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8月 17, 2020 日々雑感(My impressions daily)
<安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が黄昏を迎えている。足元の深刻な不況は新型コロナウイルスの感染拡大が直接の原因だが、戦後最長を誇った景気拡大が幻となった上、既に後退局面に入っていた令和元年10月に消費税の増税を強行した“判断ミス”も内閣府研究会の判定で裏付けられた。自民党総裁の任期満了を来年に控え、消費税減税を大義名分に早期の衆院解散に踏み切るのではとの臆測もくすぶっている。
「アベノミクス景気の“山”がこう判定されたことは残念だが、政府としての景気判断は間違っていなかったと今も確信している」
西村康稔経済再生担当相は7月30日、内閣府の有識者研究会が平成30年10月を転換点として景気が後退局面に入ったと認定した後の記者会見でこう指摘した。
政府は31年1月時点で、第2次安倍政権が発足した24年12月に始まった景気回復局面が「いざなみ景気」(14年2月〜20年2月、73カ月間)を抜き「戦後最長になったとみられる」(当時の茂木敏充経済再生担当相)と指摘していた。判断のズレは明白だが、西村氏はむしろ研究会の判定方法に問題があったとして今後見直す考えを表明。「景気判断の一貫性に疑問が生じる」と懸念する声もある。
■金融緩和以外は失速
大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間活力を喚起する成長戦略という「3本の矢」をひっさげて華々しく登場したアベノミクスは、歴史的円高や高い法人税率など当時の企業が直面した「6重苦」を改善し、景気を拡大軌道に乗せた。
特に、日本銀行が25年4月に資金供給量を2年で2倍に拡大する「異次元の金融緩和」を打ち出したことで為替相場は円安に反転。政権発足前に1万円を割り込んでいた日経平均株価が2万円台に上昇したほか、求職者1人当たりの求人数を示す有効求人倍率も1倍を大幅に上回る水準に回復し、逆に人手不足が懸念される売り手市場になった。
ただ、金融政策とは裏腹に、財政政策と成長戦略という残り2本の矢は伸び悩んだ。 ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長によると、公共投資は政権発足直後に実施した10兆円規模の大型経済対策で急拡大したものの、30年度までの6年間の伸び率は年平均0.3%と、その後はむしろ減少傾向になったと指摘。国土強靭(きょうじん)化やコロナ対策で現在は財政支出が拡大しているが、「少なくとも景気が後退局面に入る平成30年10月までは実態として緊縮気味だった」と分析している。 成長戦略は「地方創生」「一億総活躍社会」など看板を次々と掛け替えて目新しさをアピールしたが、名目国内総生産(GDP)600兆円をはじめ政策目標の未達が目立つ。少子高齢化による人口減や東京一極集中による地方経済の疲弊、デジタル化の遅れといったこの国の宿痾(しゅくあ)を乗り越えられないまま、次の景気後退の波に飲み込まれた。
■欧州ではコロナ減税
コロナ禍による戦後最大の経済危機を乗り越えるため、政府は事業規模230兆円超という空前の補正予算を編成。景気が底を打つ“谷”は緊急事態宣言が解除された5月だったとの見方もある。ただ解除後の感染再拡大でまた下押しされるのは避けられず、回復の流れが続くかは不透明だ。
総務省が発表した6月の家計調査(2人以上世帯)は1世帯当たりの消費支出が27万3699円で、物価変動を除いた実質で前年同月比1.2%減だった。過去最悪の減少幅を記録した5月(16.2%減)に比べ改善したとはいえ、依然として低水準だ。感染拡大を防ぐため人の移動を抑制せざるを得ない現状では、消費のV字回復は難しい。
そこで自民党内で取り沙汰されるのが、景気刺激に向けた時限的な消費税減税だ。
英国やドイツなどは、コロナ禍で既に日本の消費税に相当する付加価値税の減税に踏み切った。26年11月の衆院解散では消費税率10%への増税を先送りするか否かが総選挙の大義名分となった経緯があり、景気後退期に引き上げてしまった税率を下げるなら、十分な口実になるというわけだ。
ただ、安倍首相は月刊誌「中央公論」9月号のインタビューで消費税減税論には否定的な考えを表明している。また、英国はリーマン・ショック直後の2008(平成20)年末に付加価値税を時限的に引き下げたが、10年1月に元の水準に戻し、翌年にはさらに増税している。仮に日本で減税が実現したとしても、補正予算を含むコロナ対策の莫大(ばくだい)な財政支出を回収するため終息後に東日本大震災の復興増税のような増税とセットになる可能性がある。
