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「山本太郎さんを1位にしたい。自分の進退は考えていません」立憲離党届の須藤元気議員が激白
https://news.yahoo.co.jp/articles/546be0d10c429a89e4a5b128ffe3e464206948d2
AERA dot. 7/3(金) 18:06配信 週刊朝日オンライン限定記事
秋葉原で演説する山本太郎氏(撮影/西岡千史)
参議院議員の須藤元気氏(上田耕司撮影)
立憲民主党に離党届を提出している須藤元気参院議員(42)が本誌に胸中を語った。7月5日投開票の東京都知事選では、元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)を応援する立憲民主党と、れいわ新選組代表の山本太郎氏(45)を応援する須藤氏との間で亀裂が生まれ、「離党騒ぎ」が勃発した。党はいまだ離党届を受理しておらず、慰留か処分かで判断が決まっていない。
須藤氏が離党届を出すきっかけとなったのは、6月15日にTwitterで発した次のようなツイートだった。
<山本太郎さんが都知事選に立候補しました。立憲としては宇都宮さん支持ですが個人的に山本さんを応援しています!>
ただちに党執行部から削除を命じられたが、須藤氏は拒否して逆らった。今もツイートは削除せずに残したままだ。
「私としてはツイートに『党としては宇都宮さん支持』と書き、フォローを入れたつもりだったんですけどね」(須藤氏)
須藤氏は党執行部に対し、「国政ではないですし、いち都民として山本さんを応援したい」と進言したという。ツイート削除に応じなかったため、執行部からは「じゃあ、辞めてくれ」と言われたと証言する。
「その日の夜には別の幹部から電話があって、『削除しないんなら辞めてもらう』と、あらためて言われました。私が『離党すればいいんですね』と言ったら、『ダメだ、辞職しろ。議員バッチをはずせ』と厳しく言われまして、ツイート一つだけでそこまでになるのかという思いでした」
須藤氏は6月17日、福山哲郎幹事長に離党届を提出。意志を貫きたいと、ツイートも削除せず、7月3日現在も残したままだ。
須藤氏は6月17日夕の記者会見で、涙ながらにこう主張した。
「世代交代したいんですよ。もう、上の人たちには引退してもらいたいんですよ。消費税減税とかそういうことを言うなとか。何が言うなだよ、いいじゃないですか、言ったって」
須藤氏の一連の動きの背景には、消費税引き下げに対する党の考え方との相違があった。国民、れいわ、共産は消費税5%で歩調を合わせるが、立憲は消費税引き下げに慎重で、須藤氏と考え方が違う。須藤氏は次のように思いを語った。
「党としては消費税5%で野党共闘するつもりは今のところないわけです。私は消費税減税派で、そこらへんが残念。消費税減税すれば現金給付と同じ効果があるんですよ。今より5%オフで買い物ができるんですから。党は緊縮財政的な考え方ですが、私は反緊縮です。もはや、新しい財政論が必要だと思います」
山本氏が主張する新型コロナの災害指定や、都債を発行して15兆円を作り「都民のコロナ損失を底上げする」という考え方に共感を覚えるという。
「本来は国がやるべきなんですけど、国がやらないから山本さんが東京都でやろうとしている。画期的なアイデアだと思う。世代交代して、私たちが夢や希望を持てるように、コロナ禍を解決するべきです」
須藤氏は昨年7月の参院比例区で当選したため、党幹部からは議席を返上すべきという批判も受けた。これについては、次のように反論する。
「党の看板で当選した部分もありますが、私の名前を書いて投票してくれた有権者もいますので、全国民の代表として、国民のために働くという使命があります。比例で当選したんだから党を抜けたら議員辞職しなければならないというのは、私の中では正直、違うと思っています」
そんな須藤氏は東京都江東区の下町出身。高校、短大時代はレスリング部で活躍し、レスリングの全日本ジュニアオリンピックで優勝したこともある。大学を卒業してからは総合格闘技の道を歩んだ。K―1の試合にも出場し、トリッキーな動きから攻撃を繰り出す変幻自在なスタイルが観客からの人気を呼んだ。
