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※週刊文春 2020年7月30日号 紙面クリック拡大 全文は週刊文春をご覧ください
※一部、文字起こし
「野球に例えると、まだ二回表で新型コロナウイルスが攻撃している段階です。僕たち理論疫学の研究者は強固な対策を行わなければ流行が収束しないことを『メジャーエピデミック(大規模流行)』と呼んでいます。それを第二波だと定義すると、今は本当の意味で分岐点にさしかかっている。数年間にわたる長期戦を想定した対応が必要です」
そう語るのは、“8割おじさん”こと西浦博・北海道大学教授(43)だ。
厚労省クラスター対策班に所属し、「感染拡大を防ぐには、人と人との接触を八割減らすことが絶対必要」と主張してきた西浦氏。
西浦氏の研究チームは、コロナ流行前の生活を続ければ「七月中に東京都内の新規感染者数が一日百人以上になる」と予測していた。それが的中し、七月に入ってから都内の感染者数は百人超が続いている。
「この予測は『プロジェクション』と呼ばれるもの。将来起こりうる事象に対して、たとえば病院をつくれば十分対応できるのかなど、シナリオをたくさん出して検証します」(同前)
西浦氏の“予測”は最近厳しい批判にさらされてきた。三十九県で緊急事態宣言が解除された翌日の五月十五日には、
「もしも今までと同じ生活にすぐ戻ると、宣言前と同じ増殖率で感染者数が増えてしまう可能性がある」
と警鐘を鳴らした。
こうした発言に「社会を扇動するのか」と批判が集まったのだ。
「扇動するつもりはない。目的は、緊急事態宣言が解除されても、クラスターが発生しやすいハイリスクな場では引き続き注意が必要だというメッセージを発信するためでした。ただ、予測があたっているかどうかは重要なことではありません。なぜこうなったのか、次はどうすればいいのかを考える上での材料にしてほしい」(同前)
西浦氏の危惧は現実となり、七月十八日、全国の新規感染者数は六百六十四人と緊急事態宣言解除後、最多となった。
今後どうなるのか。
「第三波、第四波は絶対来ます。私たちは国内のデータだけを分析しているのではなく、海外の流行状況も常に見ています。南米がピークを迎えつつあり、インド、アメリカなど、国際的にパンデミックが起こっている。そんな中、日本政府には各国の大使館から主要な取引をしている人だけでも入国させてくれとリクエストがあり、今後ビジネス目的の避けられない移動が始まります。一方で検疫所のキャパシティは限界に迫っているのです」(同前)
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