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黒川弘務氏麻雀辞任の背景にあるもの
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2020-05-23 八木啓代のひとりごと
黒川弘務氏が、あっけなく辞任したあと、政府は検察庁法改正案の廃案を検討しているとか。いやそれって、まさに、この法案が、黒川氏の黒川氏による黒川氏のための法案だったと自白しているようなものじゃないですねえ。
それにしても、この件、「なんで新聞記者と麻雀?」と思った人がけっこう多かったようですので、背景を少し解説いたします。
日本の裁判所には司法記者クラブというものがあって、そこには司法記者の方たちが詰めています。東京地裁の場合は、中二階にお部屋があって、よく、裁判関係の記者会見などをやっている光景がテレビで写っている、あのお部屋です。
あのお部屋のさらに奥(東京地裁の場合は左手奥に廊下が延びています)に、それぞれの新聞社やテレビ局のブースがあって、そこに記者の方々が常駐しているわけ。
新聞記者というと、ドラマなどイメージで、新聞社の雑然とした大部屋に出入りしていると思っておられる方が多いですが、記者クラブ詰めの記者は、こういった各官庁の記者クラブの部屋に詰めているのです。
そして日に一度、裁判所のお隣の検察庁に行って検察庁の大本営発表を聞き、場合によっては、その後、少し要予約の個別の面談をしたりします。
もちろん、それだけでは、大本営発表以上の記事は書けないので、それに少しでも色をつけたり、あるいは、少しでも事件の先読みのできるネタをもらうために、司法記者たちは夜討ち朝駆けで、検察高官の家に出向いたり、個人的に取り入ろうとするわけですね。
だから、玄関先まで入れてもらえたとか、一緒の車に乗ったとか、特捜部長のあだ名を知ってるとかいうのは重要なことで、一緒に飲みに行ったとか、サウナに行ったとかいうと、さらに番記者としての「格」が上がるわけです。
こういう仕組みで、検察の公式発表より前に、「○○逮捕の見込み」とか「不起訴へに」などという記事が出るわけですし、突然のはずの強制捜査や逮捕に、ちゃんとテレビカメラが時間に合わせて駆けつけているわけです。
と、ここまで説明すれば、記者たちが、黒川氏と麻雀卓を囲むことに熱心になる理由はおわかりですね。
そのへんの事情、あくまでフィクションではありますが、「司法記者」という小説にけっこう詳しく描かれていますので、推理小説がお好きな方にはおすすめです。
私たちから見れば、逮捕するとか不起訴になるとかいうようなことを半日や1日早く報道されたからといって、さほどありがたいわけではないのですが、新聞社的には「他者に抜かれない」ためにも、こうやって寵を競うわけです。
一方で、検察に都合の悪い記事を載せたり、その他、検察幹部に嫌われるようなことをすると、最悪「お出入り禁止」になっちゃうわけで、必然的に、検察に都合の悪い記事を書くには、相当の勇気が要る。というより、もう社長あたりが決断してゴーサインを出すレベルの大スクープ(たとえば、フロッピー前田の証拠改竄とか)でない限り、大概は社の上から止められるので、大半の記事やニュースは検察の言い分垂れ流しになります。
外国のジャーナリズムではあり得ない「癒着そのもの」ですが、日本ではそれが「常識」となってしまっているのです。
ぶっちゃけ言うと、例の朝日の「証拠改竄事件大スクープ」も、あとになって、「そのことなら検察内部で噂になっていたから、うちの社だって知ってたよ、別に朝日だけが凄かったわけじゃない」とか言ってる他社新聞の記者もいました。だったら書けよ、と思いますが、そういうの、けっこう多いです。
田代虚偽報告書インターネット流出事件の時も、朝日とか読売は、当会の暴露より先に問題の報告書を持っていたことが、後に明らかになりました。あれだけの虚偽報告書を入手してたんなら、なんで大々的に記事にしなかったのかと思いますが、それだけ、検察に「嫌われるようなことをしたくなかった」んでしょうね。
いずれにしても、ネタを取るために、記者とターゲットが「懇意」になるということには、当然、弊害があります。
