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小沢一郎が動いた。「民主主義を守る」立憲・国民の合流新党は日本を救うか? https://t.co/MHtEI81o0s
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小沢一郎が動いた。「民主主義を守る」立憲・国民の合流新党は日本を救うか?
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2020.08.14 新恭(あらたきょう)『国家権力&メディア一刀両断』 まぐまぐニュース
安倍政権に批判的な有権者の受け皿として大合流が期待されていた立憲民主党と国民民主党ですが、蓋を開ければ国民側が分党した上で、賛成派のみが立憲と合流するという結果となりました。この「小規模合流」については期待外れとの論評も上がっていますが、「国民民主党代表の玉木氏の労を多としたい」と評価するのは、元全国紙社会部記者の新 恭さん。新さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』にその理由を記すとともに、新党への国民の目線を刷新する必要性も訴えています。
立憲と国民の合流新党が、日本の「ラストチャンス」に?
党名をめぐって難航していた立憲民主党と国民民主党の合流がやっとのことで、実現しそうだ。
立憲民主党の福山哲郎幹事長が8月7日、国民民主党と合流する場合の新党名を「国会議員の投票で決める」と表明したからだが、国民民主党側はすんなり全員とはいかず、「分党」したうえ、となるらしい。
8月11日に「分党」の方針を表明した国民民主党の玉木雄一郎代表は「消費税減税など軸となる基本政策について一致が得られなかった」と理由を説明した。
政策の違いはもちろんある。消費税は、国民が5%へ減税、立憲は引き下げに慎重。原発は、立憲が即時ゼロ、国民は2030年代ゼロ。憲法改正については、国民が積極的に議論すべきとし、立憲は9条改正に断固として反対する。
しかし合流の目的は、野党勢力の大きな塊をつくるため政策の違いを超えて結束することにある。それは、誰もが分かっているはずのことだ。どうしても立憲と一緒になるのは嫌だというのは、政策よりむしろ、感情的なしこりがあるからとしか思えない、
立憲の枝野幸男代表と袂を分かったばかりの山尾志桜里議員などは、どういう考えなのだろうか。枝野代表が国民民主党に対し上から目線だと反発してきた面々はさて…。
玉木代表は立場上、残留組と行動をともにするようだが、誰が立憲と合流し、誰が別行動をとるのか、仔細が決まるのは、お盆休みが明けてからだろう。
立憲サイドには、意見対立でゴタゴタが続いた民主党時代と同じ轍を踏まないためにも「分党」は歓迎、という声もあるようだが、小さな規模の合流になってしまっては、野党結集のうえで物足りない。
「党名」をどうするかが問題のはずだった。立憲民主党がそのまま「立憲民主党」を提案したのに対し、政党支持率がかなり劣る国民民主党は「無記名投票による決定」を主張、合流目前のところで足踏みしていたのを、立憲が歩み寄り、これで万事うまくいくように見えた。
投票案受け入れを発表する前日の8月6日、立憲の枝野代表が国会内で小沢一郎氏(国民民主党)と会談している。
懸案となっている新党名の決め方について、小沢氏は枝野氏に対し、「党名を投票で決めると決断してほしい」と要請。枝野氏は「もうしばらく考えさせてもらいたい」と応じたという。(朝日新聞デジタル) |
小沢氏は、党名にこだわるよりも、いま大切なことをやり遂げようと説得したに違いない。このままでは野党の弱体がいつまでも続き、堕落した安倍自民党政権を生き延びさせてしまう。野党の連合が必要だ。まずは立憲と国民が一つの党になって、野党連合の核をつくらねばならない、と。
image by: kyouichi sato / CC BY
枝野氏が即答できなかった気持ちは、わからぬでもない。「週刊新潮」2020年8月6日号の記事における野党担当記者の解説がいい所をついている。
「両党が対等に解散して一緒になる新設合併方式や、新党の略称を『立民』ではなく『民主党』とすることで、すでに国民側に譲歩しているという思いがあるから。これ以上、玉木さんに歩み寄りたくないんですよ」(野党担当記者) |
何も枝野氏だけの思いではないだろう。要は、立憲は国民民主党を“吸収合併”したかったのだ。国民の玉木代表があくまで“対等合併”を主張して譲らなかったため、枝野氏は党内の強硬派を説得し、両党とも解散のうえ新党を結成する案を提示した。それが、新設合併方式だ。
これで、吸収も対等もなくなったはずだが、枝野氏が提示した党名案に国民側としてはひっかかった。新党の名称を「立憲民主党」とし、通称・略称を「民主党」とする。「民主党」は国民民主党の略称だ、立憲は譲歩したのだと言われても、国民側とすれば、「立憲民主党」を正式名称とする以上、イメージとしてはいかにも吸収合併のようでイヤな感じは拭えない。
党名はどうなる?国民側が「投票による党名決定」にこだわる事情
そこで国民側が出してきたのが「投票による決定」だ。投票なら、たとえ結果として「立憲民主党」に落ち着こうとも、あくまで民主主義手続きで決まったのであって、立憲に吸収されたのではないと説明できる。
