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※2020年8月7日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
https://twitter.com/Trapelus/status/1291638217519710208
※文字起こし
「直ちに緊急事態宣言を出すような状況ではない」
「重症者数や死者数は抑えられており医療提供体制は逼迫していない」
「お盆休みの帰省については自粛を求めない」
「政府としては、引き続き高い緊張感のもと状況を注視していく」――。
6日、広島市で行われた平和記念式典に出席した安倍首相が6月18日以来、約1カ月半ぶりの記者会見に臨んだ。
といっても、質問は内閣記者会と広島市政記者クラブの幹事社が事前に通告した4問に限られ、用意された原稿を棒読みするだけ。会見は、わずか16分間の原稿朗読会で終わってしまった。
安倍が予定された4問を読み上げたところで、朝日新聞の記者が自席で挙手して「まだ質問があります」「国民の不安が高まっている中で、なぜ50日間も正式な会見を開かないのか」などと声を上げたのだが、なんと官邸報道室の職員が記者の右腕をつかんで制止。司会者が「予定時間を過ぎている」と打ち切り、追加質問は認められなかった。
朝日新聞政治部は「質問機会を奪う行為につながりかねず容認できない」と文書で抗議したが、官邸職員が質問封じの実力行使に出るなんて、言語道断だ。民主主義国家ならば、腕をつかんで取り押さえるべき相手は記者ではなく、質問から逃げる安倍の方だろう。
「その場で記者の質問に答えず、事前に用意した原稿を一方的に読み上げるだけでは、記者会見とは呼べない。追加質問を認めないのなら、質疑応答の原稿をプリントした紙を配布するのと変わりません。新型コロナウイルスの感染が再拡大しているのに、首相は国会の閉会中審査にも出席せず、記者会見もしないことに批判が集まっている。
それで、アリバイづくり的に形だけ取り繕って、会見を開いた体裁を取ったのでしょうが、こんな空疎な“会見もどき”は逆効果でしかない。先が見通せないコロナ禍で、国民の不安は高まる一方です。お盆の帰省ひとつとっても、閣僚の発言が一致しなくて混乱を招いている。国民を安心させるためには、国のトップがきっちりと方針を示し、自分の言葉で語りかけるしかないのです。それができなくて、この国難をどう乗り越えるつもりなのでしょうか。国民の自己責任に丸投げでは、何のために税金を払っているのかと怒りの声が上がるのは当然です」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
国民生活より人事や来年の五輪、総裁選が大事 |
“尾木ママ”こと教育評論家の尾木直樹氏も6日のブログでこう呆れていた。
<久々の首相登場なのに 全く緊迫感なし 判断は国民に丸投げしていますー もちろん政府が焦ってはいけませんが 国民に安心感持たせることは必要です でも、今日の久しぶりの会見では 国民との距離感はかってないほど広がりました――>
<国家国民の いやいや全世界、地球規模で不安 先の見通しが立たない事態にあっては 国会で与野党問わず、国も国民も団結して 議会で議論、模索すべき時 にもかかわらず開かないのは何故か? 「国会審議に時間取られて、コロナ対策に打ち込めないから」なんて言い訳 愚の骨頂ではないでしょうか? まるで子ども騙しの詭弁ですね>
ホントその通りで、全国でコロナ感染者が急増し、経済も瀕死の状況で、なぜ国会を開こうとしないのか。むしろ、こんな時は何が起きても対応できるように、常に国会を開いておくことが当然ではないのか。10月まで臨時国会を開かないなんて、あり得ない対応だ。
野党は先週、憲法53条に基づく臨時国会召集の要求書を大島衆院議長に提出。しかし政府・与党は早期召集にまったく応じる気がない。開くとしても10月末とか言っている。現時点で成立を急がなければならない法案はなく、今秋には内閣改造・自民党役員人事が予定されているからだという。人事が落ち着いてから臨時国会だというのだ。何を寝ぼけたことを言っているのか。国民生活より、党役員人事がそんなに大事か。
政府は7日、新型コロナ対策で1兆円超の予備費支出を閣議決定する方針だ。これだけの巨額を閣議で決めてしまうことは、財政民主主義に反するのではないか。さらには、「敵基地攻撃能力」の保有も与党内でドサクサに進められようとしている。戦後日本の基本姿勢である専守防衛からの大転換が、国会での審議もないまま決まっていいのか。
後ろめたく、逃げ回り、丸投げし、なす術ない首相 |
「いま国会で話し合わなければならないことは、たくさんあるはずです。豪雨被害の対策も必要だし、新型コロナ対策にしても、現実にそぐわない部分が見えてきた特措法は変えるべきだという意見が与党内にもある。特例法や時限立法でもいいから、今のうちにやれることを整備しておかないと、秋冬の本格流行に間に合わず、医療崩壊を招いて死者が続出する可能性がある。倒産や解雇はこれから本格化するとみられていて、経済的な手当ても考えなければならない。国民の命と安全を守るためには、一刻の猶予もないはずなのです。政府・与党は国民の前で説明できない安倍首相を守っている場合ではありません。来年の五輪や自民党総裁選より、逼迫する現下の国民生活を考えてほしい。いま働かなくて、何のための国会議員なのですか。どうしても国会を開きたくないというのなら、その数カ月分の自民党議員の歳費を国庫に返納して、少しでも医療現場や被災地に回すくらいのことはしないと、国民は納得できません」(山田厚俊氏=前出)
与野党は8月後半以降も、新型コロナ関連の閉会中審査を開くことでは合意したが、与党は予算委への安倍の出席は拒否している。もっとも、安倍が国会答弁に立ったところで、まともな議論にならないことは、これまでの経験で実証済みだ。
過去の国会審議でも、コロナ下の会見でも、三百代言を並べ立てるだけで、建設的な議論に発展したためしがない。虚言癖のペテン首相を国会に引きずり出すことを目的に、野党がシャカリキになっても無駄だ。もはや、そういう段階ではない。
想定外の質問にシドロモドロになったり、激高する安倍の姿がテレビ中継されて野党議員は留飲を下げるかもしれないが、国民生活の現状は、そういうガス抜きで拍手喝采できるほどの余裕もない。とにかく、ちゃんと機能する政府に代わって欲しい。それだけだ。切実な願いである。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「この7年間、嘘とゴマカシ、公文書改ざん、隠蔽で国会審議を乗り切ってきたのが安倍首相です。それで国民を騙してきても、コロナウイルスには通用しない。国会に出てくれば、モリカケ、桜、河井夫妻の買収問題、IRなどについて追及されるのが嫌なのでしょうが、もうそんなワガママを許していられる段階ではありません。自身の疑惑や問題もあって、後ろめたさから公の場に出られず、逃げ回り、自治体や国民の自己責任に丸投げし、なす術がない。そういう無責任な人がトップに居座ること自体が国難と言える。首相の健康不安説も流れていて、体調の問題か能力の問題かは分かりませんが、国民の前に堂々と出てこられない人がトップリーダーの役割を果たせるわけがないし、国民の代表である国会議員の資格すらない。もともと指導者の器ではなかったのが、このコロナ禍で一気に露呈した。いずれにしても、もう限界です。一刻も早く辞めてもらうしかありません」
安倍の延命のために政治空白が続き、それを与党の保身政治家が支えて、国民は見殺しにされるとすれば地獄だ。悪夢どころの話ではない。逃げ回る首相に国民が求めるのは、もはや答弁や会見というレベルの話ではない。即刻の退陣だ。それがコロナ収束への近道でもあるのは間違いない。
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