは菅のこと。本人は露骨な動きを控え、直属の機関を使って原発依存を加速させるダブルスタンダードも、菅の悪辣、狡猾さを物語る。政治評論家の森田実氏が言う。
「菅首相の本質は『理想なきマキャベリスト』。目的のためなら手段を選ばず、どんな非道徳な行為でもやってのける。今なお原発事故で避難生活を送る人々の思いに配慮すれば、原発の新設などあり得ません。意に介さず原発推進を企むのは怪しい利権はもちろん、別の意図も感じます。広島・長崎の原爆被害が日本の戦後民主主義の原点。トランプ氏が前任者のオバマ的なものを全否定したように、菅首相は戦後民主主義的なものを潰したいのではないか。それもトランプ氏のようなお騒がせ屋と違って、淡々と事務的に進めそうだから、危ういのです」
まなじりを決して菅の後ろ暗さを注視しなければ、この国は誤った道に進むだけである。
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