国会議員の投票となれば、数の多い立憲民主側の意向が反映され、新党名は「立憲民主党」になると予測はつくが、むしろそれゆえにこそ、国民側としては、決定過程が見える「投票」の手続きが欠かせない。
一方、合流協議を進めながらも、枝野代表の思いは複雑だ。立憲民主党の成り立ちからして、先祖返りのようなことをしたくないのは山々だったに違いない。
これまで国民民主党と意識的に距離を置こうとしてきた枝野氏の姿勢と、その転換過程を振り返っておこう。
2017年秋の衆院選を前に、前原民進党の合流先「希望の党」を率いた小池百合子氏のいわゆる“排除の論理”で誕生したのが立憲民主党だ。枝野氏が苦悩の中から一人で結党会見して立ち上げた新党だった。
カネも組織もない新党に、立候補者が続々と集まってきた奇跡を、我々は忘れることができない。永田町の権力闘争とは別次元の政治風景。安保法制や共謀罪などに反対する市民連合が後押しし、草の根の力がみなぎっていったのは、自然の流れだった。
捨てられた者たちの辛酸と再生のドラマが人々の瞼にいまだ焼き付いている現時点で、あたかも元の鞘におさまるかのような政治行動にまとわりつく無念さ、後ろめたさ。枝野氏の心の揺れは、新設合併方式と党名案を国民側に提示し、7月16日の記者会見に臨んだとき、明瞭な言葉で吐露された。
「今回、お示ししたパッケージとしての提案は、ゼロから立ち上げた立憲民主党をこれまで草の根から支えてきていただいた皆さんの信頼と期待に応えつつ、政権の選択肢として幅広い力を結集する責任を果たす、という両立困難ともいえる命題を解決する上での苦渋の判断に基づくものです」
両立困難な命題を解決する苦渋の判断。重い言葉である。国民との合流は、草の根から支援してくれた人々の思いに反するのではないかという自問自答。それは今でも枝野氏の胸から消えてはいない。しかし、野党結集という大局に立ち、政権奪取に向かわなければ、いつまでも万年野党に甘んじなければならない。立憲民主党が動かないと、野党結集などできるはずがないのだ。
立憲民主党が合流に向けて一歩を踏み出したのは、昨年夏の参議院選が終わってからだった。9月19日、立憲民主党、国民民主党、社会保障を立て直す国民会議の野党3党派の代表、幹事長6人が一堂に会したさい、衆・参両院で統一会派を組むことに合意したのである。
枝野氏が貫いてきた「永田町の数合わせにはくみしない」という姿勢が、これによって崩れた。「こうした戦い方が必要なフェーズに入った、ステージが変わったと思っている」と枝野氏は語った。
方針転換の背景には、参院選における「れいわ新選組」の躍進があった。立憲は議席こそ増やしたが、比例代表では、2017年の衆議院選挙より300万票以上も得票を減らした。一方、れいわ新選組が比例代表で228万票を獲得、安倍批判票の受け皿たらんと自負していた立憲に衝撃を与えた。
つねに野党結集を唱え、枝野氏の決起を促してきた小沢一郎氏は、こう語った。
「枝野さんは立憲民主党の将来に、かなり過大な見通しを持っていたが、山本太郎君が率いる『れいわ新選組』が参議院選挙で出した結果に、非常に影響を受けた」「この結果を見て大きく認識を改めたようだ。山本太郎君に表彰状を出さなくちゃいかん」(2019年10月2日、NHK政治マガジンより)
統一会派結成が決まると、枝野氏は小沢氏に会った。かつては反小沢の急先鋒だった枝野氏も、野党共闘については小沢氏を橋渡し役として頼りにするほかない。
小沢氏は統一会派結成にさいし、立憲との合流を嫌う国民の議員を説得して回った経緯がある。会派の結成だけでは不十分で、政権奪取には両党の合併が不可欠だと主張していた。
党の合流について小沢氏と話し合った枝野氏は2019年12月6日の野党党首懇談会で、国民民主党、社民党、野田佳彦元首相ら無所属議員に、会派だけではなく、党も合流しようと呼びかけた。立憲・国民両党の合流協議は、こうして今に至る。
息絶える寸前の「日本の民主主義」を守るためすべきこと
新党の党名を「代表選挙と合わせて国会議員による投票で決める」という立憲民主党が示した案は、国民民主党の主張に沿ったものだ。玉木代表が賛同しない道理はないはずだが、合流そのものに反対する人々が思いのほか多かったようだ。
政策の不揃いは明白である。連合の利害がからむような政策、たとえば立憲民主党の原発ゼロ政策は、電力総連が忌み嫌うものだ。電力総連は国民民主党の支持母体だし、同党の小林正夫総務会長は電力総連の出身である。
だが“しがらみ”に囚われていると、ロクなことはない。今は、利害とか人間関係の枠を飛び越える時だ。
「政策のすり合わせも必要」と玉木氏は言い、“船長”の責任において、合併反対派とともに党に残留する。不完全燃焼のようではあるが、とにもかくにも、合流を実現させたという意味で、玉木氏の労を多としたい。
間違いなく、新党は、あの民主党に先祖返りしただけとか、また失敗を繰り返すのかとか、人々を期待薄に誘う論評にさらされるだろう。
それでもいいではないか。民主党政権の失敗。その本質はどこにあったのかを総括し、多様な党内議論を一つにまとめる知恵をもって、再生のための壮大なチャレンジをしてもらいたい。
一度は実現するかと思われた二大政党制が民主党政権の失敗で崩壊し、安倍一強政治のもと、長い年月が流れた。もう一度、野党勢力の大きな塊をつくらねば、ほんとうにこの国の民主主義は息絶える。新党を見る国民の目線も刷新する必要があるのではないだろうか。
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