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民主党政権にも及ばなかった「戦後最長の景気拡大」の嘘 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/276920
2020/08/06 日刊ゲンダイ
この期間の経済成長率は実は民主党政権時代の1.6%にも及ばなかった(「バイ・マイ・アベノミクス」と演説する安倍首相、2012年)/(代表撮影・共同)
安倍政権が嘘ばかり言って、それがバレそうになると言い訳や言い逃れを並べ立て、それでも済まなくなると国会を閉じて総理の記者会見も開かないというのは、これまでもさんざん繰り返されてきたことなので、いまさら驚かないけれども、アベノミクスのおかげで「景気拡大が戦後最長になった」というのが嘘だったという最近の報道には、ホトホトあきれ返った。
マスコミの扱いが小さかったので見過ごした方もあるかと思うけれども、内閣府で7月30日に開かれた景気動向指数研究会(座長・吉川洋立正大学長)で、第2次安倍政権が発足した2012年12月に始まった景気拡大は実は18年10月に山を迎えていて、それ以後はかなり厳しい後退局面に入っていたと認定が下された。
実際、例えば毎日新聞が掲げた「景気動向指数の推移」という折れ線グラフを見ると、18年10月を境につるべ落としのような勢いで急降下していて、「えっ? こんな事態を国民が1年半も知らされずに過ごしてきたのか」と絶句してしまうほどである。
勘違いしないでいただきたいが、コロナ禍による経済停滞でこうなったという話ではなく、コロナ禍が始まる1年4カ月も前に景気後退に入っていたことが、今頃になって分かったというのである。ということは、19年1月に当時の茂木敏充経済再生担当相が自慢げに鼻をひくつかせて「戦後最長記録のいざなみ景気(02年2月〜08年2月)の73カ月を上回った」と表明していたのは嘘だった、ということになる。
またその結果、この期間の経済成長率は年平均1・2%程度となり、高度成長期のいざなぎ景気(65〜70年)の11・5%、バブル景気(86〜91年)の5・3%を大きく下回るのは当然としても、安倍晋三首相が「悪夢」と呼んでやまない民主党政権時代(10〜12年)の1・6%にも及ばないことが明らかになったということでもある。
ということはさらに、経済のこのような衰弱化ともいえる下降局面の中でコロナ禍を迎えているというダブルショックの深刻さについて、国民のほとんどは明確に認識し、覚悟を持って立ち向かっていないということである。チャラチャラと国民に嘘ばかりついて、いたずらに在任期間だけ延ばしてきた安倍政権の下では、この国はコロナ禍の国難をはねのけることは難しい。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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