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議員秘書時代の菅義偉は末端から先輩を蹴落としていった 菅義偉 隠された経歴と裏の顔
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/279608
2020/10/07 日刊ゲンダイ
下っ端の秘書から…(菅首相)/(C)共同通信社
※文字起こし
1970年代半ば、小此木彦三郎事務所の末端の秘書から政界暮らしをスタートさせた菅義偉は、どうやって成りあがっていったのか。
「菅さんが小此木事務所に入った頃、そうそうたる秘書がいました。7人ほどいた秘書のトップが、宮崎県西都市長の息子。彼は大学時代に吉田茂の子分である広川弘禅のところで書生をしていて、小此木さんの秘書になったサラブレッドでした」
元横浜市議会議長の藤代耕一はこう話した。
「小此木さんは運輸族議員だったから、神奈川県内の鉄道会社には顔が利いた。それで事務所の秘書が1人ずつ、東急電鉄や京浜急行電鉄、小田急電鉄、相模鉄道といった各社それぞれの担当となっていました。でもぺエペエの菅さんははじめ、そんなところに入り込む余地などなかったのです」
ところが、菅はその先輩秘書たちを蹴落としていく。なぜそんなことができたのか。地元横浜のある財界人はそこについて、こう解説してくれた。
「当時の横浜は私鉄各社の鉄道敷設関連工事が多く、ゼネコンの受注合戦も激しかった。ただ、通常は鉄道会社の系列ゼネコンが絶対的に有利で、その他にも親密企業があり、だいたいそこが工事を請け負っていた。たとえば東急の工事は東急建設が受注するけど、相鉄の工事も請け負う、といったアンバイです。ゼネコン各社はそんな談合体質のなか、運輸族の大物である“小此木詣で”を繰り返しながら、工事の施主である私鉄とのパイプを探っていきました」
建設各社はときに談合を破り、予想された工事の発注先をひっくり返そうとして私鉄各社に営業をかける。また鉄道工事は1社の単独受注ではなく、たいてい複数社のジョイントベンチャー(JV・共同企業体)の形で請け負うので、そこに入りたい。そのため建設会社の支店長や営業担当者は、小此木事務所に近づき、口利きを依頼する。
そこでうまく立ち回ったのが、菅なのだという。先の横浜の財界人が、次のように謎解きをしてくれた。
「どのゼネコンも鉄道工事を請け負いたいが、それぞれ鉄道会社ごとに決まっている小此木事務所の秘書は、系列ゼネコンの支店長とも顔見知りなのです。だから、なかなか工事の発注先を動かせない。系列以外のゼネコンは挨拶に行っても下っ端である菅さんのところに回され、名刺を置いていくだけです。で、そのゼネコンの支店長が菅さんに頼み込むと、その場で菅さんは『いま○×組の○×さんが小此木事務所に来ていて、そちらの仕事をしたいそうなんだけど、これから挨拶に行ってもいい?』という調子で電話をしてくれた。それでゼネコン各社が菅さんを大事にするようになっていったのです」
うまく工事を受注できれば、その建設会社は小此木事務所のスポンサーになる。つまるところ菅は、ゼネコン利権を巧みに操って企業に食い込み、事務所内で存在感を増していったのだという。=敬称略、つづく
森功 ノンフィクション作家
1961年、福岡県生まれ。出版社勤務などを経て、2003年からノンフィクション作家として活動を開始。「ヤメ検 司法エリートが私欲に転ぶとき」「同和と銀行」「腐った翼 JAL消滅への60年」「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」など著書多数。最新刊は最新刊は「ならずもの井上雅博伝 ヤフーを作った男」(講談社)。
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