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大げさに騒がず普通にすごす代償は甚大
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2020年4月25日 植草一秀の『知られざる真実』
コロナウイルスには毒性の弱いS型と毒性の強いL型の2種類があるとされる。 欧米で感染が広がっているのがL型であると見られている。 また変異のスピードが速いことも特徴とされる。 感染して体内に抗体が得られれば免疫を持つことになるが、感染者が陰性になった後で再び陽性になる事例も報告されている。 ジョンズ・ホプキンス大集計によると4月25日時点で 感染者数 2,765,139人 死者 182,690人 になっている。 致死率は6.6%。 極めて高い。 感染拡大を容認して集団免疫を獲得するという対応方法がある。 社会の構成員の一定比率が感染者となり、免疫を獲得する場合、ウイルスの感染拡大が収束に向かう。 社会全体として感染拡大が生じない状況が生まれる。 社会全体に占める感染者の比率がどの水準になれば感染収束を期待できるのかはウイルスの感染力に左右される。 ウイルスの感染力の強さは基本再生産数=アールノートで表現される。 アールノートとは、感染者が、その感染症の免疫をまったく持たない集団に入ったときに、直接感染させる平均の人数で表わされる。 アールノートが2であれば、感染者の比率が5割になれば感染拡大が止まる。 感染者合計数が減少に転じることになる。 5割の人が感染することにより社会は集団免疫を獲得することになる。 アールノートが3の場合には、感染者の比率が67%にならないと感染が拡大する。 ウイルスの感染力の強弱によって集団免疫を獲得するための感染者比率が変化する。 コロナウイルスの場合、アールノートが3であると仮定すると人口の67%が感染者になれば感染拡大は止まる。 1億2700万人の8509万人。 この場合、致死率が6.6%であると562万人が死亡する。 日本で公表されている4月25日時点の感染者数は1万2863人、死者は345人で、致死率は2.7%である。 この致死率2.7%で計算すると8509万人感染者が生じると230万人が死亡することになる。 つまり、集団免疫を獲得することは膨大な死亡者を発生させるという大きな代償を伴うのである。 また、死亡しない感染者でも、重大な後遺障害が残る可能性があることも指摘されている。 「大げさに騒がずに普通に暮らせばよい」と主張する者がいるが、こうした現実を冷静に考察していない、あるいは考察できないことが背景であると思われる。 したがって、現実の選択としては、感染を抑止することを基本に置かざるを得ない。 感染を抑止するには「検査と隔離」が基本になる。 感染を拡大させるのはあくまでも感染者である。 したがって、感染者を的確に発見することが基本になる。 また、高齢者や基礎疾患を持つ人は感染すると重篤化するリスクが高い。 高齢者や基礎疾患を持つ人は、とりわけ早期発見が重要になる。 ところが、安倍内閣はPCR検査を徹底的に妨害してきた。 このために検査が遅れ、かけがえのない命が失われている。 加藤−尾身ラインが検査利権を厚労省−感染研−地方衛生研−保健所を軸とする検査利権ムラで独占することを優先していることが背景だ。 五輪ファーストで感染者数を少なく見せることも重視され続けている。 加藤勝信厚労相はPCR検査を妨害するために全国に850しかない帰国者・接触者外来を防波堤として活用している。 帰国者・接触者外来は徹底的にPCR検査を抑止している。 このために感染者が放置されて感染拡大が促進されている。 PCR検査が妨害されているために多くのかけがえのない命が失われている。 検査妨害は万死に値する罪深い行為だ。 国民の犠牲を抑制するには感染抑止対応を継続する必要がある。 この点を踏まえれば2021年の五輪開催は極めて困難である。 五輪延期費用を日本が負担することで合意したとのIOC情報を日本政府が否定した。 そうであるなら、五輪延期費用を日本政府が負担しないことを明言すべきだ。 それが不能なら五輪開催断念の意思を表明するべきである。 |
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