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※2020年10月13日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※2020年10月13日 日刊ゲンダイ2面
【虚実入り混じる不気味な正体】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) October 14, 2020
この男は果たして首相の「器」なのか
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/W5H1bsLqYa
※文字起こし
12日、2020年のノーベル経済学賞にアメリカの研究者2人が選ばれ、今年のノーベル賞の受賞者発表が終わった。日本人の受賞はなかったが、学術界に対する政府の対応を見ていると、それも必然という気がする。日本学術会議が推薦した学者6人の任命を菅首相が拒否した問題。基礎研究や人文科学に政府がカネを出さなくなって久しいが、人事権で睨みを利かせ、政治が学問領域にロコツに介入し始めた。
批判に対し、政府は学術会議に10億円の公費が投入されていることを強調。カネを出しているのだから政府の方針に従えという理屈だ。あろうことか、任命拒否問題を「学術会議のあり方」という組織論にスリ替え、行革の対象にするとか言い始めた。10億円ももらっておきながら政府に逆らうのはおかしいという論調はあまりに視野狭窄で、それに共感するムードがあることは危うい。
およそ学問研究というのは、現状や定説への疑問、懐疑、批判的思考から生まれるものだ。当時の定説を覆す地動説を唱えて迫害され、裁判にもかけられたガリレオ・ガリレイが今では「天文学の父」と呼ばれている例を出すまでもなく、学問分野では、体制側が快く思わない研究も当然出てくる。それが後になって国家や国民に有益な果実をもたらすこともある。科学を発展させる研究は、大なり小なり体制批判を内包しているものなのである。
ノーベル賞学者の本庶佑京大特別教授もTBSの番組で「理由なく政府が選択を行うことは極めて有害」「学者の選別を好き嫌いでやることは学問の自由を侵すことになり極めて危険」と警鐘を鳴らしていた。権力に忖度する研究しか許されないような国に未来はない。
ところが菅は、就任後いきなり人事権を振りかざして学問分野に介入してきた。
言い訳は稚拙すぎて突っ込みどころ満載
総裁選の際、菅は「私ども(政治家)は選挙で選ばれている。何をやるという方向を決定したのに、反対するのであれば異動してもらう」と豪語していたが、官僚だけでなく、研究者に対しても気に入らない異論は排除するつもりなのだろう。
それにしても、学術会議の任命拒否問題における菅の説明はまったく要領を得ない。「俯瞰的、総合的に判断した」と繰り返すばかりで、拒否した理由は一向に明かされない。かと思うと、9日の“グループインタビュー”では学術会議側が提出した105人の推薦リストを「見ていない」と言い出した。リストも見ずに、どうやって「俯瞰的、総合的に判断」したというのか。支離滅裂だ。
日本学術会議法は会員について「(会議側の)推薦に基づいて首相が任命する」と定めている。リストを見ないで決裁したのであれば違法の疑いもあると指摘されている。そうしたら、今度は「選考から外れた6人の名前を事前に把握していた」とリークし始めた。杉田官房副長官が内閣府の提案に基づき、任命できない人が複数いると、菅に口頭で報告していたというのだ。
「最初は自分が俯瞰的に決めたと威張っていたのに、世論の批判が高まると名簿は見ていないと逃げ、さらには事前に把握していたと修正した。説明が二転三転するのは、官邸がうまく機能していないからではないか。これだけ強権的なことをやる以上、徹底的に理論武装し、説明に齟齬が生じないようシナリオを統一しておくのが普通です。
