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大阪都構想 菅首相の政権運営に後々まで響く“維新の挫折” 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/280855
2020/11/05 日刊ゲンダイ
旗印を失いもはや何のための政党なのか(維新の会の松井大阪市長と吉村同府知事=左)/(C)日刊ゲンダイ
「大阪都構想」の賛否を問う住民投票は僅差ながら反対票が上回り、維新の会が掲げてきた看板政策はあえなく臨終を迎えた。私に言わせればこれは当然の結果で、この構想そのものがあまりにずさんだった。
第1に、府と市の二重行政の無駄をなくしたいのであれば、より住民に近いところにある市の権限や財源を充実させて、府のほうを薄くするのが筋ではないか。市をなくすと府が太るというのでは話が逆である。例えば、長く議論されてきた「道州制」が採用された場合には「関西州」ができて大阪府・京都府・兵庫県・奈良県などは消える。
第2に、市を廃止して4つの特別区に再編したとして、それが一体どれほどの財政節減化と行政効率化につながるのかの見取り図は見えておらず、逆に分割したほうが行政コストが増すという試算さえ、松井一郎市長の足元の大阪市財政局から飛び出してきて混乱を招いた。
第3に、仮に大阪でその計算が成り立ったとして、それは全国の政令指定都市にとって望ましい地方分権のモデルになるという普遍性を持つのかどうか。京都府は京都市を解体して京都都になり、神奈川県は横浜・川崎・相模原の3市を解体して神奈川都になるなど、全国あちこちに都が生まれたとして一体どうなるのか。これではますます「道州制」に接合しなくなる。
旗印を失った維新の会は、もはや何のための政党なのか、存在意義を問われる事態に突入した。橋下徹に続いて松井も23年までの任期満了後に政界を引退することを明らかにしていて、都構想で勝利し、その勢いで来年の衆院選で全国政党として躍進、あわよくば自民党との連立に加わろうという野望はついえた。
これは菅義偉首相にとっても打撃で、安倍政権下で何かと隙間風が吹くようになった公明党を牽制し引き寄せておくために維新というカードを活用しようというずる賢い思惑が外れてしまった。
公明党は、次期衆院選で維新の刺客を送り込まれて関西での議席を失うことを恐れて維新にすり寄ったのだが、公明党内にも支持層にも都構想のずさんさに対する強い反発があり、むしろ組織の力を弱めることになった。こうして菅にとっては、学術会議人事問題は政権発足早々の顔面ストレートパンチだが、維新の挫折はボディーブローとして後々まで政権運営に響くことだろう。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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