http://www.asyura2.com/20/senkyo276/msg/253.html
Tweet |
※2020年10月1日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※2020年10月1日 日刊ゲンダイ2面
https://twitter.com/Trapelus/status/1311576141371564032
※文字起こし
菅内閣に対する忌憚ない意見を期待したのか。それとも官邸のスポークスマンとして国内外のメディア対応に尽力してもらうつもりなのか。
政府が1日付で発令した柿崎明二・元共同通信論説副委員長を首相補佐官に起用する人事には驚いた。
首相補佐官は内閣法に基づき、首相を補佐する役目。いわば首相の分身、腹心ともいうべき存在だ。官邸のホームページによると、年間給与額は約2500万円で、各省の事務次官と肩を並べる。柿崎氏は政策の「評価・検証」を担当するというが、これまでの活動を見る限り、政策通や専門家というよりも、ワイドショーのコメンテーターという方がしっくりくるだろう。
メディア出身で首相側近に就いた人物としては、西日本新聞の政治部記者を経て池田勇人首相の秘書官となり、“陰の官房長官”と呼ばれた政治評論家の故・伊藤昌哉氏がいるが、伊藤氏は自民党の金権政治や政治家の腐敗体質に厳しいことでも知られ、大平正芳首相にも重宝された人物だった。菅が今回、どういう意図で同郷の柿崎氏を抜擢したのかは謎だが、よく分からない人事は首相補佐官だけじゃない。内閣や党人事も同じだ。
菅政権の中身は空っぽの「二菅政権」
閣僚人事は「菅カラー」を打ち出す絶好の機会だったのに、何のサプライズも、当初ささやかれた元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏の起用もなかった。
結局、ふたを開けてみれば閣僚20人中15人が続投か再入閣。「安倍政権の継承」を掲げているため、安倍内閣の“居抜き”にならざるを得なかったのだろうが、これでは一体誰が“菅政治”の同志なのかが全く見えてこない。武田良太総務相や河野太郎行革担当相が“目玉”だとすれば、お寒い限りだろう。
29日の自民党総務会で決まった党幹部人事でも、総裁選で菅を推す原動力になった二階派を重用する露骨な姿勢が浮き彫りになっただけだ。
二階幹事長を支える筆頭副幹事長に山口壮衆院議員、党の財政を担う経理局長に福井照・元沖縄北方相とそろって二階派議員を起用。次期衆院選挙で、選挙区や公認の調整を担う選対委には、やはり二階派の吉川貴盛元農相、林幹雄幹事長代理を選んだ。
菅と初当選同期で、近しい関係にある吉川は、山口泰明選対委員長(竹下派)を補佐するナンバー2(代行)に就いたから、菅と二階派が次期衆院選の「公認権」と「カネ」で手を握ったようなもの。
二階派以外の派閥は面白くないだろうが、菅にとっては、総裁選の恩返し人事で二階を取り込み、他派閥を牽制しつつ、自身の脆弱な党内基盤を固めることが狙いに違いない。だが、これでは派閥の利害と政治的打算の集合体。損得だけで求心力を維持しているだけだ。政治評論家の小林吉弥氏がこう言う。
「『安倍政権を継承』といっても総理大臣が交代したわけですから、何か国民に期待や夢を感じさせる人事をやるべきでしょう。しかし、菅カラーを出そうとすれば主要派閥からそっぽを向かれてあっという間に転落。そうならないためには内閣も党人事も二階幹事長を頼るしかないのです。結局、菅政権とは『二菅政権』なのです」
二階建て、三階建ての人脈とは何だったのか |
各メディアは菅について<官房長官時代から朝昼晩と二階建て、三階建てで人と会い、政策課題について勉強>とかヨイショしていたが、首相就任直後の週末に面会した人物の顔ぶれを見ると、今のところ、<二階建て、三階建て>で培った幅広い人脈を持っているとは思えない。
高橋洋一・嘉悦大教授やジャーナリストの田原総一朗、サントリーホールディングスの新浪剛史社長……など、いずれもどこかで見た顔ばかりで、目新しさに欠けるからだ。とりわけ就任2日後に会食した慶応大名誉教授の竹中平蔵なんて「また表舞台に出てくるのか」とがっくりした国民が多かっただろう。
菅は竹中が総務相時代に総務副大臣に就任し、安倍政権で退任した竹中の後任として初入閣。その後、再び第2次安倍政権の「産業競争力会議」や「国家戦略特区」の特区諮問会議のメンバーとして、新自由主義の代弁者を務めてきた竹中と親交を深めてきた。デジタル庁新設を進言し、菅が繰り返し訴える「自助、共助、公助」の考えに強く影響を与えたともいわれるのも竹中だ。
菅が竹中に続いて早々に面会した金丸恭文フューチャー会長兼社長は、安倍政権の規制改革推進会議で議長代理を務めていた人物。農業ワーキンググループの座長となり、「農協潰し策」を取りまとめたほか、働き方改革実現会議の委員として「高度プロフェッショナル制度創設」や「裁量労働制の見直し」を訴えていた。つまり、竹中と同様、規制改革という名の下で庶民イジメの政策を推進してきた人物だ。
国民の目を引く政策に飛びついているだけ
要するに<菅人脈>の正体とは、菅が安倍政権下の政府組織や党で知り合った「過去の人」ではないのか。デジタル庁について会食した慶応大の村井純名誉教授も、自民党がまとめた提言「デジタル・ニッポン」の監修役。<二階建て、三階建ての会食>とは<広く浅く興味本位で会っていた>だけで、このまま代わり映えしなければ、「お里が知れた薄っぺらな人脈」としか言いようがない。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「菅首相は政策の専門性が高いわけではないため、まずは安全運転とばかり、かつての人脈をたどっているのかもしれません」と話していたが、そもそも、こうなったのは総理大臣としてこの国をこうしたい、何がやりたいという大局的な視点、国家観、思想がないからだろう。
だから、かつての政府人脈にすがるしかないのではないか。そして国民の目を引くかもしれない政策と思えば飛びつく。デジタル庁やはんこ廃止なんて典型だ。
二階はそんな菅の底の浅い政治姿勢を知っているからこそ、総裁選で率先して担ぎ、案の定、思い通りの人事にさせたのだ。そして竹中ら新味のない財界人は再び脚光を浴びる機会が増えたと喜び、小泉、安倍政権の時と同じく自社や業界にうまく利益誘導できれば儲けもの。要するに「思想なき首相」に「利害」と「打算」の輩たちが群がっているだけなのだ。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)がこう言う。
「菅政権は『アベ政治』を引き継ぐと言っています。つまり、規制改革の名のもとに格差を拡大させ、国民の富を収奪する新自由主義的な政治を続けるということ。菅首相が意見を聞く人も安倍政権で出てきた同じメンツになるのも当然で、菅政権はそういう財界の意向を重視することが政権維持に必要だと考えているのではないでしょうか」
まさに安倍なき「アベ政治」だ。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK276掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK276掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。