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10月 07, 2020 日々雑感(My impressions daily)
日本学術会議委員に対する菅総理大臣による任命拒否に関して、ネトウヨたちはネット上で本領を発揮して無知蒙昧の主張を垂れ流している。その見出しだけでも何例か挙げてみると「日本学術会議の委員に任命されなくても学問は自由にできる」といったものから「日本学術会議の元議長は共産党の選挙カーに乗っていた」や「日本学術会議は中国科学技術協会と(相互協力の)覚書を交わしている」や「日本学術会議の常識は世間の非常識」といったものまでテンコ盛だ。
しかしいずれの論評を見ても御用評論家たちの屁理屈でしかない。もちろん大学教授でなくても自由に研究は出来るだろう。研究所に勤務していなくても研究は出来る。ましてや日本学術会議の委員でなくても自由に研究できる。だが、日本学術会議の委員の任命を拒否したのが民間機関の民間人ならそれこそ「ご自由にどうぞ」で済むが、任命拒否したのが一国の総理大臣だから問題なのだ。
一国会議員なら、それこそ個人の思想信条に基づいて任命の否諾を行えば良い。しかし国費で報酬を頂戴している行政機関の長ならば「不偏不党」であるべきは当然の常識だ。国民すべてに公平・公正に対処すべきだ。
菅氏は日本学術会議には年間10億円も国費を投じている「国家公務員」だと記者諸氏の前でのたまった。それがいかなる意図なのか判然としないが、国費で雇っている行政機関の「諮問機関」の委員だから任命権は総理大臣にある、と勘違いしているようだ。だからこそ、国費10億円も日本学術会議に支出している、と大見得を切ったのだろう。つまり菅氏は日本学術会議など総理大臣たる自分の「シモベ」だと思い込んでいるのではないか。馬鹿に付ける薬はない、と謂れている所以だ。
学術会議の委員は「国家公務員特別職」だ。それは国会議員が「国家公務員特別職」であるのと同じだ。つまり国家公務員特別職は政治活動を禁じられていない。だから彼が誰の選挙カーに乗ろうとも自由だ。批判される所以は何もない。
そして日本学術会議が中国科学技術協会と「技術・研究で協力する」覚書を交わしていることに何の問題があるというのだろうか。それなら経団連が中国の経済団体と各種協定を結んでいることも問題にしなければならないだろう。国会議員に親中派の議員がいることも問題にしなければならないだろう。彼らの思想信条の自由を認めた上での評論活動や批判活動でなければならない。それが自由のあり方だ。
そして最も愚にもつかない批判が「日本学術会議は共産党だ」というレッテル張りだ。共産党は日本で認められた合法的な政党だ。その共産党と関係している者が日本学術会議の中にいたところで、それが何だ。
親中派の研究者や学者が中共政府に軍事転用可能な先端研究を渡す、というのは犯罪だ。しかし中国科学技術協会と日本学術会議とが親睦を図って何が悪い。中共政府は倒れるべき邪悪な政権だが、中国民とは仲良くすべき隣人であることに変わりない。そうした易と不易の識別すら出来ないオツムで良くも菅氏御用の論評ができるものだ。
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