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吉村府知事が招いたうがい薬パニック 品薄で医療団体激怒
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/277069
2020/08/08 日刊ゲンダイ
評判ガタ落ち(C)共同通信社
ある製薬会社の担当者は、ポビドンヨード配合のうがい薬の品薄にタメ息交じりだ。ただでさえ、コロナ禍の影響で供給体制はギリギリ。そこに、大阪府の吉村知事が「ウソみたいなホントの話」とか言いながら、うがい薬で新型コロナウイルスの重症化を防げるとブチ上げたものだから、供給がさらに逼迫。医療用の枯渇も招き、現場が激怒している。
吉村発言を受け、瞬く間に店頭のうがい薬は完売。府には苦情や抗議の電話が殺到しているが、特にカンカンになっているのは医療関係者だ。
府内の医師が構成する「大阪府歯科保険医協会」と「大阪府保険医協会」は6日、抗議文を公表。歯科保険医協会は〈歯科医療機関から「『うがい液』が入手できなくなって困っている」との相談が相次いでおり、入荷できないため、治療で必要な患者に行きわたりにくくなっている〉と怒り心頭。保険医協会は〈関連会社の株価が急騰し、インサイダーを疑う声が出ても仕方がない〉〈猛省してもらいたい〉などと、厳しい批判をぶつけた。
一方の吉村知事は、会見直後から複数の情報番組に出演。「発表すれば品薄になるだろうと思いました」「病院用で使う医科用と市販品を分けているため(市販品は)品薄になると思っていた」などと開き直り、「生産ラインを増強するときに補助をするというところまで政府に話をつけていた」と釈明していたが、だったらなぜ医療現場まで大混乱に陥っているのか。こうなると、市販品の安定供給はしばらく望めないのか。
「イソジン」を販売するシオノギヘルスケアに見通しを聞くと「コロナ禍を受けて1〜2月ごろから需要が高まっている中、(吉村)知事の会見以降は注文がひっきりなし。生産拠点は国内で在庫はゼロではありませんが、流通の関係で店頭の品薄が続いています。増産態勢については今後検討します」(担当者)。
「コサジン・ガーグル」の製造・販売を手掛ける大洋製薬も「1月末以降、注文が生産量を超えているため欠品状態が続いています。安定供給できる時期がいつになるのか、まったく見通せず、簡単には生産量を上げられないのが現実です」(商品管理部担当者)と言う。「明治うがい薬」を販売する明治も、2月から続くフル生産をさらに増強するのは厳しいと報じられている。
「イソジン吉村」が招いた“うがい薬パニック”は当面収まりそうにない。
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