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コロナ禍5月終息は誤算 シンガポールで感染100人超の意味
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/269932
2020/03/04 日刊ゲンダイ
いつまで続く(C)日刊ゲンダイ
「気温が高くなり湿度も上がる春になれば終息する」――。新型コロナウイルスの感染拡大について、そんな楽観論がある。しかし、世界の感染者は9万人を突破。「高温多湿」の環境下でも感染は広がっている。想像以上にしぶといウイルスなのかもしれない。
◇ ◇ ◇
中国、韓国、イタリアなど、新型コロナの感染国の多くは今、季節が冬の北半球だ。しかし、真夏の南半球でも感染が広がりつつある。オーストラリアでは30人超の感染者が確認されて、ニュージーランドや、南米初となるブラジルでも先月末、感染者が出た。チリとアルゼンチンでも感染が初確認された。
そんな中、気になるのが、赤道直下で高温多湿のシンガポールで感染者が100人を超えていることだ。シンガポールの人口は約560万人。感染密度はかなり高い。今のシンガポールは、気温が26〜32度ほどで湿度は80%を超える。日本の初夏のような気候で感染が拡大しているのだ。
ハーバード大研究チーム「気温と湿度は関係なし」 |
ウイルスと気温や湿度の関係について、ハーバード大学院卒で医学博士の左門新氏はこう言う。
「風邪やインフルエンザなどウイルスによる感染症は通常、冬に流行します。空気が乾燥しているので、ウイルスが生存しやすいからです。例えば、乾燥により、のどや鼻の粘液が少なくなると、ウイルスを体外に排出しにくくなる。冬場、人間の体はウイルスに対して防御が弱くなるのです。季節性インフルエンザの流行は12〜3月、コロナウイルスであるSARS(重症急性呼吸器症候群)も春以降、終息に向かいました。ただ、季節外れの流行も珍しくありません」
昨年の季節性インフルエンザは、晩夏から流行が始まっている。8月下旬から沖縄で流行し、9月末時点で約4500人と前年同期比6倍の患者が報告された。東京では前年より約3カ月早い9月26日に、流行開始の目安となる1医療機関当たりの患者数が1・0人を超えた。残暑の頃に、“冬のウイルス”が拡大したのだ。
新型コロナはどうなのか。
「新型コロナウイルスについて、米ハーバード大の研究チームが、中国各地、タイ、シンガポール、韓国、日本の湿度と感染の関係を調査しました。低湿度で感染者が多いデータがある一方、高湿度で感染者が多いデータもあった。研究チームは『湿度と気温と新型コロナウイルスの感染力は関係がない』と結論付けています。2月末に速報で公表したため、現時点で論文としての信頼性は不十分ですが、傾聴に値する報告です。『春に終息する』という“期待”は捨て、夏まで続くことを前提に対策すべきです」(左門新氏)
東京五輪の開催可否の判断は5月末がリミットといわれる。「5月終息」のシナリオは狂いそうだ。
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