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【金持ちの物見遊山になぜ税金】
※2020年10月15日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※2020年10月15日 日刊ゲンダイ2面
天下の愚策に「無尽蔵の金」への疑問
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/ARGi7udQN0
※文字起こし
これぞ後世に残る「天下の愚策」と呼ぶべきだろう。事前配分された割引原資の給付金枠が不足し、一時的に割引を制限する動きが出るなど大混乱に陥った政府の観光支援事業「Go To トラベル」のことだ。
安倍前政権が“コロナ対策”と銘打って実施を決めたトラベル事業は、商品割引と旅先で使えるクーポン券を合わせ、2万円を上限に旅行代金の半額分を補助する仕組み。代金の35%は割引で、残り15%はクーポン券として配布。利用者は登録された旅行業者であれば、どの業者を利用しても規定の割引を受けられるはずだったのだが、一部の予約サイトは、給付金枠不足の懸念から突然、割引率を縮小。すでに割引を見込んで予約していた旅行客らに衝撃が走り、大騒ぎとなった。
事態を受け、政府は割引原資の給付金枠が逼迫する業者には追加の予算枠を割り当てて対応する措置を取ったが、泥縄対応にも程があるだろう。
トラベル事業の予算は事務委託費を除いて約1・1兆円もあるのだ。観光庁によると、9月15日までのトラベル事業の割引支援額は約735億円というから、予算総額の約6・5%に過ぎない。
にもかかわらず、政府が慌てて追加の予算措置に動くハメになったのは、明らかに需要や動向を見誤るといった事前の制度設計に不備があったからに他ならない。
Go To トラベルはカオス状態
そもそもトラベル事業は初めからドタバタ続きだ。当初は経産省が一括して事務局を公募する予定だったものの、高額な委託費が問題視されて事業は3省に分割された上、8月上旬の開始時期がいきなり7月下旬に前倒しされたかと思えば、開始直前になって新型コロナの感染者が増加していた東京都の「対象除外」が決まった。
これによって既存予約のキャンセルが続出し、政府から事前にロクな説明を受けていなかった宿泊現場はテンヤワンヤになった。
事業を所管する国交省の赤羽大臣が、高齢者と若者の団体ツアーを「支援対象から外す」と発言したり、宿泊客が事業の対象者かどうかの見極めを旅行業者に委ねたりしたため、業者、旅行客の双方から「基準を示してほしい」「フロントで追い返されたらキャンセル料は支払う必要があるのか」といった疑問が相次いだこともあった。そして今回の割引問題だから、もはやカオス状態だ。
いずれのトラブルも、きちんと制度設計していれば防げただろうし、給付金枠の不足についても、東京都を対象に加えた時点で予約が急増することは十分予測できた。利用状況を把握し、機動的に対応していれば今のような混乱は最小限に抑えられたはずなのだ。経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。
「結局、今の政府は行き当たりばったりの対応で何も考えていない。春、夏と外出自粛を余儀なくされた旅行客の動向を考えれば、秋の行楽シーズンを迎えた今が最も人出が多くなるのは当然、予想できたでしょう。給付金枠が足りなくなるかも、なんて事態は避けられたはずです。混乱が続いているのは、政府、役所ともに国民生活の実態を理解していないこと。さらに言えば、新型コロナに対する危機感の欠如がすべての問題の根幹にあると思います」 恩恵のない庶民が「Go To 感染拡大」の犠牲になる
公費を投じて事業を進める以上、「公正」「公平」に配慮するのは欠かせない。理由が曖昧なままの「対象除外」や「業者によって割引額が異なる」といった事態はあってはならないことだ。
しかも、タダでさえ、このトラベル事業は、一部の利用者や事業者ばかりが得をしているのではないか、という根本的な欠陥が指摘されている。割引額が大きくなる高級旅館に利用が偏り、低価格の民宿などの中小業者には恩恵が行き渡っていないという点だ。
観光庁は14日、トラベル事業を利用した宿泊プランの約6割は1万円未満の価格帯だったとするデータを公表。加藤官房長官は「必ずしも高い価格とは言えない宿泊施設も広く利用されている」なんてトボケていたが、1万5000円以上の価格帯については詳細を明らかにしていないし、今の政権は自分たちに都合よくデータを改竄してきた“前歴”があるから信じられない。
それに新型コロナで収入が大幅に減っている人が少なくない中、いくら割引額が大きいとはいえ、自由に飛び回ることができるのは一部の富裕層ぐらいだ。壊滅的な観光地支援とはいえ、そんな暇な金持ちの物見遊山になぜ税金を投じる必要があるのか。やはり、公費の使い方としては「公正」「公平」とは言い難いが、あっという間に底をついた予算の追加枠がすぐに設定される状況を見ると、今後も「無尽蔵」に税金が投じられる可能性は否定できない。
外出自粛を呼びかけながら旅行は補助の矛盾
トラベル事業は、観光族議員のドンとしての顔を持ち、全国約5600社の旅行業者を傘下に収める「全国旅行業協会」の会長を務める自民党の二階幹事長が旗振り役とされる。恐怖人事で官僚を操る菅首相すら逆らえない二階の“肝いり事業”だから血税投入の動きも素早いのだろう。
だが、新型コロナの影響を受けている飲食店などの家賃給付や休業補償は進まず、明日の暮らしもままならない庶民が大勢いる中で、観光業ばかりを重視する政府の姿勢には疑問や違和感を覚えざるを得ない。
ネット上でも、<Go To トラベルの予算を医療現場や被災地に回して><そんなに予算措置が早く出来るなら医療分野にも!><政府は自粛を呼び掛けながら、自由に旅行する人だけが得する仕組みはおかしい><高級旅館と金持ちに税金をばらまくな>といった怒りの声が続出しているが、どう考えても、トラベル事業よりも、「再度の一律10万円支給」や中抜きナシの「特別給付金」などの方が、多くの人に「公正」かつ「公平」に恩恵が及ぶのではないか。
政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「『Go To トラベル』に力を入れているのは、何が何でも来夏に東京五輪を開きたいからでしょう。世界に向けて『日本国内は安心して旅行できますよ』とアピールしたいのです。しかし、その強行策によって儲かるのは一部の業者だけで、得するのは富裕層。税金を使う事業なのに国民全体のことなど全く眼中にないのです。上級国民さえ良い思いをさせればいいと考えているのでしょう」
欧米では外出制限を緩和した途端、新型コロナが再拡大する国もある。冬に向けてインフルエンザの感染も懸念される中、何ら恩恵のない庶民が「Go To 感染拡大」の犠牲に、なんて冗談ではない。
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