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<5>まるで忠犬ハチ公 エリート実動隊・副首都推進局の正体 賛成反対が拮抗 大阪都構想のまやかし
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/280487
2020/10/27 日刊ゲンダイ
大阪市はパンフレット発行でも推進(C)日刊ゲンダイ
大阪市役所に「副首都推進局」という部署がある。主に大都市制度に関する事務を扱い、いわゆる大阪都構想の根幹部分である大阪市廃止と特別区設置を具体化するブレーン的な存在だ。大阪府と大阪市のエリート職員のおよそ40人ずつからなる混成部隊である。
この副首都推進局は、いわゆる都構想を推進する大阪維新の会と公明党にすこぶる評判が良い。逆に、反対派からは「公務員というより維新の外郭団体」「推進派の“忠犬ハチ公”」という不満が強い。それも無理はない。
住民投票(11月1日投開票)を前にして大阪市は、市民の理解が進むよう説明パンフレットなどの広報紙を発行している。編集に携わるのは主に副首都推進局。この広報紙は行政が出す以上、本来なら政治的に公正・公平・中立である必要がある。ところが、その内容たるや、維新のパンフかと見まごうほど。都構想のメリットばかりが強調され、反対派の自民党や共産党が指摘したデメリットの記述はないのだ。
実は、パンフなどに関する大阪市の内部会議で、市の特別参与である大学教授とグラフィックデザイナーから「広報というより広告」「バラ色の表現は避けたほうがいい」と何度も指摘されていた。だが微修正にとどまる程度で、大阪市はまるで馬耳東風。それどころか、副首都推進局の幹部らは「市長の掲げる都構想実現を目指すのが役割」「賛成に誘導するため」と発言していたというから呆れてしまう。
この「誘導」発言は松井一郎市長も「不適切な発言」としたが、市長も「市が都構想を推進する立場で広報を行うのは当然」とまるで反省がない。一事が万事この調子。副首都推進局が「維新の“忠犬ハチ公”」と批判されるのも無理はない。
大阪市を廃止するかどうかの最終判断は大阪市民に委ねられている。行政の役割は「賛成に誘導」することではなく、デメリットを含む情報も示して市民の最終判断を待つことだ。松井市長と副首都推進局の行為は、市民の自由判断を奪っているにも等しい。
政府にしろ大阪にせよ、行政が世論を一方的な方向へと誘導する昨今の日本。危険な兆候だと思って間違いない。
吉富有治 ジャーナリスト
1957年、愛媛県生まれ。大阪在住。金融専門誌、写真週刊誌「FRIDAY」の記者などを経てフリー。地方自治を中心に取材し、テレビのコメンテーターや雑誌などに寄稿。著書に「大阪破産からの再生」など。
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