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8月 31, 2020 日々雑感(My impressions daily)
<空軍力と言えば、戦闘機や爆撃機が花形であり、現代戦では、ステルス機が最も注目される。
近代化を進めてきた中国軍新型戦闘機数は日本の約4倍になり、作戦空域も日本領土の大部分に到達できるようになってきた。では、中国空軍戦闘機の空中戦闘能力はどうなのか。
中国と日本が同じレベルの戦闘機で、空軍の総合的な戦いになれば、「日本が有利だ」、その逆に「日本は勝てない」とする評価もある。
実際はどうなのかを戦闘機の能力および総合的な空中戦闘システムの観点から分析する。
■ 中国空軍の空中戦闘能力の推移
中国空軍は1995年頃まで、近代的戦闘機「Su-27」戦闘機26機だけであり、「J-6/7」(露名「MiG-19/21」)などの旧式戦闘機を約4000機保有していた。その戦闘機の戦闘行動半径は、東シナ海のほぼ中間線で、空対空ミサイルの射程は7〜8キロであった。また、戦闘機は、中国本土のレーダーサイトの管制官からボイス通信で指示されていた。例えば、レーダーサイトの管制官が「○○号機、どの位置に日本の戦闘機が出現した。対応せよ」といった具合だっただろう。
一方、この当時の航空自衛隊「F-15」、「F-4」戦闘機は、上空に上がれば、早期警戒管制機(AWACS)とデータリンクで繋がっていた。
リアルタイムで敵味方の航空機情報を得て、射程約50〜70キロの空対空レーダーおよび空対空赤外線ミサイルを発射して確実に撃墜するというシステムと技術を保有していた。
日本は、この当時から早期警戒機(AEW)と早期警戒管制機(AWACS)を保有していた。AEWは、管制能力や航続時間ではAWACSに劣るものの、洋上での艦艇や航空機などに対する警戒監視を実施できる航空機で、わが国は「E2C」および改良型の「E2D」を保有している。
早期警戒管制機としては、ボーイング製中型旅客機の「B767」を改造した「E767」を保有している。 近代的な戦闘機とAWACSを要とした空自戦闘機が、日本周辺空域において、10倍以上の中国空軍旧式機と交戦のシミュレーションをすれば、日本が航空優勢を獲得できることが分かっていた。
このため、中国軍機が、実際に上空に上がれば、パイロットに気づかれずに、日本の戦闘機は、中国軍機を撃墜すると推測されていた。 このためか、MiG-17/19/21戦闘機は、実際に東シナ海に展開することはまれであった。 空対空ミサイル戦の様相と変化(イメージ)
■ 現代の日中戦闘機による空中戦闘
中国空軍は、軍事費の著しい増強により、ロシアのSu-27戦闘機などの新型機を導入し、戦闘機の近代化とその機数を増加した。
また、新型戦闘機のほかに、組織的かつ効率的に戦うための航空機やシステムを導入してきた。
例えば、戦闘機、対地攻撃機のほかに、敵機の情報と友軍機に射撃指示を与えるための高度なシステム保有したAWACS、通常の戦闘行動半径を延伸し長時間絶え間なく戦えるように空中で給油する空中給油機、相手のレーダーや防空兵器の機能を妨害する電子戦機などである。
中でも早期警戒管制機は、空域管理、敵味方識別、空中戦闘指揮、統合共同作戦などの中核をなしている。近代化した中国戦闘機が日本に対して攻撃する場合はどうか。
中国が現在保有する戦闘機は約2000機、そのうち旧式機は、対露・印・東南アジア諸国からの攻撃に備えることになる。新型機は約1200機であり、全力が日本に指向されるとすれば、日本の新型機約300機の約4倍だ。その戦闘機の攻撃は、戦闘行動半径の範囲内(戦闘機の作戦行動範囲とみてよい)に限られ、一度に数百機が大群をなして攻撃してくるのではなく、数十機ごとに分かれて、何度も何度も攻撃する波状攻撃を実施してくると考えられる。
中国戦闘機の戦闘行動半径と日中近代戦闘機数比較
現在、中国の新型戦闘機が装備する長射程空対空ミサイル「PL-12」、「PL-15」の射程が約50〜170キロである。 日本が保有する「AIM-120」ミサイルの射程とはほぼ同じである。
敵と我の戦闘機の射程が70〜170キロの空対空ミサイルを使用することが当たり前になってきた。相互に、70〜170キロの撃ち放しの様相になってきた(図1の2020年参照)。パイロットが目で確認できない遠い所で戦うのである。
もし、尖閣諸島付近で戦うことになれば、日中軍用機が東シナ海全域に、入り乱れて戦闘することになる。
■ AWACSを要とした空中戦闘の要領
前述の戦闘になれば、監視空域の敵機に関する位置情報および友軍機の情報が必要である。また、戦闘機集団の効率的な指示や運用が必要になる。
