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菅首相が安倍時代もしなかった言論弾圧、「学問の自由」侵害! 日本学術会議の会員任命で安保法制や共謀罪を批判した学者を拒否
https://lite-ra.com/2020/10/post-5658.html
2020.10.01 菅首相が日本学術会議の会員任命で安保法制を批判した学者を拒否する暴挙 リテラ
首相官邸HPより
首相就任から1カ月も経たないうちに、さっそく菅義偉首相が強権的な“人事介入”をおこなっていたことが判明した。「学者の国会」とも呼ばれる日本学術会議が推薦した新会員候補の6人を、菅首相が任命しなかったというのだ。
しかも、菅首相が任命しなかった学者のなかには、安保法制や共謀罪を批判してきた学者も含まれているというのである。
日本学術会議は内閣府の特別の機関のひとつで、総理大臣が所轄、経費は国庫負担となっているが、政府から独立し、科学にかんする審議や政府に勧告をおこなうなどの職務を担う。法律でも「わが国の科学者の内外に対する代表機関」と謳われており、210名の会員によって組織されている。会員の任期は6年で、3年ごとに半数の105名を改選。今年はその半数改選の年で、日本学術会議が新会員を選考し総理大臣に推薦、それをそのまま総理大臣が任命する──という流れで進むはずだった。実際、現行の制度となった2004年度以降、日本学術会議が推薦した新会員候補が任命されなかったケースは一度もない。
しかし、今回の問題をスクープした本日付のしんぶん赤旗によると、日本学術会議から新会員として推薦されていた立命館大学大学院法務研究科の松宮孝明教授が、任命されなかったというのだ。
松宮教授といえば、2017年に国会で審議されていた共謀罪について、参院法務委員会で「広く市民の内心を捜査と処罰の対象とし、市民生活の自由と安全が危機にさらされる戦後最悪の治安立法」「(戦前の)治安維持法よりタチが悪い」と参考人の立場から陳述するなど批判をおこなってきた人物だ。
この松宮教授がしんぶん赤旗の取材に応じたところによると、9月29日夕方に日本学術会議の事務局長から「(首相の)任命名簿に名前がない」と連絡を受けたという。さらに、松宮教授のほかにも安保法制に反対した学者など数名が名簿から名前が外されており、「間違いではないか」と考えた事務局は政府に問い合わせをおこなった。しかし、そこで返ってきたのは、このような回答だったというのだ。
「間違いではない。理由はノーコメント」
これは、憲法で規定される「学問の自由」を踏みにじる、総理による人事介入にほかならないではないか。
■安倍前首相ですらやらなかった露骨な人事介入も平気でやる菅首相
言っておくが、日本学術会議は2017年3月にも軍事研究を否定した過去の声明を継承するとした新声明を出すなど、軍学共同を進める安倍政権に釘を刺したこともある。しかし、この年の秋におこなわれた任命においても、安倍首相は日本学術会議が推薦した新会員を任命していた。つまり、あの安倍首相でさえ、今回のような人事介入はおこなわなかったのである。
それを、「安倍政権の継承」を謳う菅首相は、総理就任後すぐに、安倍政権の政策に批判的だった学者の任命をおこなわないという露骨な人事を実行したのだ。
しかも、本日午前の官房長官会見でもこの問題が取り上げられたのだが、加藤勝信官房長官は「直ちに学問の自由の侵害ということにはつながらないと考えている」などと言い、「結果の違いであって、これまでの対応の姿勢に変わりはない」「学術会議の目的において、政府側が責任を持って(人事を)おこなうのは当然だ」などと開き直ってみせたのだ。
菅首相といえば、総裁選の段階から官僚の人事について「私ども、選挙で選ばれてますから、何をやるかという方向が決定したのに反対するのであれば異動してもらいます」などと堂々宣言。“異論を唱える者は排除する、弾かれたくなければ忖度しろ”とその強権性を露わにしてきたが、官僚のみならず、政府から独立した機関の人事にまでさっそく手を伸ばしたのだ。
だが、これは十分予測できた事態だとも言える。というのも、安倍政権下で進められた人事介入も、官房長官だった菅首相が実行してきたからだ。
その最たる例が、「賭け麻雀」問題で辞任した黒川弘務・元東京高検検事長をめぐる人事だろう。
■黒川弘務・元東京高検検事長の異例人事も官房長官時代の菅首相によるもの
黒川氏といえば、言わずもがな安倍政権幹部をめぐる不正の捜査をことごとく潰してきた人物だが、黒川氏のカウンターパートは菅官房長官だ。その付き合いは約15年にもなると言われ、ふたりが会っているところが頻繁に目撃されてきた。つまり、捜査を握りつぶしてくれる「用心棒」として黒川氏と安倍政権の強いパイプを築いたのは菅官房長官だったのだ。
そして、ある意味、最大の功労者たる黒川氏を検事総長にしようと、異例の人事がおこなわれる。昨年、法務省は次期検事総長として複数の候補者を提案したが、〈安倍首相と菅官房長官は黒川氏が望ましいとの意向を示した〉(読売新聞2月21日付)ことで覆り、2月に定年を迎える黒川氏の「異例の定年延長」人事が実行されたからだ。
しかも、菅官房長官が黒川氏の人事に口を出したのはこれが最初ではなかった。2016年夏、当時法務省事務次官だった稲田伸夫氏の異動に伴い法務省は、後任の法務省事務次官に刑事局長だった林真琴・現検事総長を、黒川氏を広島高検検事長に据えようと人事案を官邸に上げたが、それを蹴ったのは菅官房長官だったと言われている。
三権分立の原則に反し、政府から独立した機関であるべき検察の人事に平気で介入する──。そして、総理の座に就いた途端、菅首相は「学問の自由」を脅かす人事介入をおこなってみせた。当然、こうした人事介入が見せしめとなり、日本学術会議や学者に萎縮が広がる懸念もある。
安倍政権で進行した「独裁化」「恐怖政治」を推し進める姿勢を、早くもこうしたかたちであきらかにした菅首相。これまで以上に、反対や抵抗の声をあげる必要がある。
(編集部)
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