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2020とくほう・特報 失速 IRカジノ/コロナ拡大 環境が激変 それでもしがみつく安倍首相の異常
しんぶん赤旗 2020年7月14日【3面】
安倍晋三政権が推進するIR(カジノを中核とする統合型リゾート)開設の動きが見通しを失っています。新型コロナ感染症の拡大で世界のカジノ市場が大打撃を受け、日本に新たにIRを導入する根拠が失われるなか、政府は遅れている国のカジノ「基本方針」さえ決められない状態です。(竹腰将弘)
狂うスケジュール
「プロセスの途中ですが、現状、カジノ管理委員会との協議がまだ最終的に決着がついておりませんので、今、そのプロセスにあるということです」―6月30日の国土交通省会見室。内閣のIR担当である赤羽一嘉国交相は、国のカジノ「基本方針」の策定状況をたずねられて、こう答えました。
「基本方針」は国内のIR施設の制度設計の細目や、カジノ事業者選定基準などを示す、今後のプロセスをすすめるための最も基本的な指針です。
政府は当初、「今年1月中をめど」に策定するとしていました。
ところが昨年12月にカジノ汚職で秋元司衆院議員(自民党離党)が逮捕される事件が起こり、カジノ事業者と政治家、官僚の接触に関するルールをどうするのかなど新しい問題が生じたことを理由に先送りになりました。
それに追い打ちをかけたのが世界的な新型コロナの感染拡大です。「この非常時にカジノか」(自民党関係者)という状況になり、今日に至っています。
基本方針を担当する国交省観光庁の参事官室によると、現在カジノ管理委員会からは▽カジノ事業者との接触ルール▽感染症対策など安全確保▽カジノ事業者のコンプライアンス(法令順守)▽都道府県のギャンブル依存症対策―の4点が指摘されているといいます。
いずれも制度の根幹に関わる問題です。基本方針策定の時期については「未定としか言えない」(同室)と繰り返しました。
政府は昨年9月、基本方針決定を待たずに誘致自治体が作業をすすめることを促すため、「基本方針(案)」という文書を公開し、パブリックコメント(一般からの意見募集)を実施しました。
そのなかで、誘致自治体にとって死活的に重要な国への区域整備計画(具体的な地域のカジノ施設の計画)認定申請の時期を来年1月4日から7月31日と設定しました。
その後、申請のあった自治体のなかから上限3カ所とされるカジノ開設自治体を国土交通相が選定するという枠組みです。
年明けからの申請に向けて、誘致自治体は国の基本方針策定後、▽自治体としてのカジノ「実施方針」の策定▽カジノ事業者の公募・選定▽事業者と組んでの「区域整備計画」策定―という複雑な作業を行わなければなりません。
ところが、国の基本方針の策定が遅れるなか、この申請受付期間についても大幅に先送りされるという観測が出始めています。
赤羽国交相はこれについて「自治体の意向を丁寧に、上から国に押し付けられてという誤解が生じないように伺いながら、適切に対応してまいりたい」(6月30日の会見)とあいまいな発言をしています。
誘致自治体の混迷
さらに、こうした国のプロセスの遅れ以上に誘致自治体を混迷させているのが、新型コロナ感染拡大による世界のカジノ業界の経営危機です。
ウイルス感染が拡大した2月以降、米国でも、マカオでも、シンガポールでも、典型的な「3密」のカジノは不要不急の産業の代表格として真っ先に閉鎖、営業停止の対象となりました。一部で営業を再開した後も、厳しい感染対策を迫られ、客は戻っていません。
日本進出をねらうカジノ企業も軒並み赤字になり財務状況を急激に悪化させています。1カ所100億ドル(1兆700億円)ともいわれる日本のIRへの投資余力をもつカジノ企業がいなくなったのです。
横浜市では、最有力とみられていた世界最大のカジノ企業、米ラスベガス・サンズが5月、日本進出からの撤退を突如発表しました。
大阪府・市では、米MGMリゾーツとオリックスの共同事業体が唯一の候補として残っていますが、コロナ危機のため事業提案書を期限までに出せないという申し出があり、期限を後ろ倒ししました。
和歌山県、長崎県では、それぞれ複数の海外カジノ事業者が候補として残っていますが、もともと国の基準に適合する巨大なIR建設への投資能力があるのか、疑問符がつきます。
コロナ危機の下、賭博産業は地上型の巨大カジノ施設から、インターネット上に仮想的なカジノを開帳するオンラインカジノへと構造転換を加速させています。大規模な国際会議場や宿泊施設、エンターテインメント施設に多数の客を集め、その客をカジノに誘導することで巨額の利益を上げるというIRのモデルが、コロナ後の世界では不可能になっています。
「骨太」から消える
政府の経済財政諮問会議(議長・安倍首相)が8日示した経済財政運営の指針「骨太の方針」原案で、2014年以来毎年、「成長戦略」として取り上げられてきたIRについての記述が削除されました。
国民の大多数がいまもカジノに反対し、コロナ危機による世界の激変で、世界的にIRカジノが終焉(しゅうえん)を迎えたといわれるのに、いまだにIRを「成長戦略」に位置付ける根拠がなくなったことを、政府側も認めざるを得なくなったことの表れです。
しかし、安倍首相は「感染症収束後にはこうした観光が再び回復し、IRについても観光先進国の実現を後押しする」「引き続き必要な準備を丁寧に進めてまいりたい」(6月9日、衆院予算委員会)と、あくまでもカジノにしがみつく姿勢をみせています。
時代遅れのビジネスモデル
阪南大学教授 桜田照雄さん
コロナ禍がカジノ業界にもたらした影響は深刻です。マカオは2月5日から15日間、カジノを閉鎖しました。対策を施したうえで事業は再開させましたが、マカオへの入境制限が解けないことから、ギャンブラーが戻っていません。カジノ収益も2月以降は前年同月比で90%前後の落ち込みが続いています。
マカオを最大の収益拠点とするラスベガス・サンズは、経営環境の激変を受けて、日本市場への進出を断念しました。世界最大のカジノ事業者であるサンズの日本市場進出断念は、業界に波紋を投げかけています。
大阪・夢洲(ゆめしま)への進出に、唯一名乗りをあげていたMGMリゾーツは、ラスベガスを拠点とするカジノ事業者ですが、ラスベガスでも事情は同じで、目抜き通り(ラスベガス・ストリップス)には閑古鳥が鳴いています。3兆円もの膨大な負債を抱える同社には、もはや、夢洲進出の余力はありません。
「IRは時代遅れのビジネスモデル」(であること)が業界の常識になりました。
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