・Thailand Medical News
おそろしい速度で変異が進んでいる可能性
新型コロナウイルスについての医学論文やレビュー等を、世界で最も攻撃的で挑発的な態度で報じ続けているタイの医療専門サイト「タイランド・メディカル・ニュース」が、本日 3月17日に、
「新型コロナウイルについて我々は嘘をつかれているのか、それとも専門家たちが単なる無知なのか」
という刺激的なタイトルの内容の記事を発表していました。そして、彼らは記事で明確に「怒り」を表明していました。
その記事はあとでご紹介しますが、タイランド・メディカル・ニュースは、なぜそこまで怒っているのかを少しご説明したいと思います。
タイランド・メディカル・ニュースは、新型コロナウイルスの感染拡大が発生して以来、このウイルスに関しての論文を次から次へと紹介し続けています。査読されていないものも含めて、それらの論文や臨床記録によって、「このウイルスの尋常ではない様態」が次々と明らかにされていたのです。「これは単なるコロナウイルスではない」ことがわかり初めてから、タイランド・メディカル・ニュースの報道姿勢はさらに先鋭化していきました。
たとえば、つい最近も驚くべき医学論文が出されていました。
それは過去記事の以下のものと関係するものです。
ウイルスというのは、感染するための「細胞の受容体(スパイクタンパク質等と呼ばれます)」と結合する必要があり、そして、結合できると、「細胞がウイルスを招き入れて感染」します。
細胞に侵入した後は、ウイルスは、細胞にある「プロテアーゼ」と呼ばれる酵素を利用して増殖できます。利用できるプロテアーゼがなければ、ウイルスは増殖できません。
以下はひとつの例です。
・Preventing Spread of SARS Coronavirus-2 in Humans
それぞれのウイルスが人の細胞に感染して増殖するためには、人の細胞内の「特定の受容体」と「特定のプロテアーゼ」が必要となり、それはウイルスの種類によって異なりますが、この新型コロナウイルスは、
「 3つの受容体と結合できる」
と共に、
「 8つのプロテアーゼを利用できる」
ということが判明した医学論文を、先ほどのブログ記事では紹介しました。
絶対とは言えないでしょうが、基本的には、
・結合できる受容体が多ければ多いほど感染しやすく
・利用できるプロテアーゼが多ければ多いほど死滅しにくい
ということになると思われます。
新型コロナウイルスの並外れた感染力は、この「複数の受容体と結合できる」ところにあるのだと思っています。
ところが、3月15日のタイ・メディカル・ニュースは、3月14日に中国人科学者たちによって発表された論文を取り上げていました。
それは、
・SARS-CoV-2は、新たな経路を介して宿主細胞に侵入する : スパイクタンパク質 CD147
というタイトルの論文で、つまり、この新型コロナウイルスは、
「さらに新たな受容体と結合できることがわかった」
のです。
この論文も査読されていませんが、内容が認められれば、この新型コロナウイルスが結合に利用できる細胞上の受容体は 4つめとなります。
すべて挙げますと、以下のようになります。一番最後の「 CD147 受容体」というのが、新しく感染経路として見つかったスパイク・タンパク質です。
新型コロナウイルスが結合できる受容体
・ACE2 受容体
・フーリン
・GRP78 受容体
・CD147 受容体
新型コロナウイルスは、これらのどの受容体からも感染できるようなのでして、感染しやすいのは当然ともいえます。あるいは、今後もさらに結合できる受容体が見つかる可能性さえあります。
そして、さらに昨日 3月16日、タイランド・メディカル・ニュースは、公開された衝撃的な医学論文を紹介しています。
それは、
「新型コロナウイルスは、突然変異により、現在すでに遺伝子の塩基配列の異なる 49種の株が存在する」
というものでした。
以前、新型コロナウイルスが、2種類あるとか 5種類あるとか、そういうことを取り上げたことはありますが、そういう問題ではなくなりつつあるようなのです。
そのタイランド・メディカル・ニュースの記事の冒頭は以下のようなものでした。
新しい研究により、SARS-CoV-2 コロナウイルスは、ヒト宿主細胞を攻撃する特定の選好を有する様々な株に実際に変異していることが示されている
新しい研究は、SARS-CoV-2 コロナウイルスが、ヒト宿主細胞への攻撃、または結合の方法として、異なるモードで感染する、さまざまな株に変異する可能性があることを示した。その場合、さまざまな株の患者の症状はさまざまだった。
この新しい研究だけで、49の新しい株が特定され、特に ZJ01 株として特定された1つの株は、武漢で最初に同定された以前の株とは完全に異なる株となっていた。
流行初期の株は基本的に ACE-2 受容体を使用してヒト宿主細胞を攻撃したが、新しい株は酵素フーリン切断部位を介して結合することを好んだ。
系統発生分析は、SARS-CoV-2が自身の中に潜在的な進化分岐を持ち、顕著な進化分岐を示すことを示唆している。