それも数十機の味方機に情報を瞬時に伝えるのである。 戦闘機が装備するレーダーを使って、敵機を捜索、発見してミサイルを発射するような個別の戦いをしていては、相手側の戦闘機に簡単に撃墜されてしまう。
このため、組織的な空中戦闘を実施することが求められている。 近代的な空中戦闘を左右し、その要となっているのはAWACSである。電子機器の塊でもある。また、地上に設置されたレーダーの覆域を補完し、任意の空域での主に航空機やミサイルなどの経空脅威の情報取得や航空機の管制などを実施できる。
(1)AWACSが搭載しているレーダーの覆域に存在する全ての敵味方機の情報をキャッチする。
(2)敵機の情報を友軍の戦闘機にデータリンクを使って伝える。友軍の戦闘機に危害を及ぼす可能性がある敵戦闘機に、優先順位がつけられている。
(3)パイロットは、リアルタイムで情報を得て、パイロットの決心でミサイル発射ボタンを押す。この時間は、極めて短い。よって、攻撃する側も防御する側も、短時間に効率的な戦いが求められる。
(4)この間、AWACSが撃墜されないように、戦闘機が掩護する。 AWACSを要とした現代の空対空ミサイルの戦闘(イメージ) AWACSとAEW機が、どの程度のレベルにあるのか、新たな世代機として進化しているのか、何機あるのか、国全体をカバーできる機数があるのか、撃墜された時には予備機を直ちに投入できるのか、国産なのか、同盟国から継続的に供給される可能性があるのかが注目されるところである。
日中AWACSの飛行諸元は以下の通りである。
E-2Cその内部の電子機器
■ 空自に迫りつつある中国空軍AWACS
空自は、E2Cを1980年代当初、AWACSを2000年に運用を開始し、2019年に性能アップしたE2Dの導入を始め、総合的な空中指揮システムを完成させている。
一方、中国は空中戦闘においても、米日と同様の戦いを可能にするため、AWACSが不可欠であると痛感し、まず、「KJ-200」を自主開発、KJ-2000をロシアの「IL-76」にレドームを搭載したA-50を導入しようとした。しかし、導入できたのはIL-76の機体だけで、最も重要なAWACSの管制システムを導入できなかった。
そのため、イスラエルからレドームなどの情報を得ようとしたがうまくいかず、結局、KJ-2000のAWACSシステムを自主開発せざるを得なかった。
KJ-2000のレドームの性能の詳細については秘密性が高く不明であるが、コントロールできる友軍機の数、データを伝えるシステム、情報伝達内容などの総合的な管制の仕組みについて、日米のAWACSよりも性能が悪いと評価されている。
データリンクが可能な味方航空機数は、10機と推測され、米国の「E3」や日本のE767などの早期警戒管制機に比べると、性能はかなり低いとみられている。
アンテナ関係はフェーズド・アレー・レーダーで固定式である。故障が多いとのことであったが、大震災の救助任務時は航空機の多数の救難機全体管制を、北京オリンピック時のエアカバーを無難に行っていた。
中国空軍は、KJ-200、KJ-2000、およびパキスタンに輸出した「ZDK-03」の成果を反映して、「KJ-500」を製造したことで、日本のAWACSに近い成果を上げた。
この結果、日中双方が、図3のAWACSを要とするシステムで戦うようになってきた。 KJ-2000はロシアのIL-76の機体を使用しているために、生産量に限りがあった。KJ-500は、国産製造されるY-8/9を利用しているために、12〜17機生産するものと予想されている。
中国空軍機2000機の運用、広大な国境防衛のためには、インド、ロシア、東南アジアの正面に配分する必要があるためだ。
中国が早期警戒管制機を導入したことによって、軍種統合の任務遂行やロシアなどとの共同訓練の実施など、その能力が次第に向上しつつあるものと考えられる。
■ 総合力ではまだ日本が一歩リード
中国は、空中戦闘においてAWACSを要として、システムを使って総合的に戦う作戦能力を逐次向上しつつある。当初はKJ-200、次にKJ-2000、さらにKJ-500の順で、改良を加えつつ製造してきた。 AWACSの管制能力は、高レベルの秘密(トップシークレット)であって、詳細は明らかにされていない。
しかし、3種のAWACS製造と運用の実績を踏んできたこと、敵機の情報処理能力、友軍機の指示能力およびデータリンク能力が向上してきていることからも、日本のE767とほぼ同じ能力までに接近していると考えられる。とはいえ、最近では、日米は共同交戦能力CEC(Cooperative Engagement Capability)システムを導入し、戦闘機・艦艇・AWACSのどれかが発信する情報をリアルタイムで共有して、脅威に対し、全体で共同して対処・交戦する能力を保有できるようになった。例えば、AWACS、「F-35」、イージス艦が入手した情報をデータリンクや情報処理装置で連結し、最も的確と考えられる兵器により射撃を行うというようなことだ。
