http://www.asyura2.com/20/senkyo276/msg/111.html
Tweet |
※2020年9月23日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※2020年9月23日 日刊ゲンダイ2面
https://twitter.com/Trapelus/status/1308666196867178496
※文字起こし
日経新聞に続き、読売新聞の世論調査でも、菅内閣は支持率74%という驚異的な数字をたたき出した。小泉純一郎内閣(87%)、鳩山由紀夫内閣(75%)に次ぐ歴代3位の高さだ。
違和感を覚えるのは、旧態依然の派閥の論理と密室談合で誕生した菅政権なのに、なぜここまで高い支持率なのかということ。まがりなりにも小泉首相は、派閥の論理を超えて、国民に近い党員投票が決め手となって生まれた。鳩山首相は国民が政権交代を求めた結果だった。しかし、菅首相は違う。安倍政権の権力者たちが、甘い汁を吸う構造を維持するために菅を選んだのであり、国民が求めたわけじゃない。
高支持率の最大の理由は、「農家出身の“自称”苦労人」という、大マスコミと“協同”して作り上げたイメージ戦略のたまものだ。加えて、菅がブチ上げた「役所の縦割り、既得権益、悪しき前例主義を打破する」というメッセージは、国民に改革ムードを感じさせる。「携帯料金の値下げ」「最低賃金の引き上げ」も、国民生活が豊かになると思わせる効果があるのだろう。
だが、菅が安倍政権時代に官房長官として何をやってきたかを思い返せば、この支持率は危うい。権力志向を剥き出しにする首相を世論が後押しするのは危険極まりない。
菅は官僚組織を目の敵にしてきた。国家公務員の幹部人事を「内閣人事局」に一元化し、官僚をコントロール。アメとムチを使って、官邸の意向に沿う官僚を厚遇し、異を唱える官僚は左遷してきた。人事権をちらつかせて官僚に恐怖心を植えつけ、「忖度」を生む土壌を作った張本人だ。
菅政権でもそのしくみは温存され、強化される。総裁選期間中、菅は政府の方針に反対する官僚は「異動してもらう」と明言した。
竹中氏との懇談は「スガ政治」を象徴
民間に対しても容赦ない。
武田総務相は18日、「携帯料金の値下げ」について、「1割とかいう程度では改革にならない」「100%やる」と意気込んだ。料金値下げは菅の長年の持論。実現しなければ、「(携帯各社が国に支払う)電波利用料を見直しせざるを得ない」とまで言い出している。電波利用料を引き上げるという脅しだ。携帯事業に詳しいジャーナリストの松岡久蔵氏が「民間企業が利益を得ることに政府が『良い悪い』と首を突っ込むのは、果たして健全な資本主義社会と言えるのか」と疑問を呈していたが、民間への強権介入もお構いなしなのである。
「最低賃金の引き上げ」も、中小企業にとって厳しい要求だ。菅は「体力のない中小企業は、合併を進めて国際競争力を強めないといけない」と言っていたという。中小企業は日本の会社の99%を占め、雇用の7割を担う。それでも、淘汰されていいという考え方なのだ。
菅は製造業の中小企業を「資本金3億円以下または従業員300人以下」と定めている「中小企業基本法」の見直しにも言及した。大企業に比べ中小は税制などの減免措置が幅広く適用されるが、菅の意図するところは、適用範囲を狭めて苦しめることで、合併・再編を促すというものだ。恐ろしい北風政策である。
そんな「自助」最優先、弱肉強食を是とする菅が、政権発足間もない18日に朝食を取りながら懇談したのは、規制緩和の旗振り役で、菅が総務副大臣だった時の“上司”にあたる竹中平蔵東洋大教授だ。竹中といえば、弱者切り捨てで格差拡大を招いた新自由主義の権化。まさに今後の「スガ政治」の行く先を象徴している。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「菅首相も『新自由主義、万歳』の人ですよ。自己努力で這い上がってきたので、国民にも自己努力を求める。もっとも、菅首相が進めてきた規制緩和によって、竹中氏は自らが会長を務める人材派遣会社『パソナ』を大儲けさせてきたのですがね。特殊な条件下での成功体験を一般化するのは間違っています。政治にはセーフティーネットの役割があることを理解していないのではないか。安倍政権の中枢で闇の部分を処理する役割を果たしてきたのが菅氏。それを国民に気づかれないうちに『菅カラー』の打ち出しに躍起になっているように見えます」