このようなものです。
> 武漢で最初に同定された以前の株とは完全に異なる株となっていた。
というように、「完全に異なる株」と書かれてあるのでした。「完全に」です。
武漢で流行していた時期から2、3ヵ月で。
それでですね。
冒頭に書きましたように、タイランド・メディカル・ニュースが記事で怒っていた理由ですけれど、
「こういう事実が明らかになっているのに、なぜ専門家もメディアもそれを無視するのか」
ということなんです。
一般人ならば、「査読されていないから」ということを理由にしてもいいかもしれないですが、同じようなカテゴリーの専門家たちなら、このような研究が公開されているということを無視することはおかしいのではないかと。
世界は、本当に新型コロナウイルスに立ち向かおうとしているのかと。
そういうようにタイランド・メディカル・ニュースは怒っているのです。
それはともかくも驚きましたね。特に、先ほどの記事にありました、
> ウイルスが自身の中に潜在的な進化分岐を持ち
というようなことがある「可能性」については驚きました。
最初から「変異が前提」となっているようなウイルス。
昨日の以下の記事では、「国による致死率があまりにちがうこと」、「フランスやオランダの重症者が高齢者ではなくなっていること」について、どういうことなのだろうなと思っていると書きました。
これは結局、それぞれのウイルスが「猛スピードで変異し続けている」ということを意味するのかもしれません。
そして、まあ・・・武漢での感染拡大からたった3ヵ月程度で「 49種類」などのように分岐していっているということが事実ならば、そして、「その変異したそれぞれのウイルスが自ら変異できる能力を持つ」のならば、
「今後、新型コロナウイルスの種類自体が指数関数的に増えていく」
ことになるのではないでしょうか。
たとえば、風邪は、ライノウイルスというものが主流だそうですが、アメリカの例では、大体、200種くらいの株があるのだそうです。そのどれかに感染すると風邪を引く。
しかし、そのような種類があるために、風邪のワクチンも風邪の治療薬(対症療法薬ではなく)も作ることができない。
今後、コロナウイルスもそのようなウイルスとなっていく可能性があるのかもしれません。
そうなりますと、たとえば、風邪のワクチンというものは存在しないように、ターゲットを特定できないウイルスに対しては、ワクチンを作ることが事実上無理なのだと思われますが、新型コロナウイルスも同じように何百種類というようになっていくと、風邪と同じで、事実上、ワクチンを作ることが不可能になると思われます。
というより、現在進められているワクチン開発は、おそらく武漢のウイルスをターゲットにしているものだと思われますが、そもそも、現時点で 49種類もあるのなら、現在開発されているワクチンも「ほとんどの株に効かない」可能性がありそうです。そもそも現時点で、国によって流行している株が違いますしね。
そして、フランスやオランダの状況などを見ていますと、世界中で「刻一刻とウイルスは変化し続けている」のかもしれません。
日本では、感染者数に関しましては「検査をしない」という方法で、指数関数的な増加を数で示さない政策をとっていますが、数はともかく、今後、報道などで、
「重症者の年齢」
には注意したいところかもしれません。
これまで、重症化するのが、ほとんど高齢者だった新型コロナウイルスが、フランスやオランダのように「そうではなくなってきた」としたら、日本でもウイルスの変異が起き続けているということを示すのかもしれません。
そうなりますと、たとえば、「冬に何度も風邪を引く」ということがあるように、異なる種類の新型コロナウイルスが存在する限り、
「何度も新型コロナウイルスに感染する」
という状況もないではなくなるのかもしれません。
うーん。
私は、新型コロナウイルスの流行での社会的損失は気にかけていましたが、病気そのもののについてはあまり懸念していなかったのですけれど、何だか少し「おかしなこと」になってきたのかもしれないですね。
というか……。
これやっぱり人為的作品でしょう。
失敗作のうっかり流出にしても。
兵器目的ではないでしょうけれど、つまり、こんなウイルス、どんな軍隊や組織でも使えるわけがないです。「放たれた後は独自に進化して勝手に指数関数的に種を増加させていく」なんてのは、手に負えない。
生物兵器として使えるウイルスは「自滅してくれるウイルス」だけです。
いずれにしても、新型コロナウイルスが、通常のウイルスとかなり違う特性を持っていることは間違いなくなってきています。
願わくば、日本のコロナウイルスが、フランスやオランダのように若年層をも襲うタイプにならないことを祈ります。
それでは、激オコプンプン状態のタイランド・メディア・ニュースの記事をご紹介して締めさせていただきます。
新型コロナウイルについて我々は嘘をつかれているのか、それとも専門家たちが単なる無知なのか
Coronavirus-Are We Being Lied To Or Are The Experts Clueless?
