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米国の支配者にとって都合の良い安倍首相だが、見切りをつけられて辞任を表明
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202008280000/
2020.08.29 櫻井ジャーナル
安倍晋三首相が8月28日夕方に記者会見を開き、辞意を表明したという。第2次安倍政権は2012年12月、野田佳彦首相が「自爆」してから約7年8カ月続いた。「憲政史上最長」だというが、それはアメリカの支配者にとって都合の良い政治家だったことを意味しているにすぎない。安倍絡みのスキャンダルが問題にされなかったり、もみ消されたのもそのためだろう。
アメリカの属国である日本がアメリカの戦略に左右されることは必然である。そのアメリカではシオニストの一部であるネオコンが1992年2月、世界制覇を実現するために詰めの作業に入ることを国防総省のDPG草案という形で宣言した。国防次官だったネオコンのポール・ウォルフォウィッツが中心になって作成されたことからウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。
そうした単独行動主義を打ち出せたのは、ソ連が1991年12月に消滅したからである。ネオコンはアメリカが唯一の超大国になったと考え、単独で行動しても文句を言える国はなくなったと判断したのだ。国連を重視する方針を示していた細川護熙政権は潰された。そして1995年にジョセフ・ナイ国防次官補は「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表、日本をアメリカの戦争マシーンに組み込む方針を示した。その当時、日本で怪事件が続いたことは本ブログで何度か指摘した。
その後、日本は実際に戦争マシーンへ組み込まれていくが、そうした戦争への道から日本が外れそうになったことがある。2009年9月、東シナ海を「友愛の海」と呼ぶ民主党の鳩山由紀夫が総理大臣に就任したのだ。アメリカの支配者の戦略に楯突く主張だ。
アメリカの支配者は自分たちにとって鳩山が好ましくない人物だということは、その前からわかっていただろう。そうしたことが影響したのか、鳩山や小沢一郎に対する攻撃は始まっていた。
例えば、2009年から11年までNSC(国家安全保障会議)のアジア上級部長を務めたジェフリー・ベーダーは講演会で鳩山の東アジア共同体構想を罵倒し、日米関係の最大の懸念だったとも語っている。
また、2006年6月3日号の週刊現代は「小沢一郎の“隠し資産6億円超”を暴く」という記事を掲載、09年11月には「市民団体」が陸山会の04年における土地購入で政治収支報告書に虚偽記載しているとして小沢の秘書3名を告発、翌年の1月に秘書は逮捕されている。また「別の市民団体」が小沢本人を政治資金規正法違反容疑で告発し、2月には秘書3人が起訴された。この間、ほかのメディアも反小沢キャンペーンを展開している。
その後、検察が「事実に反する内容の捜査報告書を作成」するなど不適切な取り調べがあったことが判明、この告発は事実上の冤罪だということが明確になるが、小沢のイメージを悪化させることには成功した。小沢とタッグを組んでいた鳩山は2010年6月に総理大事の座から降りざるをえなくなる。
その後任になった菅直人は消費税の増税と法人税の減税という巨大企業を優遇する新自由主義的政策を打ち出して庶民からの支持を失っただけでなく、中国との関係を悪化させる行動に出る。海上保安庁が尖閣諸島の付近で操業していた中国の漁船を「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり、漁船の船長を逮捕した。この逮捕劇の責任者は国土交通大臣だった前原誠司。この後、日中友好の流れは断ち切られ、軍事的な緊張が高まっていく。
菅直人の後、2011年9月に首相となった野田佳彦も菅直人と基本的に同じように冷酷非情な社会を築く政策を進め、選挙になれば敗北することが確実な情勢の中、12年12月に内閣総辞職。総選挙では予想通りに民主党は惨敗、安倍晋三グループの独裁体制を招くことになったのだ。
当初、安倍の後ろ盾もネオコンだった。特にハドソン研究所の上級副所長を務めるI・ルイス・リビー、通称スクーター・リビーの存在が大きい。この人物はエール大学の出身だが、そこでウォルフォウィッツの教えを受けている。安倍がウォルフォウィッツ・ドクトリンに従う、つまりアメリカの世界制覇戦争へ日本を加担させることは必然だった。
安倍は2015年6月、赤坂にある赤坂飯店で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたという。これは本音だろう。南シナ海は中国が進める一帯一路の東端にある海域にあり、重要な海域。アメリカがそこをコントロールすることで中国の交易計画を潰そうとしている。その手先にされようとしているのが海上自衛隊だ。
そうした安倍だが、何年か前からネオコンに見切りをつけられたのではないかと思える雰囲気があった。安倍には政治家、官僚、大企業経営者、マスコミの人間などを脅す仕掛けがあるとも噂されているが、そうした仕掛けが機能していたのかもしれない。それでも安倍は辞意を表明せざるをえなくなった。アメリカの支配者からの圧力がそれをほど強かったのだろう。この支配者が次の操り人形を用意していることは間違いない。
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