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※2020年10月31日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大
【ビジョンなき経済政策の目くらまし】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) October 31, 2020
携帯値下げこそ菅政権の危険な本質
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/BwDgfPXnUw
※文字お越し
菅政権の「目玉政策」とされる携帯電話料金の値下げ。総務省が27日に公表した「アクション・プラン」に呼応するように、さっそくKDDIとソフトバンクが新しい料金プランを発表した。
といっても、新料金はKDDIの「UQモバイル」とソフトバンクの「ワイモバイル」の話である。どちらも“格安スマホ”と呼ばれるサブブランドで、3大キャリアーの主力ブランドに値下げの動きはまだない。
拍子抜けもいいところだが、30日の参院本会議で行われた代表質問で、菅首相は2社の値下げ策を評価。「公正な競争環境の整備を通じて料金の低廉化に努める」と、さらなる値下げ実現に意欲を見せた。
対応が注目されているのは、サブブランドを持たないNTTドコモだ。完全子会社化のため、NTTによるTOBの最中で、それが終わるまでは方針を発表できない。
もっとも、NTTには現在、安倍前首相の秘書官だった柳瀬唯夫氏が天下って執行役員を務めている。かつて加計学園問題で「首相案件」と発言した文書の存在が物議を醸した柳瀬氏が、今回も“菅総理のご意向”を踏まえて大幅な値下げを実現するのか。
それ以前に、果たしてこの携帯料金値下げは、本当に国民のためになるのだろうか。国益にかなう政策なのか。
もちろん、料金が安くなることはありがたい。大手3社が市場を寡占している日本の携帯料金が、他国と比較して高いのは事実だ。今や生活必需品の携帯は、家族全員が持っていれば、月々の支払いが家計の負担になる。
しかし、民間企業の料金設定は本来、自由競争で決められるべきだ。社会主義国家なら分かるが、日本はまがりなりにも民主主義、自由主義を掲げているのだから、政府があからさまに民間企業のサービス内容に介入することには違和感がある。
自分が「こうしたい」と思ったら、ルールを無視してでも力ずくでやらせる。携帯料金値下げは、そういう菅政権の危険な本質を象徴しているのではないか。
政権の人気取りで国際競争力を失う可能性 |
「技術革新ではなく、権力を使って値下げを実現させようというのが菅首相らしいやり方です。民間企業を脅して、言うことを聞かせる。すぐ結果が出そうなことに手を付け、ポイントを稼ぎたいのでしょうが、携帯料金が下がれば国民は喜ぶというのは目先の人気取りに過ぎず、あまりに短絡的です。各社は値下げの原資を確保するため、5Gへの投資を縮小せざるを得なくなると言われている。5Gで日本はすでに周回遅れで、米国や中国、韓国の後塵を拝しています。これから巻き返しを図らなければならないのに、設備投資にカネが回らず、5G整備で他国に頼らざるを得なくなれば、かえってコストが高くつく可能性がある。そんな日本を尻目に米中は5Gより速度が50倍速い“6G”の開発戦争に乗り出しているのが現状で、政府の要請で値下げに応じて携帯会社の利益が減れば、国際競争力を失ってしまいかねない。値下げのゴリ押しはあまりに後ろ向きで、成長分野を育てるという発想ではない。長い目で見れば、日本経済にプラスになる政策とは思えません」(経済評論家・斎藤満氏)
携帯料金が「高い」と感じるのは、所得が一向に増えないせいでもある。携帯事業会社に値下げを迫って、刹那の割安感を演出するよりも、国民の所得アップを目指すとか、消費税を減税する方が国の政策としてはまっとうなのではないか。
