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※2020年6月2日 朝日新聞
※2020年6月2日 朝日新聞 紙面クリック拡大
新型コロナウイルス対策で休業要請などが行われた「特定警戒都道府県」13都道府県の主な自治体で、4月の生活保護申請件数が前年と比べて約3割増えたことが、朝日新聞の調べでわかった。東京23区に限ると増加率は約4割に達した https://t.co/BJGiSFq8Y8
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ときおり胸をよぎるのは同じようにネットカフェで生活していた人達のことだ。「もう携帯の充電すらできなくなっている人がいるんじゃないか。街宣車を使ってでも、生活保護や緊急支援のことを伝えてほしい」
生活保護申請、3割増 特定警戒の39市区 4月、朝日新聞社調査
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14497851.html
2020年6月2日 5時00分 朝日新聞
新型コロナウイルス対策で休業要請などが行われた「特定警戒都道府県」13都道府県の主な自治体で、4月の生活保護申請件数が前年と比べて約3割増えたことが、朝日新聞の調べでわかった。東京23区に限ると増加率は約4割に達した。▼3面=救った安全網
生活保護利用者数はここ5年は減少傾向が続いてきたが、コロナ禍による失業や収入減などで生活困窮が急速に広がった実態が浮き彫りとなった。4月の雇用統計では休業者が過去最多まで急増しており、預貯金や他の公的支援でしのぐ期間などもふまえれば、5月以降さらに生活保護申請が増加する可能性がある。
東京23区と12道府県の指定市、県庁所在市の計39市区に4月の申請件数を聞いた。35市区で申請が前年の4月と比べて増加していた。39市区の合計で8686件の申請があり、前年同月比で31%増えた(一部は速報値)。同じ39市区の3月の申請件数(7980件)は前年比8%増で、4月に申請が急増したことがうかがえる。
前年比46%増の930件だった横浜市は、「新型コロナによる失業、収入減による困窮が増えている」(生活支援課)と影響を指摘する。ほかにも大阪市1618件(同37%増)、京都市388件(同40%増)、名古屋市635件(同25%増)など、大半が2割〜6割増加していた。新宿区196件(同73%増)など、伸びが目立ったのが東京23区だ。23区全体では2107件で前年より39%増加した。板橋区によれば、同43%増となった182件の申請のうち、49件(27%)がコロナ影響による減収・失業などが原因だったという。
生活保護利用者は約206万人(2020年2月)。リーマン・ショック後に急増したが、15年3月(約217万4千人)をピークに微減傾向が続いていた。
3月から4月にかけて、厚生労働省は、食費などに事欠く人への速やかな保護決定、保護の弾力的な運用をする方針を自治体に示した。今年度の2次補正予算案には、新規相談・申請の増加を見込んで、自治体の福祉事務所が臨時職員を雇う費用の補助として、4・2億円を計上した。
日本弁護士連合会は5月、「生活困窮に陥る人々が爆発的に増えることも予想される」として、生活保護の積極的な活用を求める会長声明を発表した。(田中陽子、松本紗知、編集委員・清川卓史)
所持金150円、居場所ない 28歳失職、救った安全網 生活保護
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14497791.html
2020年6月2日 5時00分 朝日新聞
新型コロナの影響で仕事と居場所を失い、生活保護申請をした28歳男性=5月25日
相談が急増する生活保護の申請窓口=いずれも東京都内
新型コロナウイルス感染拡大の影響による失業や収入減によって、「最後の安全網」生活保護を利用する人が急増している。制度で暮らしを立て直す人がいる一方で、窓口の対応が追いつかず、「相談崩壊」を懸念する声も上がる。▼1面参照
「生活保護なんて無理だと思っていた」
5月中旬、生活困窮者支援団体のサポートで保護利用が決まった28歳の男性は、そう振り返った。
「もう居場所がありません。どうしたらいいでしょうか」。5月3日午前0時過ぎ。支援団体の緊急相談受け付けフォームにメールを送った。所持金は150円。友人のアパートで寝泊まりさせてもらっていたが、もう限界と言われていた。これでダメならホームレスになるしかない――。祈るような思いだった。
中国からの輸入貨物を扱う倉庫で日雇いの仕事をしながら、昨年から都内のネットカフェで生活していた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月には仕事が完全になくなった。ネットカフェ代を節約するため、夜通し街を歩いたり、ファミリーレストランで夜を明かしたりする日が増えた。
SOSメールの送信先は、「つくろい東京ファンド」(稲葉剛・代表理事)。その日のうちに返信があり、5月5日には同ファンドの支援協力者である区議会議員と会った。
緊急支援金を受け取り、連休明けからは東京都が一時滞在場所として確保したビジネスホテルへ。日雇いの仕事が再開する見通しもないことから、5月中旬に区議とともに生活保護を申請、受給が決まった。いまはアパートを探している。
衣食住の見通しがつき、介護の資格をとって再就職したいという目標ができた。「やっぱり働きたい。アパートさえ決まれば、目標があるので、がんばるだけです」
ときおり胸をよぎるのは同じようにネットカフェで生活していた人たちのことだ。「もう携帯の充電すらできなくなっている人が何人もいるんじゃないか。街宣車を使ってでも、生活保護や緊急支援のことを伝えてほしい」
窓口パンク懸念も
「つくろい東京ファンド」がメール相談フォームを立ち上げたのは、7都府県に緊急事態宣言が出た4月7日。これまでに約170件のメールが届いた。大半はネットカフェ休業や失業で居場所を失った人で、2割は女性だった。SOSは都内に限らず首都圏全域から届いた。
所持金は数十円、その日の食費や寝る場所もない人も少なくない。当事者がいる地域の最寄り駅などにスタッフや協力者が駆けつけ、寄付金でつくった基金から緊急支援金を渡す。そのうえで生活保護申請に同行するなど、公的支援につなぐ活動を続けている。
厚生労働省は3月から4月にかけて、食費もない人への速やかな生活保護の決定、一時的な減収で困窮した場合の増収・転職指導の停止、通勤用自動車保有容認など、柔軟な運用をするよう自治体に伝えた。
ただ対応の自治体差は大きい。一部では、住まいを失った困窮者に隣の自治体までの交通費を渡してたらい回しするなど、申請を妨げる「水際作戦」が目立っているという。
稲葉さんは「感染予防で窓口職員を減らさざるを得ないなか、申請相談は急増。さばききれず、水際作戦が悪化しているのではないか」と顔を曇らせる。
労働相談を受けるNPO法人POSSE(ポッセ)も5月1日、東京・霞が関で会見を開き、実態を訴えた。
バイトで生計を立てていた埼玉県の男性(31)は、コロナの影響で仕事が激減。200万円の借金があり、所持金も1万円ほどになったため、生活保護の窓口に行った。だが「自己破産をしないと難しい」と説明をされ追い返された。
稲葉さんが懸念するのは、窓口が「相談崩壊」ともいうべき混乱に陥ることだ。それを避けるため、オンライン申請の早期導入と人員体制の強化を訴える。
「どこまで貧困が広がるのか、そんな『怖さ』を感じている。リーマン・ショックの比ではない。最後の最後で命を支えるのは、国が絶対にやらねばならないことだ。生活保護の活用をいまこそ政府が呼びかけてほしい」(田中陽子、編集委員・清川卓史)
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