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都で自宅療養急増…コロナ「家庭内クラスター」連鎖の恐怖
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/276190
2020/07/18 日刊ゲンダイ
自宅療養頼み?(右が猪口氏)/(C)日刊ゲンダイ
17日、都内で新たに293人の新型コロナウイルス感染者が確認され、2日連続、過去最多を更新してしまった。すでに都内の入院病床や宿泊施設は逼迫している。懸念されているのは“自宅療養”する感染者が急増していることだ。この先、家庭内感染があちこちで発生しかねない。
◇ ◇ ◇
小池都知事は「医療提供体制の確保」を繰り返し強調しているが、内実はかなりタイトだ。
7日、現状1000床から3000床への病床確保の指示が出されたが、現在、確保できているのは約1500床程度にとどまっている。17日時点の入院患者は836人。すでに半分以上が埋まっている状態だ。
軽症者を受け入れるホテルはもっとひどい。ピーク時には5施設、約1150人分あったが、小池氏が知事選にうつつを抜かしている間に、契約切れが続出。現在、利用できるのは、八王子市のホテル100人分と、16日から入所が始まった豊島区のホテルの110人分のみ。17日時点の「宿泊療養」は107人。まさに自転車操業である。
病床とホテルがタイトな結果、自宅療養が急増している。今月1日時点では46人だったが、16日時点ではナント240人。わずか2週間あまりで、5倍以上に膨れ上がっているのだ。さらに、「入院・療養等調整中」が515人もいる。このうち、自宅療養となる患者も相当数いるはずだ。
都のモニタリング会議のメンバーで東京都医師会の猪口正孝副会長は15日の会見で、医療体制に危機感を示したうえで、「無症状、軽症の患者を、医療機関や宿泊療養だけでなくて、場合によっては自宅療養も考えなくてはいけない」と漏らしている。
都の福祉保健局も感染リスクを認める |
しかし、自宅療養は家庭内感染に直結する。中国・武漢では1月中旬に医療機関がパンクし、軽症者は自宅療養となった。すると、家庭内感染が拡大し、感染者は1日当たり数十人から数百人に急増した。この時期のクラスター感染の約8割は、家庭内だった。イタリアの感染拡大も軽症者の自宅療養が大きな原因だった。
東京都福祉保健局の担当者も、「現在はホテルのキャパシティーの問題もあり、契約切り替えの過渡期なので自宅療養が増えています。本来、感染者は他人にうつさないためにも入院するか、ホテルなどの療養施設に入居してもらうのが原則です。自宅療養では、家族を感染させてしまう心配もあります」と家庭内の感染リスクを認めている。
西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
「家庭内でも陽性家族と距離を取って感染を防げる、というのは“言うはやすし”です。現実的には無理です。また、病院やホテルと違い、医療従事者がそばにいないので、対応が後手になるリスクがあります。4月に埼玉県で自宅療養していた軽症者が急変し、死亡したケースがありました。以前と比べ、ホテルも利用客が戻りつつある。ホテルの確保が難しいのなら、都の施設を活用するなどして、極力、自宅療養をなくすように努めるべきです」
今の勢いで自宅療養が増えれば、武漢やイタリアの二の舞いだ。
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