Thailand Medical News 2020/03/17
我々タイランド・メディカル・ニュースは、毎日、何百もの新しい調査研究を精査しているが、査読済みか査読されていないかに関係なく、WHO、米国 CDC、アメリカ国立衛生研究所(NIH)、各国の政府当局、および保健当局は、重要なことを何も伝えていないように見えることに我々は苛立っている。
彼らは嘘をついているか、あるいは、単に無知だ。
たとえば、専門家たちは、繰り返して、「新型コロナウイルスは変異していない」あるいは「変異していても、大きな影響を与える段階ではない」と主張し続けている。
しかし、公開された研究のうち、少なくとも 7つのピアレビューされた研究と 3つのピアレビューされた研究が、変異に関しては「そうでない」ことを示している。
ウイルスに変異が発生しただけでなく、さまざまな特性を持つコロナウイルスの新しい株が出現しているのだ。
3月16日の時点の記事で、新型コロナウイルスには、少なくとも 49の同定された株が存在するという事実に遭遇したが、記事を公開してから数時間後に、実際にさまざまな株に変異しているこれらは、人間の宿主の特定の受容体を攻撃する傾向をそれぞれ持つこともわかった。
我々が、ヨーロッパ、アメリカ、中国の専門家たちから知らされたところ、現在までに、少なくとも 100以上の新型コロナウイルス株がある。
もちろん、我々、タイランド・メディカル・ニュースのチームの遺伝子専門家や感染症の医学研究者の数は少ない。なので、我々のほうが誤った内容の記事を公開してしまう可能性はあるだろう。
しかし、これらの RNA ゲノム上のコドン(核の塩基配列)に大きな変化が起こったという事実が研究で公開されているということは、それは PCR 核酸検査診断に影響を与えるとは思われないだろうか? 治療薬やワクチンの開発にも影響するのではないだろうか。
(※訳者注 / PCR 検査というのは、ウイルスの RNA の核酸で行うものなので、核酸の塩基配列が変化していた場合、「検査自体の意味がなくなる」可能性を書いているのだと思います。治療薬とワクチンも同じです)
新型コロナウイルスがヒト細胞に結合する方法は複数あることがわかっている。結合の方法が複数あるということ自体が、薬剤やワクチンの開発の前に立ちはだかる大きな壁であり、つまり、薬剤による治療手段やワクチンの開発において、すでに「ウイルスとの戦いに実際には負けている可能性」がある。
たとえば、以前は適切な治療プロトコルとされ、初期の頃に有効だと同定された抗ウイルス薬のいくつかが「今ではもはや有効性を示していない理由」は何だと思われるだろうか。
製薬企業や各国の政府は、次々と明らかになる新型コロナウイルスに関しての新しいデータが、薬やワクチンの開発すべてのプロセスを変更させ、その時期がさらに遅れる可能性があるのに、どの製薬企業も、どの政府も「準備ができている」と言っているのはなぜなのか?
新型コロナウイルス自体の現実の詳細について誰も語らないのはなぜなのか?
中国の研究者の一部が言っているように、「回復した」患者の体内に残留した、あるいは休眠しているウイルスの負荷は、人体にさまざまな影響を及ぼし、神経変性疾患などを引き起こすことが明らかにされつつある。
なぜ中国の研究者たちが、多数の株の一部についてそのことに警告しているという事実を考慮して、これらの研究がまだ行われていないのか。ヒト宿主細胞への攻撃は、そのような株の低レベルの感染が、癌から臓器の損傷までの慢性疾患を引き起こす可能性があることを示しているにも関わらず。
そのようなことを人々は知る権利がある。
もう、「手を洗いましょう」「人との距離をとりましょう」などと言うのはやめてほしい。そんなことは言われるまでもない。一般人は馬鹿ではない。
そんなことを報じるより、「状況の現実」を人々に教えてほしい。SARS-CoV-2 自体に関する現在の研究について人々にきちんと伝えてほしい。それがどのように人々に影響するかを教えてほしい。効果のある薬剤などの候補について詳しく伝えてあげてほしい。
しかし、これだけの論文が公表されていることからもわかるように、この世には、「本物の優れたウイルス学者や本物のゲノム専門家の方々」がいるのだ。しかし、そのような優れた人ほどメディアには登場しない。我々は、そういう真の科学者たちが、世界に対して、本当は何が起きているのかを伝えていただくことを願っている。