有無を言わせない、大政翼賛会のような強権政治 |
菅の官僚支配の“被害者”と言えるだろう。「ふるさと納税」の制度改正にあたって異論を挟んだ結果、人事で飛ばされた元総務官僚、平嶋彰英立教大特任教授だ。21日の毎日新聞(デジタル版)のインタビューでこう語っている。
<安倍政権の辞任劇が戦時中の近衛文麿首相に似ていると指摘している人がいて、なるほどと感じました。当時、近衛首相が政権を投げ出した後、強引な人事で軍を掌握してきた陸軍大臣の東条英機が次の首相になった。菅さんも官僚をぎりぎりと押さえて、安倍政権を支えていたといえます。大政翼賛会のような強権政治になり、周りがますますものが言えなくなるのではないかと危惧しています>
こういう指摘が元キャリア官僚から出てくることには驚く。有無を言わせない空気が醸成されていく中で、日本は間違った判断を下した。菅政権にも、当時と似た不気味さが漂う。
官僚コントロールや民間企業への介入だけじゃない。共謀罪や特定秘密保護法の延長線上にあるデジタル監視社会もそうだ。
早速18日、小此木国家公安委員長は「菅首相から運転免許証のデジタル化に強い指示があった」と表明した。デジタル化とはマイナンバーとの一体化を指すとみられる。運転免許証とセットでマイナンバーを強制的に取得させ、個人情報を警察が握り、監視する。それがデジタル化の真の狙いなのではないのか。
一方で、菅政権は詐欺商法を筆頭にした疑惑潰しにも注力する。18日に元会長ら14人が詐欺容疑で一斉逮捕されたジャパンライフは、政治家を広告塔にして、顧客を勧誘していた。元会長に届いた「桜を見る会」の招待状だけでなく、加藤官房長官は、1億総活躍担当相時代にジャパンライフの宣伝チラシに登場していた。それなのに、加藤は同日の会見で、桜を見る会について、「再調査しない」「名簿は保存されていない」の一点張りだったのである。
プーチンのロシアか、金正恩の北朝鮮か
自分たちにとって都合の悪いことは、隠蔽し、改ざんし、廃棄する。安倍政権で繰り返された悪事だが、それを指揮してきたのが官房長官だった菅であり、当然のように菅政権でも継承される。この政権には見過ごせないことが山ほどあるのである。
そんな悪辣政権に74%もの支持率を与えてしまうとは……。さらには、不支持率はわずか14%である。まるでプーチンのロシアか金正恩の北朝鮮じゃないか。この数字はマトモではない。
新首相を持ち上げるような大政翼賛的な雰囲気の中で、この国は全体主義に向かっていこうとしているのか。このままでは、独裁国家へまっしぐらだ。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)は言う。
「菅首相は『基本的人権』『民主主義』『国民主権』について語ったことがない。これらを前提にして政治は行われなければいけないのに、『選挙で選ばれれば何をやってもいい』というのが菅首相の政治姿勢なのです。コロナ後の世界の共通認識はいかに『公助』を高めるかです。しかし、『自助』が先にある菅首相は、経済的にも精神的にも肉体的にも強い者だけが生き残ればいいという考え方。ヒトラーに代表される独裁政治の『優生主義』の思想です。そのうえ、国会で施政方針演説をせずに勝手に改革を進めようというのは民主主義をないがしろにしたやり方。内容においても手法においても、日本を独裁政治で統率して行く、という表明なのだと思います」
国民は苦労人や改革イメージに騙されてはいけない。この政権の危険な本性を見破らなければダメだ。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK276掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK276掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。