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※2020年11月2日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※2020年11月2日 日刊ゲンダイ2面
【首の皮一枚残った民主主義】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) November 3, 2020
維新敗北
菅政権はいよいよ窮地
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/jEauEArIcD
※文字お越し
この国の民主主義が首の皮一枚残った――。大阪市民の判断にホッと胸をなで下ろした向きも多いだろう。
1日行われた大阪市廃止・特別区設置の是非を問う住民投票。開票結果は反対69万2996票(50・63%)、賛成67万5829票(49・37%)と、わずか1・26ポイント差で否決された。
この結果を受け、いわゆる「大阪都構想」賛成派の大阪維新の会代表の松井市長は「すべて私の力不足」と語ったが、都構想自体が完全な無理筋だった。どうひいき目に見ても、政令指定都市の豊かな権限と財源を放棄するのはデメリットの方が多い。市民にそう気づかれたのが、維新敗北のひとつの要因だ。
昨年4月の共同通信の世論調査では都構想への賛成は51・5%、反対は28・1%だった。投票が近づくにつれ、反対は急増し、理由は「メリットが分からない」(30・8%=10月26日付毎日新聞)がトップ。前回の住民投票から5年以上も時間はあったのに、賛成派が掲げるメリットは抽象的で「ふわっとした」イメージの域を出なかった。
〈変えるぜ、大阪。〉〈つまりは、シュッとなって、グンなるんや。〉
ミナミの「アメリカ村」に依頼し、維新が街路灯に掲げた都構想の広告旗には、そんな薄っぺらなキャッチコピーが並んだ。しかも、必要な許可を得ず、市の建設局に撤去を命じられるというオチまでつく。これじゃあ、市民を小バカにしているようなものである。
市民を愚弄したイメージ戦術
「結局、都構想にメリットがないから『大阪の成長』『二重行政のムダ解消』というイメージに頼るしかなかったのです」と語るのは、日刊ゲンダイの連載「大阪都構想のまやかし」の著者で、在阪ジャーナリストの吉富有治氏だ。こう続ける。
「『大阪の成長』といっても、具体的な戦略と呼べそうなのは大阪万博とカジノ誘致くらい。都構想自体は何ら貢献しません。賛成派は4つの特別区をつくれば『10年間で約1兆円の歳出カット効果』と某大学のリポートを基にメリットを強調しましたが、まさに『語るに落ちる』です。実現には特別区1つ当たり年間250億円もの行政コストを削る必要があり、住民サービスの低下は避けられない。つまりデメリットにしかなりません」
維新が描く“バラ色の未来”は万事この調子。1日も「みんなに感謝、みんなで前に」と書かれた吉村府知事の写真入りビラを配り、「人気投票」へのすり替えで情に訴えるほかなかった。
この日もマヌケなオチがつく。繁華街・難波で松井は「(吉村との)人間関係で二重行政をなくしたこの10年間で、大阪市は成長した」と発言。「二重行政はない」と自任するなら、コロナ禍に住民投票へベラボーな金と時間と人を費やす必要はあったのか。「アホちゃう?」としか言いようがない。
ドーカツ自慢で気脈通じる権力快感おじさん |
それにしても、政治の醜悪さを「これでもか」と見せつけられた異様な住民投票だった。
5年前の民意をひっくり返した維新の「勝つまでジャンケン」に、まずア然。松井のドーカツもヤクザさながらだ。2年前に2度目の住民投票を巡って公明党と決裂すると、裏で交わした合意書の存在を暴露。「任期中の住民投票実施」の約束をほごにされ、「裏切られた」と公明に激しく食ってかかった。
