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<1>管理職には“小池リスク”…誰もが潰され使い捨てられる 都庁幹部OBが明かす小池「暗黒都政」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/277095
2020/08/10 日刊ゲンダイ
都知事再選が決まり笑顔の小池百合子氏(C)共同通信社
7月末で公益財団法人 東京都環境公社の理事長を解任された。8月1日から無職である。62歳を目前にした無職の身に今年の猛暑はことのほか身に染みる。理事長職には失業手当は出ないので、当面、妻に食べさせてもらい生き延びるしかない。
それにしても、7月13日の環境公社の理事会と評議員会で、向こう2年間の理事長として正式に承認を得たにもかかわらず、22日の臨時理事会と31日の臨時評議員会によって、私はいとも簡単に「お払い箱」となり後任が決まった。東京都に問い合わせれば、都としては預かり知らぬことであって環境公社がお決めになったことだ、と言い張るに決まっている。
実際、形式上はそうなのだが、都庁のOB人事のエグいところはまさにここなのだ。表向きは関与していないふうを装いながら、裏ではガッチリと幹部OBたちの首根っこをつかまえて支配しているのである。都の関与がないというのであれば、なぜ、私は7月10日に突然、副知事に呼び出されて辞任を通告されたのか。筋が通らないこと甚だしい。
雑誌に載るのは政治的活動なのか
そういえばこの時、副知事からはこんなことまで言われた。7月5日の都知事選投票日の直前、ある写真週刊誌に掲載された私の記事についてだった。内容は拙著「築地と豊洲」(都政新報社)のことや、都政の現状、今後の行方などを語ったものだ。
「君ねえ、都庁のOBには政治的なことに関わらないという美徳があるんだよ。それを知事選直前にあんなことをして、どういうつもりなんだ」
雑誌に記事が掲載されたことが、退任通告の理由である「常識に欠ける行為」に該当するとでも言いたかったようだが、メディアの取材に応じることさえもまかりならぬとは、別件逮捕で身柄を拘束されたも同然だと感じた。いつから都庁は、こんなにも偏狭で高圧的で懐の浅い組織に成り下がってしまったのか。背後にあの人物の冷たい影響力を感じざるを得なかった。
それはともかく、クビを切られて職を失ったおかげで、「都庁OBの美徳」を理由に説教を食らうこともなくなったわけだから、怪我の功名、ああ清々したと言っておこう。
人材の使い捨てとメンタル疾患が増えている
ところで人材の使い捨ては、本家本元の都庁で立て続けに起こっている。新型コロナ拡大の初期段階、都庁は未経験の事態に直面し混乱していた。感染症を所管する福祉保健局には従来から医師の資格を持つ管理職が数名配置されている。だが、彼らもパンデミック(感染爆発)に対処した経験があるわけではない。狼狽した知事や側近から専門的な知見や対応策などについてガンガン詰問されたことは想像に難くない。この時、2人の医師職員が体調を崩したと噂されているから、気の毒なことである。
7月の人事異動では、コロナ最前線の指揮官である福祉保健局長が交通局長に体よく飛ばされたというのは周知の事実だが、これ以外にも人材の使い捨てが発覚している。知事の周りにいる局長級職員が重度のメンタル疾患に陥り、長期の療養生活を余儀なくされたと言われているのだ。
筆者もよく知るこの人物の能力の高さは万人が認めるところだが、よほど精神的に耐えられないことが頻発したのだろう。心が折れるほどの出来事とは何だったのか。一歩間違えば、都庁管理職の誰もが潰され使い捨てられるリスクを負っている。それが今の都庁の偽らざる現実なのである。(つづく)
澤章 東京都環境公社前理事長
1958年、長崎生まれ。一橋大学経済学部卒、1986年、東京都庁入都。総務局人事部人事課長、知事本局計画調整部長、中央卸売市場次長、選挙管理委員会事務局長などを歴任。(公)東京都環境公社前理事長。3月に『築地と豊洲「市場移転問題」という名のブラックボックスを開封する』(都政新報社)を上梓。
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