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#Tokyoインパール2020
— 本間 龍 ryu.homma (@desler) August 13, 2020
もはや断末魔の東京五輪、組織委幹部連中のみが開催に固執。今後の課題は今まで伏せられていた様々な問題点を徹底追及し「負の遺産(レガシー)」を可視化することだ。
東京五輪中止は決定的! 組織委への出向者は帰り始め、スポンサーも撤退を検討中 https://t.co/rS0mxhCNHi
東京五輪中止は決定的! 組織委への出向者は帰り始め、スポンサーも撤退を検討中
https://wezz-y.com/archives/79969
2020.08.13 07:00 文=本間龍 wezzy
Getty Imagesより
東京五輪の中止はもはや決定的になってきた。国や組織委が唯一の頼みとしている新型コロナウイルスのワクチンだが、来年の開催までに世界中に行き渡らせることは難しいことが鮮明になりつつある。
コロナは今なお世界中で猛威をふるっている。日本でも緊急事態宣言終了後の7月から全国で感染者が急激に増加しており、各種の世論調査で来年の五輪開催を支持する割合は2割程度という数字に。すでに東京五輪は、国民の支持を失っているのだ。今回はその断末魔ぶりにスポットを当てよう。
■現場は中止を望むが、森喜朗会長は神頼み
組織委の森喜朗会長は7月23日、デイリースポーツのインタビューで「中止はまったく考えていない。毎日神に祈るような気持ちだ」と発言。現場の責任者が、もはや神頼みになっていることを世間に拡散してしまった。神頼みというのも酷いが、そこまで追い詰められているのに撤退戦略を考えていないとは、2兆円以上の国費を投入する事業の責任者としてあり得ない姿勢だろう。
だがその少し前、組織委の内部から「現場はすでに開催出来ないと諦めているが、組織委内では中止という言葉はタブーになっているので、世論がもっと(中止へ)盛り上がって欲しい」という内部告発が7月10日付の東京スポーツに掲載されて話題を呼んでいたのだ。
実は筆者も、組織委内部の複数の方々から、現場はすでに来年開催は無理という意見が大勢を占めているが、理事・役員以上のクラスが聞く耳を持たず、開催に固執しているという情報を得ている。理事達は毎月100万円以上の報酬を得ているので、このまま永遠に延期になってくれた方が良いと考えているのではないか。
その証拠に、組織委副会長の遠藤利明元文科相などは「開催の可否決定は来年3月以降でいい」などと言いだしている。だがそこにはそれを正当化する現実的材料も無く、説得力はゼロだ。来年3月26日から再び聖火リレーが予定されているが、それを途中で中断するなど愚の骨頂であるから、3月以降の判断など絶対にありえない。
■合理的な判断期限は10月
では現実的な可否判断はいつなのか。税金の無駄遣いを無くすためにも、私は一日でも早い方が良いと思うが、現実的には、以前IOCのコーツ調整委員長が言及した、今年の10月頃ではと考える。その理由を複数の角度から解説しよう。
まずアスリートの立場で考えると、多くの競技で最終予選を行わなければならない。そして五輪クラスのトップアスリート達の予選ともなれば、少なくとも半年以上前には日程と場所が決定している。アスリート達はそれに向かって自分を追い込んでいくのであり、体調を調整するために最低半年以上は必要だ、と語る選手達は多い。
つまり、10月になっても半年先の予選日程が組めないほどコロナ禍が継続しているようなら予選すら組めないし、その後の五輪開催などもちろん無理と言うことになる。またその頃になれば、世界中の選手達や選手会から五輪中止要請がIOCに集まり、大きな圧力となるだろう。
また、最後の頼みの綱であるワクチン開発が間に合うかどうかも、10月頃になれば向こう半年先程度の予定がはっきりしてくる。現状でもすでに絶望的だが、それがより明確になってくるのが10月ということだ。
■ボランティアの再募集はない?
組織委内部の動きもチグハグだ。8月30日から、8万人の大会ボランティア登録者に対し来年の参加意思確認が始まっているが、その前月に実施されたアンケートでは、7割近いボランティアが、コロナ下での参加は不安だと答えていた。もしコロナに感染しても現状では何の補償もないのだから、それも当然である。
だがその多くがもし来年の参加を辞退しても、組織委は再募集する予定はないという。数万人ものボランティアが足りないことになれば五輪は実施不可能だから、これは暗に組織委がすでに開催を諦めている証左なのでは、という推測も出ている。
■民間からの出向者が帰任し始めている
組織委内部では密かに瓦解が始まっている。何年にも渡ってキーマン的な仕事をしてきた民間企業(スポンサー含む)からの出向者が、9月以降の契約更新をせずに、出身企業に帰任し始めているというのだ。
もともと組織委の出向者の多くは8月いっぱいまでの契約だったが、大会延期によって彼らの契約も延長するかどうか、話し合いが行われていた。だが先行きの見通しが立たないため、その多くが契約更新せず、出向元に帰っているというのだ。これもまた、組織委内部ではすでに撤収モードが始まっている証左だと考えていい。幹部クラスは決して認めないが、現場では現実的な対応を取り始めているのだ。
■スポンサーも撤退を計画中
商業五輪を支える最重要パーツがスポンサー企業だが、こちらにも暗雲が立ちこめている。延期に伴う経費増加を補うため組織委はスポンサー各社に対し追加費用の拠出を依頼しているが、コロナ禍でほぼ全ての業種が甚大な損失を被る中、はいそうですかと気軽に応じる企業はない。それどころか、7月22日付の日刊ゲンダイでは数社が撤退を計画中と報じられているから、まさに泣き面に蜂である。それが現実となれば甚大なイメージダウンとなるから、組織委としてはタダでも良いから続けて欲しいところだろう。
■最大の課題は「終わらせ方」
以上、唯一の頼みの綱であったワクチン開発が望み薄となる中、撤退に向けた蠢動ばかりが目立っている現状を紹介した。だが中止必至ではあるものの、これからの最大の課題は、「コロナのせい(だけで)で潰れた」と推進者達が言い逃れすることを封じることにあると考える。
私は五輪招致が決まった時から、この巨大商業イベントの問題点を追及してきた。招致時における買収疑惑、福島原発事故アンダーコントロール発言の欺瞞、復興五輪の虚偽、そしてエンブレム盗作問題や新国立競技場を巡るゴタゴタ、10万人以上のボランティア搾取、酷暑下での開催強行など、ここまで疑惑や欺瞞にまみれた五輪は、未だかつて無かった。だが大手メディアが五輪スポンサーとなって翼賛報道に徹したため、多くの国民はこれらの問題から意識的に遠ざけられてきた。
だが上記の問題は、五輪という商業モデルの飽くなき強欲が招いた究極の悪しき到達点である。組織委は事あるごとに五輪の遺産(レガシー)を吹聴してきたが、中止によってそれらは完全に雲散霧消した。むしろこれからは、今まで隠されてきた諸問題を徹底的に検証し、二度と再び同じ愚を起こさせないようにすることこそが、後世への真の遺産「レガシー」になるのではないか。そのためにも、五輪中止の暁には、「コロナで仕方なく潰れた」のではなく、「潰れるべくして潰れた東京五輪」の真相を、広く国民に周知していかなければならない。
(本間龍)
本間龍
1962年東京生まれ。1989年に博報堂に入社し、2006年退社。博報堂時代の経験から、広告代理店とメディアの癒着によって起こる諸問題について告発を続けている。主な著書に『電通と原発報道』(亜紀書房)、『メディアに操作される憲法改正国民投票』(岩波ブックレット)などがある。
twitter:@desler
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