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安倍総理よ、この時期「不要不急な演説」は自粛を願いたい ファクトチェック・ニッポン!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/271205
2020/04/01 日刊ゲンダイ
理念を訴えるだけのポーズでは…(安倍首相の緊急事態「瀬戸際の状況」会見=28日)/(C)共同通信社
新型コロナウイルスの感染者数が深刻になっているアメリカでは、トランプ大統領がそれまで足を踏み入れなかったホワイトハウスの記者会見室に頻繁に姿を現すようになっている。
一人ではない。対策チームのメンバーとチームを率いるペンス副大統領らを伴っている。これは対策会議が終わって、そのまま会見に臨むからだ。そしてまずトランプ氏が話す。3月22日は、30分ほど話している。しかし、これは単なる演説ではなかった。細かい数字を挙げての具体的な対策を説明。最も深刻なニューヨーク、カリフォルニア、ワシントンの3州を中心に、医療設備の支援などを細かい数字を挙げて説明し、知事らとのやりとりも詳述。もちろん、選挙をにらんだ思惑もあるだろう。正確でないとの批判もある。しかし、理念を訴えるようなポーズより、具体的な政策の説明に費やされている。必要に応じて後ろに控えるペンス氏らも話をする。
その後、質疑に移行。トランプ氏は「君らもいろいろと質問があるだろう。もしなければ、それはアメリカ国民にはショックだ」と語って記者団から笑いが漏れる。マスコミとのバトルが有名なこの大統領だが、この未曽有の危機に際して、リーダーの会見らしくなっている。
そして質疑。一斉に記者が声を上げた。質問者を指すのは大統領本人だ。当然、困窮する企業への支援についても質問が出る。その中に、「巨額の支援がホテルなどに対して行われるが、それによってあなたの企業が利益を得ることはないか?」というのがあった。トランプ氏は不満そうに、「私は45万ドルの大統領としての報酬さえもらっていない」と利益を得ることはないと否定。さらに、「パンデミックの前に投資はしていないか?」との質問も。これには、「意地悪い質問だ。しかしそうした質問はあってしかるべきだ」と口にした上で、否定。この日、トランプ氏は、中国政府への不満を口にしたが、この時、記者が最初にした質問は、「習近平氏とはいつ話をしたのか?」だった。その記者が二の矢、三の矢を放つ中で、うっかり口を滑らせたという形だ。質問で二の矢、三の矢が重要だと言われるゆえんだ。会見は、1時間半ほど行われた。
そして3月28日、安倍総理が記者会見を開いた。冒頭、広報官が記者に、声を出さずに挙手だけするよう求めた。飛沫感染を懸念してのことのようだが、官邸の会見場はホワイトハウスの会見場の倍以上の広さだ。互いの距離もアメリカのそれよりある。不思議な要請に感じた。会見自体はフリーランスのジャーナリストに質問の機会が与えられるなど従来より改善されていた。しかし、記者が二の矢、三の矢の質問をする機会はなく50分ほどで終了。
今回も冒頭に、安倍総理の演説が20分弱続いた。具体性に乏しく、目玉のはずの支援策も、リーマン・ショック時のそれを上回るとしか言及がない。そのはずで、この会見の後に対策会議が開かれるのだという。これは順序が逆だろう。アピールだけの演説と言われても仕方ない。
総理に言いたい。この時期、不要不急な演説は自粛を願いたい。
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立岩陽一郎
ジャーナリスト、1967年生まれ。91年、一橋大学卒業後、NHK入局。テヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て2016年12月に退職。現在は調査報道を専門とする認定NPO運営「INFACT」編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。毎日放送「ちちんぷいぷい」レギュラー。
【ファクトチェック・ニッポン!/立岩陽一郎】安倍総理よ、この時期「不要不急な演説」は自粛を願いたい https://t.co/Q8xGhQYyna #日刊ゲンダイDIGITAL
— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) March 31, 2020
この時期、不要不急な演説は自粛を願いたい
— KK (@Trapelus) March 31, 2020
具体策なし 二の矢、三の矢もなく・・・
「ファクトチェック・ニッポン!」立岩陽一郎(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/FkH9RA9AaD
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