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※2020年9月25日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※2020年9月25日 日刊ゲンダイ2面
https://twitter.com/Trapelus/status/1309388805254705152
※文字起こし
菅首相が精力的に動き回っている。就任から10日。海外首脳と相次いで電話会談し、パソナ会長の竹中平蔵東洋大教授をはじめとする“知恵袋”と懇談を重ねる。肝いりのデジタル庁新設に向け、デジタル改革関係閣僚会議を開いて検討を本格化させた。「行政の縦割りを打破し、大胆に規制改革を断行するための突破口としてデジタル庁を創設する」と鼻息が荒く、年末に基本方針を取りまとめ、来年の通常国会に関連法案を提出する予定だという。
報道各社の世論調査で内閣支持率は60〜70%台を叩き出す好発進。菅は「手応えを感じている。アンテナを高くし、スピード感を持って国民の期待に応えたい」などと浮かれ気分を隠そうともせず、官房長官時代からこだわる携帯電話料金引き下げについて武田総務相にゲキを飛ばし、田村厚労相には少子化対策の一環として不妊治療の保険適用実現を指示。新婚生活補助金なるものも浮上している。新婚世帯の家賃や引っ越し代など新生活にかかる費用について、来年度から60万円を上限に補助する方針だという。
マスコミは手放しヨイショ
「国民のために働く内閣」は世論ウケする政策を矢継ぎ早に打ち出す。大マスコミも「仕事師内閣」「実務型内閣」だのと持ち上げる。世論もついつい期待を寄せて高支持率を後押ししているのだろうが、よくよく見れば票集めの人気取りみたいな政策ばかりだ。
日経新聞(21日付朝刊)は〈菅義偉首相の思想と行動〉と題したコラムで、菅をこう評していた。
〈徹底したリアリストでもある。イデオロギーや理念にしばられない「無思想の思想」の持ち主だ。
自民党の思想の系譜には、安倍晋三前首相へとつづく保守色の濃い清和会と、岸田文雄氏へつながるリベラル系の宏池会という2つの流れがある。中間に位置付けられるのが「現世利益追求型」の田中派・竹下派だ。この強みは柔軟対応ができることである。首相はこの系譜とみてよい〉
湧き出る不公平、不公正助長の筋悪策 |
「思想なき思想」リアリストなどと書かれていたが、モノは言いようだ。競争市場を好み、市場原理をよしとする。目指す国家像を「自助・共助、公助」と言う菅は、紛れもない新自由主義の信奉者。やっていることの裏を返せば、政治が正すべき不公平、不公正を助長しようとしているのである。だから、出てくるのは筋が悪い政策ばかりだ。
携帯電話料金をめぐっては、新規参入を促すことで値下げ競争に向かわせるつもりが、目立った成果が上がらない。すると、政治介入をチラつかせて民間企業に公然と圧力をかけている。農協改革もJA全中(全国農業協同組合中央会)と地域農協や農家の競争を促すものだったし、やたらと自慢するふるさと納税にしたって税制を歪めた上に返礼品競争に走る市町村間バトルを招いた。
1兆3500億円の巨額予算を投じた「Go To トラベル」の恩恵を受けているのは、大手旅行会社や小金を使えるゆとり市民ばかり。委託費1895億円の事務作業は大手と業界団体が担い、ツアー商品を大量にさばける大手に予約が集中。そして、割引によるお得感が強まる高級ホテルや旅館に利用者が流れている。本来救済の対象だった中小零細には支援が届いていない支離滅裂である。最低賃金引き上げは、負担増に耐える体力のない中小零細のふるい落としにつながる。新婚補助金の対象は「結婚新生活支援事業」を実施する市区町村に住み、新たに婚姻届を出した夫婦のみ。内閣府の集計(7月10日時点)によると、実施しているのは281市町村しかなく、全市区町村の15%程度。補助額の半分を自治体が負担する必要があるため広がらないのだ。年齢条件を34歳から39歳以下に引き上げ、世帯年収も480万円から540万円未満に拡大するというが、ビンボー自治体で暮らすカップルはカヤの外。
ふるさと納税からGo To、新婚支援、携帯値下げまで国民ウケ狙いの思い付き。その影響、リスク、整合性、現実性など、果たしてどこまで煮詰めているのか。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。
「菅首相は政策の実現性よりも、ブチ上げることによって生じる効果を重視しているのでしょう。携帯電話料金の値下げ、不妊治療の保険適用、新婚補助金。いずれも若い世代や女性をターゲットにしたもので、その読み通りの反応が出ています。彼らは“政府がお金を出してくれるのはありがたい”と素直に受け止め、政権支持に傾いている。しかし、そうした政策が実を結んだとしても、効果が表れるまでに少なくとも1〜2年を要します。衆院の任期満了は来年10月で、遅くとも1年以内には総選挙が実施される。だから、政策の達成度で評価されることはない。『今だけ、カネだけ、自分だけ』の新自由主義にどっぷりつかった菅首相らしいやり方です」
スガ政治は詰まるところ、「現世利益の打ち上げ花火」。国民が実利を得るかどうかは別の話で、見せ金で釣ろうという魂胆。自民党内から早期解散論が出るわけである。
公然と上がる異例の解散要求 |
解散総選挙へ向けたカウントダウンが始まっていたとはいえ、首相に対して党内から公然と解散要求の声が上がるのは異例だ。
選対委員長から党三役に昇格した下村政調会長はBS番組で「自民党の国会議員のほぼ総意、即解散」「自民党の支持率も上がっている。若手はほぼ全員が早く選挙をやってもらいたい」と発言。安倍政権時代は「解散は首相の専権事項」「伝家の宝刀」と崇めていたのとは大違いだ。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏は言う。
「党三役に過ぎない下村政調会長(細田派)がここまで踏み込んだ発言をするのは、派閥の意向を受けたものでしょう。総裁選告示前に細田派、麻生派、竹下派の領袖3人がそろってスガ支持表明会見をしたのと同じ理屈で、誰が首相に押し上げたんだということ。スガ支持の流れをつくった二階幹事長が菅首相をかばう様子もない。幹事長続投の目的を達した今、親中派のドンとして習近平国家主席の国賓来日の実現をせっついている。強まる解散風は菅首相の政権基盤の弱さを浮き彫りにしたと同時に、その化けの皮がはがれる前に総選挙になだれ込みたい自民党の本音をあらわにした。一方、臨時国会の召集は10月23日、あるいは26日で調整され、会期は50日程度が見込まれています。このスケジュールは年内解散を封じ込めたい菅首相の意図を汲んだものではないか」
菅は口を開けば「雪深い秋田の農家の長男坊」「地方議員出身の叩き上げ」などと苦労人エピソードを繰り返し、立身出世伝を喧伝して庶民の味方をアピールしているが、それは虚像ではないか。弱肉強食を是とする競争主義者であり、権力闘争に勝つためには手段を選ばない超現実主義者だろう。生産性向上という大義を振りかざして中小零細を淘汰し、規制緩和という美名の下に大企業を儲けさせる。そして、国民には自助を強いる。富の再配分で地方を制した自民党の保守政治より維新に似ている。どうりで長らく蜜月関係にあるわけである。
この首相の正体を検証せず、仕事師と持ち上げる大マスコミは最初から毒が回っているのではないか。最後にバカを見るのが国民ではないことを祈るばかりだ。
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