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安倍前首相が徴用工問題で「ファクト示すのが一番」とツイートし「お前が言うか」のツッコミ殺到! 徴用工めぐる主張自体もフェイク
https://lite-ra.com/2020/10/post-5682.html
2020.10.25 安倍が徴用工問題で「ファクト示すのが一番」とツイートしツッコミ殺到 リテラ
安倍晋三フェイスブックより
持病の悪化を理由に辞任してたったの1カ月しか経っていないというのに、東京五輪組織委の名誉最高顧問就任や細田派の政治資金パーティへの出席など、すっかり元気な様子の安倍晋三・前首相。辞任前後から読売新聞や日本経済新聞、産経新聞、日刊スポーツなどメディアの独占インタビューに応じ「健在アピール」に余念がないが、一方、ネトウヨや極右といった熱烈支持層へのアピールも目立ってきた。
実際、安倍前首相は辞任後、すでに2度にわたって靖国神社を参拝しているが、23日には〈昨日、産業遺産情報センターにて長崎県の端島(通称軍艦島)の元島民の皆様とお話しする機会を得ました〉とツイート。こうつづけている。
〈世界最大の人口密集率といわれた当時の端島での生活をものがたる様々な資料が展示されておりましたが、その中に台湾出身の徴用工である鄭新発さんが大切に残していた給料袋(給与+ボーナス)がありました。〉
そして、産業遺産情報センターに展示されている「戦時中の長崎造船所 徴用工に支払われていた給与+ボーナス」といった展示パネルの写真を貼り付けた上で、安倍前首相はこのように綴ったのだ。
〈鄭新発さんに感謝したいとおもいます。当時の彼らの労働に対する待遇が本当はどうであったかを物語る貴重な資料です。
いわれなき中傷への反撃はファクトを示す事が一番でしょう。
コロナ禍の中、入場者数が制限されていますが、是非多くの方に来館していただきたいと思います。〉
「いわれなき中傷への反撃はファクトを示す事が一番」──。つまり安倍前首相は、強制動員・強制労働され差別的な扱いを受けたと訴えている元徴用工の証言を「いわれなき中傷」などと言い放ち、その展示を「ファクト」だとし、“徴用工にもしっかり給与やボーナスが支払われていた”“徴用工は強制的に動員された被害者ではなく対価が支払われていた労働者”だと主張したのである。
森友・加計、「桜を見る会」問題などで、さんざん「ファクト」を隠蔽し、捻じ曲げてきた人間が何を言っているのか。
この安倍前首相のツイートに対し、SNS上ではこんなツッコミが溢れた。
〈安倍晋三サンから「ファクト」という言葉が出てビックリ。昭恵夫人が騒いだことが原因で公文書を書き換えさせてファクト捻じ曲げてましたやん〉
〈森友、加計、桜を見る会疑惑全てでファクトを何一つ示してこなかった奴が何言ってんの?〉
〈安倍さん、その通りです。モリカケ桜全てアナタの疑惑にまつわるファクトを示してください〉
〈ファクトを隠蔽してきたあなたが、言うことですか?安倍さん、森友も加計も、桜を見る会も、何も終わっていませんよ〉
まったく指摘のとおりだろう。「いわれなき中傷への反撃はファクトを示す事が一番」と言うのなら、いまだ出てこない森友問題の籠池泰典氏が近畿財務局職員に安倍昭恵氏との写真を見せた2014年4月28日の応接記録や、赤木俊夫さんが改ざんの経緯を詳細にわたって記録したというファイル、「桜を見る会」前夜祭の見積書や請求書など、安倍前首相の鶴の一声があればすぐに出てくるだろう「ファクト」をまずは出すべきだ。
■徴用工の強制連行や賃金のピンハネ、不払いなどを示す証言や公文書が
しかし、このツイートが問題なのは、そういうブーメラン話だけではない。それ以上にあらためて強調しておかなければならないのは、今回、安倍前首相が挙げている資料が、徴用工の差別的待遇や強制労働を否定する「ファクト」ではけっしてないということだ。
安倍前首相は台湾出身の元徴用工の給与袋や賞与袋の展示を紹介し、すべての徴用工が日本人と同じ待遇であったかのように喧伝しているが、実際は、日本人と同程度の報酬をもらっていた徴用工がいた一方で、劣悪な条件で働かされたあげく、給与をピンハネされたり、未払いのまま踏み倒された徴用工が多数いたことは、数々の証言や記録からも明らかになっている。
たとえば、端島(軍艦島)に連れてこられ、過酷な労働をさせられた崔璋燮(チェ・チャンソプ)さんは2010年の市民団体によるインタビューのなかで、その労働や生活をこう語っている(長崎在日朝鮮人の人権を守る会・編『〔増補改訂版〕軍艦島に耳を澄ませば 端島に強制連行された朝鮮人・中国人の記憶』社会評論社)。