麻生太郎財務相は「財政を放漫なまま置いておくわけにはいかない。将来世代への責任を考え、持続性を確保する必要がある」と指摘する。ポストアベノミクスの経済政策は既に増税の影がちらついている。(経済本部 田辺裕晶)>(以上「産経新聞」より引用)
当初から、このブログで安倍自公政権の経済政策はアホノミクスだと酷評してきた。もちろん日銀の異次元金融緩和は円高為替相場を引き下げるのに有効だったが、それは反面「日本の安売り」を助長する副作用を持っていた。
日本を安売りしているのだから日本の株が外国投資家によって大量に買われるのは当然だが、相対的に安くなった日本の土地が中・韓の人たち(中国の場合は必ずしも民間人とは言い難い側面があるが)によって大量に買われた。
アホノミクスにより日本は長期ゼロ成長(世界平均の3%成長から見れば、明らかなマイナス成長だ)を続けて来た。それでもグローバル化路線をひた走ったため、結果として日本国民は貧困化した。
儲けたのは一握りの投機家と資本家たちだけだ。グローバリズムとはそうした人たちの儲け至上主義を実現する仕組みでしかないのだが、それを安倍自公政権は「構造改革」と称して「規制緩和こそ正義」との洗脳を国民に行い、戦後日本を支えて来た社会構造を破壊してしまった。
消費増税に反対する論評をこのブログで書き続けて来たが、NHKを含めた日本のマスメディアはグローバリストたちの下請け広報機関に堕して、せっせと消費増税こそが「財政規律の切り札」だとプロパガンダを大宣伝してきた。やっと安倍応援団の最右翼の産経新聞で引用記事のような消費減税に言及しだしたのは周回遅れの認識だと、その鈍感さに呆れるしかないが、「過ちを知って改むるに憚ることなかれ」という。
日本を力強く経済成長させなければ、日本の未来はない。少子化の社会制度矛盾を発展解消するのも、経済成長以外にはありえない。もちろん財政赤字の削減も経済成長でしかありえない。
既に経済学界では死滅した静態的経済理論が日本の財務官僚が大真面目に「財政規律論」を説明する論理的根拠にしているのにも呆れ返っているが、その滅茶苦茶論理を日本のマスメディアが手を変え品を変えて国民に洗脳プロパガンダを垂れ流すのにも呆れ果てている。
教育番組を模した池○某氏の「そうだったのか」という劣悪財政理論のオンパレード番組は財務省監修のプロパガンダ番組かと目を疑う内容だ。あれこそ国民洗脳番組で、まさしく戦前の翼賛マスメディアを彷彿とさせる。なぜ財務省「財政規律論」の対極にあるMMT理論派の財政学者を同番組に登場させて両論を並列させないのだろうか。いずれの理論を是とするかは国民が判断すれば良いだけではないか。しかしNHKを含める日本のマスメディアはMMT理論は異端の経済理論だと決めつけて排斥しているようだ。
だが現実は私たちが警告したようになった。消費増税すれば日本のGDPはマイナスになり、デフレ経済に逆戻りすると警告していたが、残念ながらその通りになっていた、と上記記事で産経新聞が平成30年10月にマイナスに転じていたと認めた。
それでも政府は依然として「イザナギ超え」との主張を崩していない。なんと馬鹿げたことだろうか。統計上の指標を幾ら誤魔化しても、現実社会は何も変わらない。国民は貧困化している事実は何も変わらないし、それにより深刻な少子化が進んでいる現実も何も変わらない。
そうした現実を正直に評価すればマスメディアはアベノミクスは失敗だった、と数年も前に厳しい判断を安倍自公政権に下していたはずだ。そうすれば、日本経済はこれほど大きく衰退することはなかったし、消費税10%の導入もなかったはずだ。
このブログに何度も書いたことだが、日本経済の主力エンジンは個人消費だ。外需依存といわれたのはバブル以前の話で、日本経済の体質は大転換を果たしている。だから経済成長させるためには消費税を廃止して、個人消費に活力を蘇らせなければならない。
野党連合は日本経済を再び高度経済成長させ、国民の生活と福祉を充実させるためにも「消費税廃止」を掲げ、富裕層に実質的な大幅な減税を行っている配当所得の20%分離課税を廃止して総合課税にすべきだ。もちろん、超過累進課税も一部復活させるべきだ。
法人本税は旧に復し、その代わり政策減税を行うべきだ。それは企業の生産設備投資や研究開発投資を促進し、長期的に「モノづくり日本」を蘇らせる旗振り役を政府が努めることだ。そうした国民の福祉向上に資する政策を野党連合は推進すべきだ。アホノミクスを盲目的に支援して来た自公政権にはこの際、政権から退去して頂く方が良い。
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