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「学問の自由」の侵害は社会全体の発展を阻害すること 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/280340
2020/10/23 日刊ゲンダイ
「学問の自由」は社会全体の発展に資する(2019年度ノーベル賞授賞式で化学賞を授与される吉野彰氏) (C)ロイター/TT News Agency/Jonas Ekstromer
今年のノーベル賞の受賞者が次々と発表された。ノーベル賞がなぜ、世界で尊敬を集めているのか。それは知性によって新しい事実を発見、確認し、これらが人類の環境改善に役立っているという確信である。
過去の受賞者を振り返れば、特定の国家が研究の方向を決め、それが成果をもたらし、偉業を得た例はほとんどない。何を研究するか。どのような手順を踏むか。それは研究者に委ねられている。
こうした経験を踏まえ、少なくとも西側諸国は@学術研究は社会の発展に資する、Aそのために社会(国家)が研究の支援をする、B研究対象、研究自体は当事者に委ねる――という原則に基づき、「学問の自由」を保障する体制をつくってきた。
ただ、こうした「学問の自由」の下に発せられる見解と、時の政府や政府に大きい影響力を行使する経済界の利益が相反する事例が出る。例えば新型コロナウイルス対応がある。
米国では、トランプ大統領は自己の再選には順調な経済発展が欠かせないが、彼は経済抑制策は取りたくない。従って、新型コロナの脅威を過小評価し、「学問的見地」から危険性を指摘する人々に対して圧力をかける、といった現象が出ている。こうした現象は米国だけではない。研究者の見解が自己の政策遂行にマイナスになる恐れがあるとして、「学問の自由」を弾圧しようとする動きは世界各地で起きている。
英国の代表的な科学誌ネイチャーは6日、「ネイチャー誌が政治を今まで以上に扱う必要がある理由」として次の通り主張していた。
@政治と経済は常に相互依存関係にある、A学問的自治やアカデミック自由の原則を押し返そうとする兆候がある、B学問の自由とは、公的資金を得る研究者が科学実施、結論において、いかなる干渉も受けないことである、C学問の自由は、数世紀に及ぶ伝統である。
ここでは「学問の自由」を侵す事例として日本学術会議の会員拒否をめぐる動きが指摘されていた。
「学問の自由」は、社会全体の発展に資する。その自由とは、時の政権からの自由である。時の政権が資金提供を減額したり、活動分野を削減したり、あるいは結論を忌避する動きは、結局、当該社会の発展を阻害するのである。この事実を社会全体が認識すべきである。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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