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※FRIDAY 2020年4月10日号
山本太郎が警鐘「安倍政権はコロナウイルスを政治利用するな」
https://friday.kodansha.co.jp/article/105436
2020年04月05日 『FRIDAY』2020年4月10日号
山本代表はもともと東京五輪反対論者だが、「ここまで作ったら、延期での開催も仕方ない」と柔軟な一面も
「基本的にこの国は『ドケチ』なんですよね。今の日本に一番必要なのは、大胆な経済政策。『猶予』や『減免』なんてケチなことは言わずに、『大胆にカネを刷れ』『みんなに配れ』って話なんです」
真新しい国立競技場の前でそう吠えるのは、れいわ新選組の山本太郎代表(45)だ。昨年4月の結党以来、れいわ新選組は「消費税廃止」を訴えてきた。当初は「究極のポピュリズム」などと批判もされたが、先の参議院議員選挙では2議席を獲得。消費増税や新型コロナウイルスの影響で経済の失速が明らかになると、自民党の若手や他の野党からも「消費税ゼロ」の声が上がるようになってきた。
ひょっとして、山本代表の提案は意外と現実的なものだったのか!?
そこで今、時代の「一歩先」を行く山本代表に次なる具体策を聞いた。
「もしも私が総理大臣だったら、事業者側、労働者側の両方に『給付』をします。そして、社会保障費を『減免』ではなく『免除』します。緊急事態ですから徴収を止め、積極的に給付です。
給付をするなら期限付き商品券は消費に回りやすいと言えますが、事業者が現金を手にするまでに1ヵ月以上かかったという前例もあります。現金給付のほうが急迫する事態にはマッチするでしょう。『毎月20万円分、好きに使ってくれ』と給付すれば、経済も回っていきます」
もうひとつの柱である「免除」は、どれくらいの規模になるのだろうか。
「介護保険や年金などの社会保険料を3ヵ月間免除します。社会保険料の年間収入は約63兆円で、ひと月あたり約5兆円。3ヵ月で15兆円を超える予算規模になりますが、中小零細企業や一般の方は大助かりでしょう。彼らが倒れないようにしっかり支えるほうが、トータルとして国のコストは低くなります」
財源のひとつと考えているのは、新規国債の発行だ。国の財政は一般的な家計とは違い、政府の債務はそのまま国民の資産になる。「政府債務の上限は額ではなく、インフレ率。過度なインフレにならない限り、新規国債発行が財源で大丈夫と考えます」と山本代表は言う。
「緊急時は水道・光熱費もなし。1ヵ月で一兆円です。コロナで生活が困窮する人は、住まいも保障する。まずはみなさんに生きてもらわないと、国が崩壊してしまう。我々の政策とかぶってもいいから、政府は今すぐやってくれよ!」
語気を強め、危機感をあらわにして訴える背景には、日本政府の中途半端な新型コロナウイルス対応がある。
「感染拡大を防ぐために人の動きを極力止めるならば、要請や自粛では意味がない。なんの補償もなければ、生活がかかっている人は外出をやめませんよね?」
たしかに、全国の学校は安倍晋三総理の要請を受けて休校になった。しかし、通勤の満員電車はそのままだ。
「イベントを中止にしてくれ、仕事を休んでくれ、と言うのなら、政府が補償を徹底するしかない。『今から2ヵ月は完全に休んでくれ。収入のマイナス分は補償する』として予算措置をすれば、一定の状況でウイルスは抑えられるはずです」
国の検査方針も不十分だと指摘した。
「海外のようにPCR検査もどんどん行うべきです。隔離が必要なら自衛隊の基地などにコンテナハウスを設置すればいい。要するに、やる気の問題ですよ」
「コロナ解散」の可能性も
神宮外苑の日本オリンピックミュージアムにあるオリンピックシンボルの前で。撮影時には延期はまだ発表されておらず、観光客で賑わっていた
3月24日、安倍総理は1年程度の東京五輪・パラリンピック延期を容認した。山本代表はこれをどう見たのか。
「嘘と利権のオリンピックですから、私はそもそも必要ないと発言してきました。ただ、国立競技場がここまで形になったのなら、延期での開催も仕方がない。それでも来年にコロナウイルスが収まる保障がない以上、今、中止したほうが余計なコストがかかりませんけどね」
海外諸国の政治判断のスピードと比べると、政府の対応が後手に回っている印象は否めない。それでも政権支持率はそれほど下がらない。むしろ上昇傾向を示す調査もある。この現実は、野党のふがいなさと同義かもしれない。
「安倍政権は『やっている感』を出すエキスパートですからね。新型コロナも政治利用するはずです。たとえば『消費税5%減税で信を問う』と言って火事場泥棒的に都知事選とのダブル選挙をしかけられたら、与党がボロ勝ちでしょう。その可能性は十分あると警戒しています」
今のところ、単独で対抗できる勢力は見当たらない。そうなると野党共闘が選択肢になるが、実現するのだろうか。
「与党が攻めの経済対策『消費税5%』をやりそうだとなったら、野党共闘は一気に進むと思っています。そのときに野党も同じ『5%』なら意味がないですよね。5%までいけるなら、消費税廃止まであとちょっと。力を合わせましょうよ」
きわめて楽観的な見方だが、最近は以前のように「私を総理にして」と言わなくなった。ついに諦めたのだろうか?
「諦めたわけじゃないですよ(笑)。野党共闘がうまくいって、1年以内に野党が衆議院で多数派になれば消費税は最低でも8%にできます。その次の’22年の参議院選挙で野党が多数派を取ってねじれが解消すれば、5%まで下げられます。このときに私がどのようなポジションにいるか。最短で3〜5年の間に『時空の歪み』が生じて、時の政権が『軽い神輿を担ごう』となったら、そういう形(総理)になるんじゃないですか?」
さて、それまで日本はもつだろうか。
昨年12月、東京・池袋で街頭演説をする山本代表。現在はコロナウイルスの影響で演説ができず、「手探りの状態」だという
本誌未掲載カット 山本太郎が警鐘「安倍政権はコロナウイルスを政治利用するな
本誌未掲載カット 山本太郎が警鐘「安倍政権はコロナウイルスを政治利用するな」
『FRIDAY』2020年4月10日号より
取材・文:畠山理仁撮影:鬼怒川 毅
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