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※サンデー毎日 2020年8月16・23日合併号 紙面クリック拡大
命より稼ぎ! 「悪夢のような経産省内閣」が国をダメにした?
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2020/08/16/post-2554.html
https://mainichi.jp/sunday/articles/20200803/org/00m/040/002000d
サンデー毎日 2020年8月16・23日合併号
自民党役員会に向かう安倍晋三首相(右)と経済産業省出身の今井尚哉首相秘書官=国会内で2019年2月18日、川田雅浩撮影
牧太郎の青い空白い雲/778
例の「GoToトラベル」キャンペーン。新型コロナ感染症の拡大が収束し、国民の不安が払拭(ふっしょく)された「後」に実施する!と言っていたのに前倒しして7月22日から(東京都だけ外して)旅行代金の割り引が始まった。ドタバタぶりは当然だが、この間、日本の累計感染者は3万人を超え(政府はなかなか認めないが)「第2波」がやって来た。
感染防止のため職場には行くな! しかし、経済再生のために旅行に行け! 国のコロナ対策は何から何までトンチンカンだ。
必要がなかった「一斉休校」、役に立たない「アベノマスク」、なかなか届かない「10万円」「持続化給付金」……誰が決め、誰が実行しているのか? 皆目、分からない。
厚生労働相、経済再生担当相、国土交通相? そうでもないらしい。官房長官? 「原稿」を読むだけの安倍首相?「専門家」なのか? 皆目、分からない。
ただ、言えることは内閣の意思決定に「今井尚哉(たかや)首相補佐官兼秘書官」が深く関係している事実だ。経済産業省出身のこの人物が自らの職分を逸脱して「大活躍」しているのだ。
一体、今井さんって、どんな人物なのか?
東京大法学部。1981年10月、国家公務員採用上級試験(法律)に合格。翌年、通商産業省に入省した。叔父の今井善衛(ぜんえい)氏は通産省の元事務次官(城山三郎の小説『官僚たちの夏』で主人公と対立する官僚「玉木」のモデルと言われている人物)。
資源エネルギー庁の課長だった今井さんが第1次安倍内閣の内閣総理大臣秘書官に抜擢(ばってき)されたのは、善衛氏と安倍首相の祖父・岸信介元首相が商工官僚同士だったからとか。
こんな特別の背景を持つ秘書官は「首相が喜ぶアイデア」を次々に披露する。情報が欲しい高級官僚が彼の元に集まる。記者はお世辞を言う。そのうちに「俺が国を動かしている」と今井さんは勘違いしたのではあるまいか?
今井さんは「外交」にも口を出し、いつの間にか、日本は「経産省内閣」になってしまった。はっきり言って、今井さんがいなければ、安倍さんは何もできない。
コロナ対策で失敗し続けるのは、経産官僚が危機管理が苦手だからだ。今井さんのように、一人一人、動き回り「企画」を立案、「宣伝」するのは得意だが(旧自治省、警察のように)命令一つで組織だって仕事するのは苦手なのだ。
今井さんは「命より稼ぎ」「国民より安倍内閣」である。
安倍さんは常々「悪夢のような民主党政権」と言うけれど、それ以上に恐ろしい「悪夢のような経産省内閣」が続いているのだ。
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