特捜が逮捕しようと動いているときは、大々的に、被疑者を悪だ有罪だと決めつけたような報道ばかりになりますし、逆に、事件の筋が悪くてこっそり引っ込めたというようなときは、ほとんど報道はされません。筋の悪い事件であるにもかかわらず、被疑者や関係者を延々と拘束したり、無茶な取調べをやったりしていても、そういうところはほぼ追求されたり、批判されたりしないわけです。検察が強く批判されることは滅多にありません。
検察不祥事が明らかになっても、なお、批判しているふりをしながら、問題を全力で矮小化し、事実上ヨイショし、黒川氏から耳打ちされたデマをそのまま書いているような本を、元記者が臆面もなく出版するようなことだってあるわけです。
メディアを押さえ、あやつるというのは、そういうことです。
最近では、安倍政権の「メディア対策」が、いろいろ露骨で批判も受けていますが、検察や警察はもう何十年も前から、そういうメディア対策のノウハウは持っていたわけですね。
で、話戻ると、そういう事情で、記者たちが黒川氏の麻雀仲間の常連だったわけですよ。
ここで、相手があくまで記者というところ、黒川氏の性格が、ほんと窺えます。基本、ご機嫌伺い&ヨイショのための集まりである以上、ぜったいに最終的には勝たせてくれるに決まってる相手ですよね。誰かさんと同じで、自分に媚びへつらってくれる人を周りに集めるのが大好きな方なんですね。
でも、だからこそ、各社、麻雀の上手い記者を「黒川番」に当てていたことでしょう。
(そういう点では、陸山会事件で暴走しまくった大鶴基成元特捜部長の方が、アマチュアとしてアルトサックスを愉しむにとどめておられたあたり、人格的にはまだ数段マトモかと思います。そういえば、検察官法改正問題では意見書を出す側に回っておられました)
ただ、一方で、心底ゴマすり根性の塊みたいになっている記者や、上しか見ない検事ばかりではありません。それをいかがなことかと思う良心的な現場の方たちもいらっしゃるわけで、そういう人が今回に限らず、週刊誌にネタをリークしたり、当会などに資料を提供してくださったりすることもあるわけです。
もちろん、記者として丹念な取材を重ね、検察の捜査に疑問を呈した本を書かれた方もいます。
検察が手柄の数上げたさに、トンデモかつ卑劣な捜査をやった記録ですが、筆者の石塚さんは産経新聞の記者さんです。
また、多少なりとも私が関与している関連書籍としては、冤罪を作った元検察官の激白本として話題になった市川寛さんの「検事失格」、陸山会事件虚偽報告書事件を扱った「検察崩壊」なども、検察ってどういうところ、ということを知るには良い本かもしれません。
ちなみに、検察が「現政権がらみの不自然極まりない不起訴の山」を築くのは、この第二次安倍政権になってからのことで、それまでは、むしろ、検察の「暴走」の方が問題になっていました。検察がターゲットに決めた相手を、検察とグルになった弁護士による騙しのテクニックや拷問まがいの取調べで、事実と異なる自白に追い込むというようなことです。
例の大阪地検特捜部証拠改竄事件も、佐藤栄佐久福島県知事事件も、陸山会事件も、さらに冤罪が疑われている多くの事件も、そういう、これまた日本特有の問題が背景にあります。
これはこれで、極めて重大な問題ですので、現政権に怒りを感じるあまり、検察はがんがん起訴するべき、とか思っている方は、是非、冷静におなりになってください。
現在、捜査中の広島の河井夫妻の買収問題も、後顧に憂いを残さない方法で、捜査していただきたいと思います。
いずれにしても、すでにお気づきになっていらっしゃる方も多いとは思いますが、日本の報道がいろいろ異常であることは、皆さん、お気にとめておかれた方がよろしいかと思います。
【おまけ】
ところで、検察問題はあくまで、あたくしの「課外活動」でありまして、本職はあくまで別にございます。
新型コロナで暇になったせいで、こうしてブログ記事を書く時間に恵まれている皮肉な状況でもありますが、昨年、キューバでグラミー賞受賞音楽家のプロデュースでレコーディングしてきて、今年のコロナ拡大前にメキシコなどでお披露目してきた新作CD、現在、細々とネット販売中ですので、ぜひこちらもよろしく。
http://www.nobuyoyagi.com/disc.html
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