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崩壊アベノミクスより筋悪スガノミクス
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2020年9月 7日 植草一秀の『知られざる真実』
アベノミクスとは何であったのかの総括が必要である。 残念ながら安倍内閣の7年8ヵ月の間に日本経済は著しく悪化した。 日本の実質GDPは安倍内閣が発足した2012年10−12月期が498兆円(季調済・年率)だった。 これが2020年4−6月期に485兆円になった。 この期間の実質GDP成長率単純平均値(前期比年率)はマイナス0.1% 民主党政権時代の実質GDP成長率単純平均値プラス1.7%を大幅に下回った。 一人当たり実質賃金は約6%減少。 世界最悪の経済パフォーマンスを実現した。 安倍内閣にはレガシー(遺産)がない。 憲法改定、日ロ平和条約、拉致問題解決の旗が掲げられたが、すべて1ミリも前進しなかった。 悪評高い 特定秘密保護法制定、集団的自衛権行使容認憲法解釈変更、戦争法制制定、共謀罪創設、TPP参加、水道法改定、漁業法改定、スーパーシティ法制定 などが実行された。 甘利明氏疑惑、下村博文氏疑惑、森友・加計・桜を見る会疑惑、河井克行氏夫妻公選法違反事件など、不祥事のオンパレードだった。 内閣支持率急降下=衆院選敗北のシナリオが敷かれていたが、メディア不当支配によって強引に状況変化がもたらされている。 安倍首相辞任を美談に仕立て上げ、予定されていた菅義偉氏への政権移譲が実行されている。 内閣支持率を人為的に引き上げたタイミングを捉えて衆院解散総選挙が強行される可能性が高い。 総選挙時期の先送りは コロナの不透明性 五輪の不透明性 経済状況の不透明性 そして、 内閣支持率推移の不透明性 を忌避される可能性が高いと見られる。 年内衆院総選挙の可能性が高いと思われる。 10月25日投開票の可能性は十分にある。 この点を踏まえて、菅内閣の特性がどのようなものになるかを見極める必要がある。 菅内閣の最大特徴は「成長戦略路線」の拡張になると思われる。 「成長戦略」とは「大資本利益の成長戦略」だ。 柱が五つある。 農業自由化、解雇の自由化、民営化、特区創設、法人税減税 である。 安倍内閣が提示した「成長戦略」の柱がこの五つだが、菅内閣の中核にこれが置かれることになる。 菅内閣においては憲法改定、歴史認識の改変などのウエイトが下がり、安倍内閣が提示した「成長戦略」の深化が政権運営の核心に置かれることになる。 「大資本利益の成長戦略」と記述したが、その「大資本」とは世界市場を支配する多国籍巨大資本のこと。 農業自由化、解雇自由化、民営化、特区、法人税減税はTPP推進政策に集約されてきた。 TPPこそ巨大資本が求める制度改変強要の集大成だ。 トランプ大統領はTPPから離脱したが、TPPを超える内容を盛り込む日米FTAを日本に強要している。 安倍内閣が関税部分について米国の要求を呑まされたが、これから第二段階の制度改変強要に移行する。 日米FTAの第二ステージで日本の諸制度、規制改変が強要されることになるが、この政策において米国の命令に服従することが、米国が菅新政権を容認する背景になったと考えられる。 菅内閣の下で究極の売国政策が推進される可能性が高い。 大資本利益の極大化は一般庶民利益の極小化を意味する。 日本の制度改変が強要されることによって、日本の市民の生命、健康、幸福追求権が侵害される。 農業の自由化は日本の農業をグローバル巨大資本の支配下に移行させるもの。 労働規制撤廃=解雇の自由化は、大資本が労働者を最低の費用で使い捨てにすることを支援するもの。 公共サービスの民営化=営利化は一般庶民の不利益と引き換えに大資本に利益を供与するもの。 特区はさまざまな制度改変のなし崩し強行を図るもので、特定の利害関係者に利益を供与するもの。 法人税減税は一般庶民の消費税負担激増という犠牲と引き換えに実行されてきたもの。 一般庶民を犠牲にして大資本の利益増大を図る政治が一段と強化されることになる。 |
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