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PCR検査拡大という「やるやる詐欺」
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2020年3月 6日 植草一秀の『知られざる真実』
安倍内閣の迷走に拍車がかかってきた。 安倍内閣は中国、韓国からの入国規制を発表した。 背景に中国の習近平国家主席の来日延期決定がある。 安倍内閣の行動には論理整合性がない。 ちぐはぐ、支離滅裂である。 当初、安倍内閣は何もしなかった。 中国のコロナウイルス感染拡大が伝えられても何もしなかった。 ところが、ダイヤモンドプリンセスの乗客に感染者が存在したことが公表されると「水際対策」を打ち出した。 このクルーズ船の入港を拒否すればよかったとの主張があるが失当である。 クルーズ船の帰港を拒絶する正当な事由が存在しない。 そもそもこの船は横浜港から出港しているのだ。 そのダイヤモンドプリンセスは2月1日に沖縄・那覇港に寄港している。 この段階で日本入国のための検疫と入国手続きが完了している。 ダイヤモンドプリンセスの航路にもよるが、那覇港寄港後は内国船扱いだったのではないか。 香港で下船した乗客の感染が明らかにされ、政府は実施済みの検疫を取り消して再度の検疫を行ったのである。 乗員・乗客3711人を船内に長期間監禁する措置が取られ、この結果、船内での爆発的感染拡大が発生し、現時点までに6人の死者が生じた。 当初のPCR検査を3711人の乗員・乗客のなかの273人にしか実施しなかったことが惨事を拡大させた。 安倍内閣は「水際対策」を示しながら、中国からの入国を湖北省、浙江省以外制限しなかった。 春節の休暇で多数の中国人が訪日したが、その際にコロナウイルスが国内に持ち込まれた疑いは極めて高い。 その他、韓国、イタリア、イランからの入国も制限しなかった。 まさに「ざる」の水際対策が続いてきたのだ。 中国の習近平国家主席の来日が4月に予定されていた。 ところが、習近平主席の来日が延期になった。 この発表後に中国、韓国からの入国規制が決定された。 今さら入国規制しても効果は限定的だ。 「専門家会議」が「これから1、2週間が感染拡大か収束かの瀬戸際」と発表したのが2月24日。 3月9日でその1、2週間が終わる。 この「瀬戸際」の2週間の最後になって入国規制を強化するという決定なのだ。 安倍内閣は「瀬戸際」を叫びながら、3月1日の東京マラソン開催を容認した。 このイベントで7万人の濃厚接触が創出された。 「瀬戸際」だからと全国の小中高の一斉休校、各種イベントの自粛を要請する一方での東京マラソン開催容認は論理的整合性を欠く。 これを支離滅裂という。 安倍首相は2月29日の記者会見で 「かかりつけ医など、身近にいるお医者さんが必要と考える場合には、すべての患者の皆さんがPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保いたします。」 と述べた。 これは「やるやる詐欺」だ。 3月6日からPCR検査が保険適用になったが、PCR検査を発注できるのは、どこにあるのかが分からない844の「帰国者・接触者外来」だけ。 2月1日から3月1日までの1ヵ月間に、この「帰国者・接触者外来」での診断を認められた患者は、1機関当たり、たったの2.6人だ。 1ヵ月間で2.6人しか診断を認められていない。 そして、「帰国者・接触者外来」は 「入院を要する肺炎患者の治療に必要な確定診断のためのPCR検査」(2月25日「基本方針」) https://bit.ly/39aZSWU を基準にPCR検査を行っている。 歯科を除く医療施設は2019年末時点で11万934。 このなかの844の医療機関でしかPCR検査を発注させない。 しかも、診断を許可されるのは「帰国者・接触者相談センター」に相談して同センターが「帰国者・接触者外来」での受診を認めた者だけだ。 安倍内閣がPCR検査抑制に全力を挙げて取り組んでいることがよく分かる。 目的は公表される感染者数の抑制。 感染を阻止するのでなく、感染の確認を阻止している。 これに勝る矛盾はない。 |
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