「石炭を掘り出す仕事、採炭だ。わずか一週間だけ採炭現場を見学させて、仕事に就かせた。一番方、二番方、三番方というふうに三交代で一日一六時間労働のときと、二交代で一日一二時間労働のときとあった。一度に四〇人ずつ、坑口から三、〇〇〇尺もの地下にものすごいスピードで降下して、身の縮む思いがした。現場は暑くて汗だくなので、一年中、褌一丁で働いた。〔中略〕汁かけ飯一杯食っただけで長時間働くのだから、みんな栄養失調状態になった。仕事が終わって、七メートルはある防波堤の上に毛布を敷いて体を休めていると、脚が痙攣を起こした。『俺、死にそうだ』という呻き声も聞こえた。しかも賃金をもらったことはない。私の記憶は確かだ」
また、当時、徴用工の実態を調査報告していた内務省管理局・小暮泰用の「復命書」には、山口県下沖宇部炭鉱労務者967人の徴用工は〈一人平均月76円26銭の内稼働先の諸支出月平均62円58銭を控除し残額13円68銭が毎月一人当りの純収入〉だったという記述もある。
ようするに、安倍首相の挙げた給与袋は徴用工の劣悪な労働を否定するなんの証拠にもなっていないのだ。
しかも、安倍首相は元徴用工の人びとが証言している強制動員・強制労働や差別的な扱いを「いわれなき中傷」などと決めつけているが、この主張こそがフェイクだ。
戦時中の朝鮮人強制連行は当事者の証言だけではなく、公文書を含んだ史料がいくつも残っている歴史的事実だ。たとえば、1944(昭和19)年4月13日付の朝鮮総督府の官報には、政務総監だった田中武雄による訓示にこう記されている。
〈官庁斡旋労務供出の実状を検討するに労務に応ずべき者の志望の有無を無視して漫然下部行政機関に供出数を割当て下部行政機関も亦概して強制供出を敢てし、斯くして労働能率の低下を招来しつつある欠陥は断じて是正せねばなりません。〉
さらに、前出の内務省管理局・小暮泰用の同年7月31日「復命書」には、〈徴用は別として其の他如何なる方式に依るも出動は全く拉致同様な状態である/其れは若し事前に於て之を知らせば皆逃亡するからである、そこで夜襲、誘出、其の他各種の方策を講じて人質的略奪拉致の事例が多くなるのである〉とも書かれている。
■〈意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいた〉と説明していた日本政府
「ファクトを示す」というなら、〈志望の有無を無視〉〈全く拉致同様〉〈人質的略奪拉致〉の〈強制供出〉であったことを認めるこれらの公文書の内容こそが「ファクト」ではないか。
だいたい、徴用工を強制動員したことは安倍政権下でも認めていた事実なのだ。安倍前首相は軍艦島(端島)も含まれている「明治日本の産業革命遺産」をユネスコの世界遺産にゴリ推した張本人だが、2015年の世界遺産委員会では、日本側は朝鮮人徴用工について〈その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいた〉と強制動員だった事実を認め、〈第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる〉(内閣官房「産業遺産情報センターの在り方等について(第一報告書))」)と約束していたからだ。
だが、こうして国際機関と交わした約束を、安倍政権はその後、反故にするという下劣な手に出る。2017年、日本側がユネスコへ提出した「保全状況報告書」では、朝鮮人徴用工について〈戦前・戦中・戦後に多くの朝鮮半島出身者が日本の産業の現場を支えていた〉という記述で、強制連行や過酷労働の実態を矮小化。そして、2019年に出された「保全状況報告書」では、朝鮮人徴用工について一切触れなかったのだ。
それだけではない。今回、安倍前首相が訪れた産業遺産情報センターは、前述した世界遺産委員会において〈徴用政策を実施していたことについて理解できる措置を講じる〉として設置を表明していたものなのだが、今年6月にいざオープンしてみると、徴用工の置かれた過酷な状況を説明するどころか、まったく逆になっていた。
同センターでは軍艦島や長崎造船所、八幡製鉄所など登録された23資産とともに、「国民徴用令の官あっせん、徴用、引き揚げについて理解できる5文書」をパネルで列挙しているが、その説明は通り一遍のものにすぎず、隣には徴用工問題は解決済みとアピールするかのように1965年の「日韓請求権協定」の全文まで掲示。さらに、同じ部屋では軍艦島の元島民らのインタビューが紹介されているのだが、徴用工が受けた差別などを証言するものではなく、逆に、父親が軍艦島炭鉱で働いていたという在日韓国人2世の「いじめられたとか、指さされて『あれは朝鮮人ぞ』とは全く聞いたことがない」という証言が紹介されているのである。
世界遺産への登録という目的を果たした途端、強制動員の事実を伝えるという約束を破り、むしろ歴史修正に利用する──。信じがたい話だが、しかし、これこそが安倍前首相がそもそも「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産化にこだわった理由だった。
