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ネオコンの手のひらの中で踊らされている日本人
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2020.09.13 櫻井ジャーナル
安倍晋三首相が辞意を表明したことを受け、自民党では総裁選が告示され、石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長が立候補したようだ。次の総裁は9月14日に選ばれる。
菅が最有力候補だとされている。嘘、言い訳、はぐらかしを繰り返してきたという声も聞こえてくる人物だが、安倍政権の官房長官を務めてきたということは、この人物が選ばれたなら「安倍政権」が続くことになるということ。かといって石破や岸田は具体的な政策が見えず、期待できそうにない。
政権交代という声もあるが、安倍政権という悪夢は鳩山由紀夫降ろしから始まったことを忘れてはならない。東シナ海を「友愛の海」と呼ぶ民主党の鳩山が総理大臣に就任したのは2009年9月のこと。この主張はアメリカを支配する人びとを刺激した。
ソ連が1991年12月に消滅すると、ネオコンはアメリカが唯一の超大国になったと考え、単独で行動しても文句を言える国はなくなったと判断、国連を無視するようになる。そこでネオコンは1992年2月に国防総省のDPG草案という形で世界制覇プランを作成した。いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンだ。
ところが、日本側は国連中心主義から離れない。そこでマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補を説得してジョセイフ・ナイ国防次官補らに話を伝える。ナイは1995年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表。そこには在日米軍基地の機能を強化、その使用制限の緩和/撤廃が謳われていた。日本をアメリカの戦争マシーンに組み込む青写真だとも言えるだろう。
その当時、日本で怪事件が続いたことは本ブログで何度か指摘した。例えば、1994年6月に松本サリン事件、95年3月には地下鉄サリン事件、その直後には警察庁長官だった國松孝次が狙撃され、1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われるスターズ・アンド・ストライプ紙が日本航空123便に関する記事を掲載、その中で自衛隊の責任を示唆している。
1995年には大和銀行ニューヨーク支店で巨額損失が発覚、98年には長銀事件と続いて銀行界に激震が走り、証券会社のスキャンダルも発覚した。こうした問題には大蔵省(現在の財務省)が深く関与していたはずだ。
ナイ・レポートが発表された後、日本はアメリカの戦争マシーンに取り込まれていくが、その流れの前に立ち塞がったのが鳩山だった。その鳩山と近かった小沢一郎に対するスキャンダル攻勢は2006年から始まっている。週刊現代の6月3日号に「小沢一郎の“隠し資産6億円超”を暴く」という記事が掲載されたのだ。
2009年11月には小沢の資金管理団体である陸山会の04年における土地購入に関し、政治収支報告書に虚偽記載していると「市民団体」が小沢の秘書3名を告発、翌年の1月に秘書は逮捕されている。また「別の市民団体」が小沢本人を政治資金規正法違反容疑で告発、2月には秘書3人が起訴された。
裁判の過程で検察が「事実に反する内容の捜査報告書を作成」するなど不適切な取り調べを行ったことが判明、この告発は事実上の冤罪だということが明確になっているが、小沢潰しは成功した。そして鳩山は2010年6月に総理大事の座から引きずり下ろされたわけだ。
鳩山の後任になった菅直人は国民の声を無視、消費税の増税と法人税の減税という巨大企業を優遇する新自由主義的政策を打ち出した。首相就任の3カ月後には海上保安庁が尖閣諸島の付近で操業していた中国の漁船を「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり、日本と中国との友好関係を破壊する動きが本格化する。その協定を無視した取り締まりの責任者が前原誠司だ。次の野田佳彦政権も民意を無視する政策を推進したうえで「自爆解散」、2012年12月の安倍政権の誕生につながる。
安倍もネオコンと関係が深かった。特にハドソン研究所の上級副所長を務めるI・ルイス・リビー、通称スクーター・リビーだ。リビーはエール大学出身だが、そこでポール・ウォルフォウィッツの教えを受けている。ウォルフォウィッツ・ドクトリンを作成した際の中心人物だ。リビーの下にいるのがマイケル・グリーンやパトリック・クローニンである。日本における「報道」を見ると、数年前からネオコンは安倍に見切りをつけたようだが、当初は違ったということだ。
日本が「ファイブ・アイズ」と協力関係を結びことを望んでいると河野太郎防衛相が8月12日に語ったことは本ブログでも触れた。イギリスとアメリカの情報機関を中心とする英語圏5カ国の情報機関による連合体で、イギリスとアメリカから命令が出ている。この連合体は加盟国の政府を監視する役割もある。
そうした発言をした河野は9月9日にCSIS(戦略国際問題研究所)のオンライン・イベントにマイケル・グリーンと共に参加、10月に総選挙があるかもしれないと語っている。
現在、CSISはネオコンの巣窟になっているようだが、元々は1962年にジョージタウン大学の付属機関として設立されている。創設にレイ・クラインというCIAの幹部が関係するなどCIAとの関係が強かった。その事実が発覚したことから1987年に大学と研究所との関係は解消されたことになっている。日本のマスコミがこの研究所のメンバーを登場させる理由は言うまでもないだろう。
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