中国はCECシステムを、まだ保有していない。現在、近代戦闘機の機数が4倍に及ぶ中国軍に、日本は一歩進んだ空中戦闘システムを使えば勝利できるだろうか。
将来的には、軍事費を著しく増加させている中国軍に、数的に大きく差をつけられているだろう。その時点で、日本の国土防衛が可能だといえるだろうか。特に、日本本土から遠く離れ、中国の沿岸部から近い尖閣を含む南西諸島の防衛は極めて難しくなる。
南西地域の防衛に、何が必要なのか、どのようにして守るのかを早急に明快な解を得ておく必要があろう>(以上「JB press」より引用)
引用したJB pressの記事は空中戦における日中比較をしている。日中空軍が戦えばいずれが勝つか、という検証だが、緊迫した東南シナ海の状況では緊迫感を伴う読み物だ。
しかし結論からいえば空中戦という熱い戦いはないだろう、というのが私の考えだ。中共政府にとって、熱い戦いを米国や日本と開始した瞬間に、中共政府の中国に対する自由主義圏からのデカップリングが完成することになるからだ。それは話し合いの余地など1ミリもない、完全なデカップリングだ。
それは同時に米国から買い付けた穀物類の輸入もすべてストップすることを意味するし、中共政府が対米交渉の最後の切り札にしている中国保有の米国債も米国が「無効宣言」することにより、たちまち紙屑と化してしまう。つまり中共政府の中国が破産することと同時に食糧不足による飢餓か中国民を襲うことになる。
それはつまり中共政府の瓦解を意味し、中国軍は空中戦の決着が着く前に敗退せざるを得なくなる。たとえ強固な意志で戦闘を継続したところで、中国軍に石油の備蓄がどれほどあるというのだろうか。国民の食糧備蓄だって、食糧管理をしている官僚たちが平気で横流してしまう国民性だ。中共政府が石油備蓄がある、と思っていたも、実際は備蓄タンクが空だったということも充分にあり得る。
さらに、中国軍が所有する兵器の信頼性にも問題がある。つい先日、中国が南シナ海へ向けて四発発射したミサイルに関しても、日本のマスメディアは二発しか言及していないことに違和感を感じた人はいただろうか。
実は残りの二発は広西省内に着弾していたという。南シナ海に到達した二発に関しても、当初予定していたミサイル着弾目標海域から大きくそれていたようだ。海へ向けて内陸部から発射したミサイルが海に到達しないで内陸に落下したという不始末を日本のマスメディアはなぜ報道しないのだろうか。
中国は未だに精密な自動車エンジンや自動ミッションなどは自国で生産できない。製品や部品の3Dコピー機などで簡単にコピーは出来ても、工業技術はコピーできない。簡単な構造のタンカーなら建造できるが、複雑な構造の巨大空母は簡単にコピーできない。
旧・ソ連か建造した空母「遼寧」をコピーして建造した「山東」は就航間もなく船体が裂けて浸水し沈没の危機陥り、緊急にドック入りしたままだという。とても中共製のナンチャラAWACSで中共軍がデータリンクして、中国空軍機が自衛隊機と互角に戦えるとは思えない。
しかし、中共政府は引き返し不能の暴走を始めている。ミサイル四発を米国空母が展開している南シナ海へ向けて発射したことが致命的だ。一昔前なら宣戦布告と取られても仕方ない暴挙だ。
慌てて中共政府は王外相を欧州へ派遣したが、欧州各国は冷ややかな態度に終始したようだ。「一帯一路」でカネで買収したイタリアさえ、空港の歓迎式に首相は来なかったという。
国安法を香港に強行したのが習近平氏の命取りだったようだ。それで西側諸国は「反人権」の中共政府の中国から離反した。武漢肺炎を世界中に感染拡大させた中共政府の責任も甚大だ。
国内で「人から人感染」が判明した昨年12月の早い段階以降も、中共政府はWHOへの新型感染症の報告義務を怠ったばかりか、一月に調査に訪れたWHO事務局長と結託して「非常事態ではない」と北京で発表させた。そして中共政府は国内から中国人が出国するのを世界で蔓延が確認されるまで禁止しなかった。それは人類に対する明確な犯罪行為である。
既に中共政府の中国はデカップリングされている。ことに西側諸国で中共政府の中国を積極的に支持する国は皆無だ。その中共政府が日本と事を構えるとは思えない。
最終段階まで中共政府要人が中共とともに運命を共にするとは思えない。彼らの中共に対する忠誠心は利益獲得の手段に過ぎない。熱い戦いを開始しようと中共政府が腹を固めているとは到底思えない。しかし膨張する中共政府の中国は人類にとって脅威であることに変わりない。
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