ところが、言い訳は稚拙すぎて突っ込みどころ満載だし、説明も場当たりでボロを出している。本人の読みの甘さもあるでしょうが、周囲のスタッフも何をやっているのか。発足1カ月でこのザマでは、いつ転んでもおかしくないのに、意見をしたら飛ばされるから、何も言わずに黙っているのでしょうか。菅首相のことを内心ではバカにして、面従腹背に徹しているのではないかと勘繰ってしまいます」(政治評論家・本澤二郎氏)
知性も教養もない政治家の暴走ほど恐ろしいものはない |
官房長官時代の菅は、危機管理能力に長けているとされ、日々の会見でのやりとりは「鉄壁の守り」とまで言われたものだ。だが、7年8カ月間の会見を思い返してみれば、安倍政権の数々の疑惑について何も答える気がなく、説明を拒否し続けてきた。記者の質問を「問題ない」「あたらない」の一言でシャットアウトしてきただけなのである。その手法が首相になっても有効だと考えていたとしたら甘すぎる。
「同じ知性も教養もない宰相でも、安倍前首相とはタイプがまったく違う。能天気に嘘をつくミニトランプから、周到かつ陰湿に敵を潰すミニプーチンに交代したようなものです。安倍氏は『美しい国』などと大仰なスローガンに酔うのが好きでしたが、菅氏は携帯料金の値下げや不妊治療など細かいことにばかり目が向き、大きなビジョンが感じられない。やってることは地方議員の陳情処理レベルで、ただ権力を振りかざしたいだけの人なのでしょう。
これまでは首相の陰で政官財やメディアの隅々にまで睨みを利かせ、恫喝で服従させてきましたが、いざ表のトップに立つと、コワモテのイメージだけでは限界がある。これほど説明能力のない首相が、国会審議に対応できるでしょうか。そもそも首相の器ではなく、権謀術数だけでトップに上りつめたミニプーチンですから、権力維持のためには、何をしでかすか分からない。臨時国会の論戦から逃げるために、いきなり解散に打って出る可能性も再び浮上してきました」(本澤二郎氏=前出)
パンケーキおじさん政権は、叩き上げの庶民派イメージ戦略が奏功して、異例の高支持率でスタートしたが、学術会議の任命拒否に端を発する説明能力のなさには、自民党内でも国会答弁を不安視する声が出始めた。国会も会見も開かず、内閣記者会を囲い込んで密室インタビューしか受け付けないというので、国民の間でも「大丈夫か?」と不信が芽生えている。NHKの最新調査では、早くも支持率が7ポイント低下した。
気に食わない人物をパージして権力を誇示
まだ所信表明演説すらしていないのに、国会対応が危ぶまれる首相――。会期が短い臨時国会はともかく、長丁場の通常国会で予算委を乗り切れるのか。毒が回った大メディアがいくら持ち上げたところで、1年間も説明責任から逃げ続けることはムリだ。早くも「限界」が見えてきたともいえる。
「名選手が必ずしも名監督にはならないように、名参謀が名宰相になるとは限らない。だから、かつては名官房長官と呼ばれて次の首相に推されても断った後藤田正晴氏のように、分をわきまえた政治家がいたものです。第2次大平内閣で官房長官を務めた伊東正義氏もそうでした。彼らには国家観や理念があったから、自分が首相になることは日本のためにならないと言って固辞した。
菅首相は官房長官時代の秘書官を横滑りさせたり、昵懇のメディア人を補佐官に迎えたりと、官邸官僚をお気に入りで固めたのは安倍前首相と同じですが、何があっても一致団結して政権を支えるという強い意志が感じられないのは、菅首相との個人的な結びつきがあるだけで、大きな理念を共有できないからではないか。理念がないから右派イデオロギーの熱烈な支持も見込めない。気に食わない人物をパージして権力を誇示する政治手法は、官房長官としては有効でも、首相に必要な資質は別物ということです」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
派閥に属さないことを売りにしてトップに上りつめたが、そういう権力基盤の脆弱さは菅の手足を縛る。鉄壁の守りは説明拒否に過ぎず、コワモテは官僚組織の面従腹背を生む。虚実入り交じる不気味な正体は、裸の王様なのかもしれない。だからこそ恐ろしいということを国民は肝に銘じておくべきだ。
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