こんなチンピラ政治家に寝返った公明にも腐臭が漂う。昨年の統一地方選前に知事と市長が任期途中で辞職。イスを入れ替え、任期をリセットする脱法的なクロス選挙で、吉村・松井コンビが圧勝すると、途端に日和ってしまった。
その裏にも維新側の圧力があったとされる。公明にとって大阪は「常勝関西」の牙城。衆院小選挙区から現職4人を送り出している。そこに刺客を立てるゾと、勢いに乗る維新にゆすられ、縮みあがり、都構想「反対」から「賛成」にあっさり変節したのだ。
「公明に罵詈雑言を浴びせる松井氏に対し、『打倒維新』に燃えていた支持団体にすれば、この豹変は受け入れられない話です。支持者の大半は怒り心頭で、組織票が動かなかったのも賛成派が敗れた大きな要因。今後、公明は組織を固め切れなかったことを大阪維新に責められ、大阪の自民には裏切り者と罵られる。大阪の公明はガタガタで国政レベルにも重大な影響を与えそうです」(吉富有治氏=前出)
松井たちは不都合な事実を突きつけられると、メディアや身内の役人にまで牙をむいた。先月26日に毎日新聞が「大阪市4分割ならコスト218億円増」と市の試算内容を報じると、松井や吉村らはまともな根拠も示さず「反対派のデマ」と一方的にわめき出した。
維新の馬場幹事長は国会の代表質問で「毎日新聞の大誤報」と名指しで決めつけ、橋下徹・元大阪市長に至ってはこうツイートする始末だ。
〈大阪都構想に不利な形で在阪メディアが大誤報をしでかした。都構想が可決されればそれでいいが、否決されれば住民投票は無効だろう〉
米大統領選の無効の訴えも辞さないトランプ氏と何ひとつ変わらない。自分勝手な「維新ファースト」ぶりである。
可視化されたパワハラ政治に「ノー」を
業を煮やした松井は、試算を出した市の財政局長を呼びつけ、「世の中に存在しない架空の数字を提供することはいわば『捏造』だ」とゴリゴリ締め上げた。
その後の会見で局長は萎縮し切った表情を浮かべ、試算を撤回。自らの試算を「捏造」「虚偽」と表現した。その2日前には毎日の記事について「きちっと書いてある」と評価していたにもかかわらずだ。
どう考えても、松井が部下の局長を脅し、無理やり「捏造」「虚偽」と言わせた雰囲気がプンプン。誰もが明々白々なパワハラと受け取ったはずだ。コラムニストの小田嶋隆氏はこう言った。
「公明まで『賛成』に巻き込んだ“勝てる試合”に大阪維新が敗れた最大要因は、投票直前に松井代表のドーカツ政治が可視化されたこと。露骨なパワハラが、どっちに転んでもおかしくない勝負を決したのです。大阪市廃止への賛否を維新への信任にすり替えた人気投票が裏目に出ました。維新は『改革』『成長』を標榜しながら、政治手法は古いワンマン気質そのもの。投票前に『デマだ』『大誤報だ』と強い言葉で不都合な事実を覆い隠そうとする姿勢は異常でした。その強圧的な情報操作に、毎日新聞が服従しなかったのも大きい。メディアがしっかり権力と対峙すれば、政治は大きく変えられるのです」
ドーカツ上等のパワハラ政治に民意が屈したら、この国の民主主義はオシマイだったが、大阪市民が辛うじて踏ん張った意味は大きい。
「選挙に勝ちさえすれば『官軍』気取り。やりたい放題のブラック体質は大阪維新も菅政権も変わりません。菅首相と松井代表が親密なのも納得で、2人とも人事権の行使で異論を排除するタイプ。ドーカツ自慢のパワハラ気質で気脈を通じ合っているのでしょう。『既得権益へのやみくもな敵意』と『前例踏襲への一面的な批判』だけで、法の解釈や適正な手続きを無視して権力を行使するのも共通項。その意味では都構想も学術会議の任命拒否も根本は同じで、特に菅首相は権力行使そのものに快感を覚えているフシすらあります」(小田嶋隆氏=前出)
学術会議問題でバケの皮が剥がれた“権力快感おじさん”も、類似系のパワハラ政治に「ノー」を突きつけた大阪市民の民意に青ざめたのではないか。反対派の野党も薄氷の勝利に浮かれている暇はない。せっかくの民意を生かし、いよいよ菅政権を窮地に立たせる足がかりにすべきだ。
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