■歴史修正目的で幼馴染みの女性とともに「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産化を目論んだ安倍首相
「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産化は「一般財団法人産業遺産国民会議」なる団体が登録運動を担ってきたのだが、この団体には安倍前首相のお友だちの右派人脈がずらりと顔を揃えている。名誉会長の今井敬・経団連名誉会長は、安倍首相の側近中の側近だった今井尚哉・前首相秘書官の叔父、理事には日本会議福岡の元名誉顧問で前NHK経営委員長の石原進・JR九州特別顧問、フジテレビ取締役相談役の日枝久・前会長、さらには加計学園問題でも名前が挙がった元内閣参与の木曽功・千葉科学大学学長。しかも、徴用工問題で訴えを起こされている三菱重工業の飯島史郎顧問や、新日鐵住金の林田博顧問なども名前を連ねていた。
そして、専務理事として同団体を実質的に仕切っていたのが、この産業遺産情報センターのセンター長におさまり、「約70人の元島民へのインタビューで、虐待を受けたという証言はなかった」などと言い張っている加藤康子氏だ。
加藤康子氏は2015年12月から2019年7月まで内閣官房参与を務め、「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録の“陰の立役者”などと呼ばれているのだが、この康子氏と安倍前首相は“幼なじみ”で家族同然の深い関係にある。康子氏は故・加藤六月元農水相の長女なのだが、加藤氏は安倍前首相の父・晋太郎氏の安倍派四天王の筆頭で、康子氏の母は安倍前首相の母・洋子氏と“姉妹”のように親しかったというのは有名な話だ。また、康子氏は安倍前首相の側近で、厚労相として新型コロナ対応で大失敗しながら菅政権では安倍前首相の口利きにより官房長官に抜擢された加藤勝信氏の元婚約者でもある(勝信氏はその後康子氏の妹と結婚したため、義理の弟にあたる)。
「週刊新潮」(新潮社)2015年5月21日増大号に掲載された彼女のインタビューによると、自民党が野党に転落していたころ、安倍氏は「明治産業遺産」の世界遺産登録への熱意を語った康子氏にこう語ったという。
「君がやろうとしていることは『坂の上の雲』だな。これは、俺がやらせてあげる」
そして、安倍前首相は総裁の地位に返り咲いた3日後、彼女に電話をかけ、「産業遺産やるから」とその決意を語ったという。
つまり、そもそも「明治日本の産業革命遺産」は安倍前首相とそのお仲間が大日本帝国を美化する歴史修正主義を推し進めるためにはじまったプロジェクトであり、ユネスコという国際機関に「世界遺産」と認めさせることでその歴史を正当化し、戦前の負の部分を矮小化することが安倍前首相とお仲間の目的だった。そして今回、安倍前首相は総理を辞めたことで、満を持して堂々と歴史修正の情報発信に動き出したというわけだ。
■都合のいい事実だけを断片的につなぎあわせて徴用工の強制労働を否定する安倍首相
しかし、繰り返すが、戦時中の朝鮮人強制連行は歴史的事実であり、人間の生きた証そのものを記録や記憶から消してしまおうとする歴史修正は、許される行為ではない。
強制連行の実証的研究で知られる東京大学の外村大教授は、こんなことを述べている。
「特に90年代半ばからですね、史料の発掘が進み、いろんな話が出てきました。朝鮮人の待遇が日本人よりよかったとか、自ら望んで来た人がいたとか。いずれも事実の断片ではあるんですよ。じゃあ暴力的な連行や虐待は例外的だったかというと、それは違う」
「事実というものは無限にあるものです。都合のいい事実だけをつなぎあわせれば別の歴史も生まれる。でも、それは『こうあってほしい』というゆがんだ願望や妄想に近い」(朝日新聞2015年4月17日付インタビュー)
安倍前首相が今回、持ち出した資料は「事実の断片」でしかなく、それによって「暴力的な連行や虐待」を示す資料や証言を否定することは、まさしく「ゆがんだ願望や妄想」にほかならない。
朝鮮人徴用工の強制動員の否定や靖国神社の参拝といった言動によって、安倍前首相はネトウヨや極右にアピールをし、求心力を維持することに躍起になっている。その裏には「3度目の総理返り咲き」という欲望があるのはミエミエで、このコロナ禍にあって政権を放り出したことの責任など微塵も感じていないらしい。そのこと自体にも怒りを覚えずにはいられないが、今後、安倍前首相が自身の私利私欲による歴史修正発言を繰り返すことは必至であり、引きつづき監視が必要だ。
(編集部)
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