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【都知事選】古い政治が救えない層に訴える2人の若き候補
https://tanakaryusaku.jp/2020/06/00023150
2020年6月18日 18:56 田中龍作ジャーナル
初対面の女将さんと握手がわりの肘タッチをする小野候補。=18日、中野サンモール商店街 撮影:小杉碧海=
大阪の老練記者に「なぜ維新はあんなに強いのか」と尋ねたことがある。ヤクザから政界まで大阪の裏の裏までを知る老練記者は、即座に答えた。「自民がだらしないからですわ」と。
自民党東京都連と自民党本部は、今回の都知事選で自前候補を擁立できなかった。そこに登場したのが維新推薦の小野泰輔候補(46歳)だ。
熊本県の副知事を8年間務め、「くまモン」を全国ブランドにした小野氏。
午後は中野を皮切りに中央線を西進した。中野は立憲の長妻昭代表代行のお膝元だ。中野駅前の街頭演説では自らの行政経験に照らし合わせながら小池知事のコロナ対応のまずさを指摘した―
「東京都はステップ1〜4に分けて自粛要請を解除していった。これでは日に日に経営が苦しくなっていく」
「熊本県は政府の緊急事態宣言が解除されると、すべての業種と話し合い、業種ごとに安全な営業をするにはどのような対策を取ればよいのか、膝詰めで話し合ってやってきた」。
小野候補は街頭演説につづいて中野サンロード商店街を練り歩いた。さすがは行政マンだ、と驚く場面があった。
老舗の甘味処で女将さんに、小野氏がコロナの影響はどんな具合かを尋ねるのだが、役所の職員が自分の担当地域で聞き取り調査をするようなコミュニケーションの取り方なのだ。
女将さんとの間に一切垣根はなく、ごく自然な感じだ。
田中は女将さんに小野氏が熊本で副知事だったことを教えた。彼女は「やっぱり、それで合点がいった」という表情で「実務経験がありそうなので泥臭かった。小ぎれいなことを言わないのがいい」と感想を語った。
財界に支えられた自民候補や労働貴族に支えられた立憲候補では、逆立ちしてもできない芸当だった。
中野駅前で小野氏の演説に耳を傾けていた女性(会社員・女性30代)は「新しい希望を感じる。これまで(既存政党)の候補者と全然違う。目標が見える」と期待を込めた。
演説会場には「要請するなら補償しろデモ」にほぼ毎回参加している男性の姿があった。
「小池知事がコロナを激甚災害に指定すれば、多くの人が救われた。(だが)カネがかかるのでしなかった」。山本太郎は厳しく指摘した。=18日、新宿 撮影:小杉碧海=
野党も自前候補を擁立できなかった。前回(2016年)、自らが引き摺り降ろした宇都宮氏に便乗する身勝手さだ。
盤石の現職と野党共闘候補に単騎で挑むのが、山本太郎候補だ。
山本候補は新宿南口で第一声を上げた。コロナで職や住まいを失った「不釣り合いに沢山の荷物を持った人々」が東京に増えていると訴えた。
「コロナは災害だ。なぜ都知事は国に災害指定を訴えなかったのか」。激甚災害に指定されればアパートをみなし仮設として、住まいを失った人々を救済することができるからだ。
政策の目玉は冬か秋にも来るコロナ流行の第二波に備えて、地方債15兆円を調達して行うとする弱者救済。一律10万円給付、学費免除、エッセンシャルワーカーへの手当を自衛隊並みにするなどだ。もちろん、特効薬がないのでオリンピックは中止。
「本来なら国がやるべき仕事です」という山本候補の演説を、大荷物を抱えた男性が身じろぎもせず聞き入っていた。
小野氏46歳、山本氏45歳。既存の自公・立憲政治からこぼれた層が若い候補者に期待を寄せる。
不釣り合いに大きな荷物を持つ男性は最後まで山本太郎の演説に耳を傾けた。=18日、新宿 撮影:小杉碧海=
〜終わり〜
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