安倍・菅政権の約8年間で、先進国で唯一、実質賃金が減り続けているのが日本だ。経済アナリストの菊池英博氏の試算によれば、民主党政権時代に516万円だった実質賃金は今年、約470万円まで下がるとみられるという。これは平均値だから、収入が多い一部の富裕層が数値を引き上げている。
国税庁の民間給与実態統計調査によれば、20〜50代の男性の年収中央値は356万円、女性は272万円だ。
携帯料金値下げは、自分たちの失策無策で国民生活が貧しくなっているツケを携帯電話会社に補填させようとしているだけではないのか。菊池英博氏はこう言う。
「菅首相が継承すると宣言したアベノミクスは、異次元緩和でジャブジャブにし、官製相場で株価だけを吊り上げるデタラメでした。大企業はそのぬるま湯に甘え、輸出企業は円安の恩恵を享受するだけで設備投資を怠ってきた。ひたすら内部留保を積み上げ、財務省が30日発表した2019年度の法人企業統計では、前年度比2・6%増の475兆161億円と8年連続で過去最高を更新しました。その結果、新しい成長産業は何ひとつ生まれず、日本の産業はジリ貧になってしまった。日本の強みと言われたものづくりは、すっかり廃れてしまい、国際競争力も失われてしまいました。それで観光立国と言ってインバウンドやカジノに傾注したものの、コロナ禍で完全に裏目に出ています」
学術会議叩きもアベノミクスの負の遺産
世界のリーディングカンパニーの指標となる時価総額を見ても、安倍政権が本格スタートする前の12年はトップ50にトヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループ、NTTがランクインしていたが、最新の20年9月末時点のデータではトヨタがぎりぎり48位に入っているだけ。実態なきアベノミクスがいかに日本の産業をむしばんできたかが分かる。成長戦略なき拡大路線で日本経済はニッチもサッチもいかなくなってきている。
「もはや売るものが何もないから、武器輸出で稼ぐしかないとシャカリキになっている。それが、軍事研究に反対する立場を貫く日本学術会議の任命拒否問題の根底にある。アカデミズムを既得権益に見立て、あえて敵をつくって戦う姿勢をアピールすることが国民に受けるという計算もあるでしょう。学術会議の問題で盛り上がっている間は、他の悪事から目をそらすことができる。コワモテ演出の目くらましにだまされてはいけません」(菊池英博氏=前出)
菅が言いだした地銀再編にしたって、アベノミクスの負の遺産なのだ。異次元緩和、マイナス金利で地銀の経営が立ち行かなくなってしまった。同様に、看板政策としてブチ上げた不妊治療の保険適用も、決して悪い話ではないが、派遣社員の増加、実質賃金の低下で結婚できない若者が増えていることの方が、少子化対策としては根本的な問題ではないか。新自由主義とアベノミクスによる格差拡大の弊害は大きい。不妊治療は必要ないのに経済的な事情で結婚できない、子どもをつくれない国民への支援を「自助、共助、公助、そして絆」と後回しにしている場合なのか。
「そのアベノミクスを継承すると菅首相は言っていますが、やっていることは逆行しています。アベノミクスは2%の物価上昇で実質金利を下げ、企業の投資を促して賃金もアップさせるという理論でした。しかし、携帯料金やGo To キャンペーンのような値下げ政策は物価を下落させる。しかも、Go Toは延長する方向で調整しているという。何の脈絡もないポピュリズムです。Go Toの原資は菅首相のポケットマネーや自民党のカネではなく、税金ですよ。その恩恵を受けるのは生活に余裕のある一部の人だけです。安倍前首相のように大風呂敷を広げるだけのトップも困りますが、ビジョンも何もなく、国民のコストで人気取りをしているだけの首相は、輪をかけてヒドイと思います」(斎藤満氏=前出)
細部に気を取られて全体を見失うことの例えとして、鹿を追う者は山を見ないという言葉がある。方向性を示す羅針盤がなければ、権力を過信して捕まえやすそうな子鹿どもを追っているうち、あっという間に深い森に迷い込んで遭難という事態は十分あり得る。道連れにされる国民はたまらない。
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