党が態度を保留する中、須藤氏は山本氏の応援に駆け回る。
「私も格闘技をやっていたので、2位は狙ってません。1位でなきゃ、都知事になれない。山本さんがどうしたら都知事になれるかということに集中すべきだと考えているので、自分の進退とかはどうでもいいというか、あまり考えていません」
須藤氏が山本氏と初めて言葉を交わしたのは半年前。きっかけは、立憲民主党で青年局長を務める中谷一馬衆院議員(36)と山本氏の会食だったという。中谷議員は昨年8月、山本氏とともに消費税を廃止したマレーシアを視察して以来、親交がある。2人とも学歴にこだわらず、信じる生き方を突き進んできた。そのことが、ウマが合う理由のようだ。
「山本さんとはLINEなどで連絡を取っていますし、一緒に食事をすることもあります。政治の話がメインですが、サーフィンの話や俳優時代の話を伺うこともあります。山本さんは、体を冷やさないように、いつも水筒を持っていて、温かい飲み物を好んで飲みます。健康に気を配っていて冷たいものはあまり口にしませんね。これからも長く友人として付き合いたいと思っています」(中谷氏)
須藤氏は山本氏と初対面した食事会での出来事を、こう振り返る。
「東京都港区赤坂の居酒屋の個室でした。もともと会に呼ばれていたわけではなく、中谷さんたちから『山本太郎さんと一緒にいるんですけど、顔を出しませんか』と連絡をもらい、向かったんです。着いた時にはもう会も終わる頃で、最後30分くらい顔を出させてもらった感じです」
店を出て、山本氏と帰る方向が同じだったので少し言葉を交わしたという。
「酒を飲んでいたのであまり政治の話というよりか、山本さんは自分で党を立ち上げてすごい行動力ですねという話をして、尊敬していますと言ったら、山本さんからは『ありがとうございます』と言われました。謙虚な人ですし、腰の低い人だなと思いました」
過去のやりとりはそれだけで、立憲に離党届けを出したのは、山本氏に相談したわけではなかったという。
「勝手に私が山本さんを応援したのであって、山本さんと連絡を取り合って行動したわけではないんです。逆に迷惑だったら困るなと思っていたんですが、山本さんから連絡をいただいて、『二人三脚でぜひお願いしたい』と言っていただいたので、喜んでということで応援させてもらってます」
須藤氏が山本氏と並んでした街頭演説は、すでに10回ほどにもなる。
「1日に4回、街頭演説をやったこともあります。感染防止に配慮して握手はできないので、肘タッチをしています」
都知事選後にはれいわ新選組に入るのかと、ズバリ聞くと、こんな答えが返ってきた。
「いや、それはないです。山本さんとは別にそういう話は何もしていないし、バックで誰かが動いているということも一切ないです。応援したいと一念で立ち上がってこういうふうになったということです」
無所属から国民民主党入りした馬淵澄夫・元国交相も6月30日、山本氏の応援演説に立った。馬淵氏が報道陣に「立憲、国民、無所属も含めた国会議員40人以上が水面下で山本氏の応援をしている」と話したことが話題になっている。立憲のほかの若手も、須藤氏に続くのだろうか。
「辞める議員は他にいないです。さっき同期がやってきて、『私以外の同期が集まって、もっと党を風通し良くしていこうと議論をした。だから留まってくれ』と慰留されたくらいです。メシに連れてってくれた先輩議員もいました。みんな心配してくれて、いい仲間を持ったなと心から思います」
党がどういう処分を出すのか、現在の須藤氏は“まな板の上の鯉”状態。立憲の枝野幸男代表は7月1日の記者会見で須藤氏の処分について問われ、「党議違反になる」としつつ、「現時点では何か方針を決めているわけではありませんが、様々な事実関係の経緯を整理しているところです」と見解を示した。党内に様々な意見が渦巻いていることを思わせる対応だ。須藤氏はこう言う。
「都知事選が終わってからしかるべき処分があると思うので、それを受け止めたいと思います」
格闘家時代を思い起こさせるような変幻自在のスタイルで仕掛けた今回の動き。果たしてどんな判定が出るか。
(本誌・上田耕司)
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