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権力と一体化してきた司法 今さら黒川人事批判に違和感
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/269462
2020/02/22 日刊ゲンダイ
官邸の守護神・黒川弘務検事長(左)と苦しい答弁を連発する森法相(C)共同通信社
また、安倍首相の答弁のつじつま合わせで、現実が歪んできた。今度の火種は東京高検検事長の定年延長問題。追い込まれた末の安倍答弁で、官僚たちが「無理筋のストーリー」に付き合わされるハメに陥っている。
先月31日の閣議決定で定年が延長されたのは、黒川弘務検事長。検察庁法は検事総長のみ定年が65歳で、その他の検事は63歳と定めている。黒川氏は今月7日の誕生日に63歳となり、本来なら定年するはずが、異例の人事で8月7日まで居座ることになったのだ。
不可解人事の根拠に政府側が持ち出したのは、国家公務員法の定年延長規定だ。森雅子法相は「検察庁法に規定がないので、国家公務員法の規定により」などと答弁を繰り返したが、辱めを受ける思いのはず。特別法(検察庁法)の規定は、一般法(国家公務員法)の規定に優先されるのが法の世界の常識。弁護士出身の森なら、自身の説明の誤りを誰よりも痛感しているだろう。
答弁の苦しさが増したのは、10日の衆院予算委で立憲民主党の山尾志桜里議員の指摘を受けてから。1981年に人事院が「検察官には国家公務員法の定年制は適用されない」と答弁していた、と問題提起したのだ。
森は「(当時の)議事録の詳細は知らない」とシドロモドロだったが、担当大臣までが「詳細を知らない」なら、誰が定年延長なる横車を押したのか。12日には人事院の松尾恵美子給与局長が、81年当時の答弁について「現在まで同じ解釈を続けている」と明言。安倍は閣内不一致の批判を交わすため、13日の衆院本会議で「今般、国家公務員法の規定が適用されると解釈することにした」とし、表にしてこなかった法解釈の変更に言及せざるを得なくなった。
無理筋は官邸の守護神をとどめるため
その後は安倍答弁に沿うように事態は進む。19日に松尾氏が「つい、言い間違えた」と開き直り、前出の答弁を撤回。法務省から先月22日に「定年延長できる」との解釈が示され、同月24日に解釈変更を了承したと説明した。解釈変更が閣議決定後ならば、黒川氏の定年延長は違法になる。
20日には法務省と人事院が解釈変更の経緯を示す文書を提出。ただ、文書に日付はなく、内部決裁も経ていなかった。野党が反発すると、21日になって法務省は「1月22日人事院へ交付」と追記した文書を出してきた。怪しい「後付け」答弁と文書の連発に、野党がその真偽を疑うのは当然だ。恐らく安倍答弁に合わせた文書偽装の疑いは濃厚である。
官僚たちを無理筋に引きずり込んでまで、安倍政権が黒川氏の定年延長を望むのは、自分たちに都合のいい検察体制を保持したいからに決まっている。黒川氏は甘利明元経済再生相のあっせん利得や、小渕優子元経産相の公選法違反などの立件をもみ消したとウワサされる“官邸の守護神”。カジノ疑惑や河井夫妻の公選法違反、さらに安倍自身が桜を見る会の問題で刑事告発される中、いま守護神に居なくなられたら、困る。あわよくば、この夏の人事で稲田伸夫検事総長の後任に据えようと、もくろんでいるのは間違いない。
学者も猛反発(立憲デモクラシーの会)/(C)共同通信社
戦後日本に一貫して存在しなかった三権分立 |
政権に都合のいい恣意的な人事と法解釈がまかり通れば、法治国家とその社会は成立しない。
「さも行政府である内閣が法解釈を変更できるような雰囲気がはびこっていますが、法の規定は立法府の国会に無断で簡単には覆せません。まず法を改めるべきで、今回の閣議決定は憲法41条の『国会は国の唯一の立法機関』に反する違憲行為。こんなむちゃくちゃな人事が許されたら、戦後民主主義はおしまいです」(政治評論家・森田実氏)
守護神の定年延長は糾弾されるべきで、珍しく大マスコミもまっとうに批判している。だが、日頃の素行が悪いため、素直には認められない。この国の検察は常にきちんと独立した正義の味方だったのか。いつも政治と司法は一体で、その先棒担ぎを担ってきたのが、大マスコミではないか。
田中角栄元首相の側近だった石井一・元自治相は21日付の本紙「注目の人直撃インタビュー」で〈ロッキード事件の“主犯”は中曽根元首相〉と指摘。日中正常化に先んじた角栄を毛嫌いしたキッシンジャー米国務長官、金権批判で総理となった三木武夫氏、三木内閣で幹事長だった中曽根氏ら〈さまざまな思惑が重なって引き起こされた冤罪事件〉と言い切っていた。
そして〈事件の底流には政治的意図があり、その意図に沿って検察が動く。検察が作り上げたストーリーをマスコミが喧伝し、大悪党に仕立て上げられてしまう〉と喝破した。彼自身、09年の「郵便不正事件」で冤罪に陥りかけた経験があるだけに、説得力がある。
政権交代間際に小沢一郎議員を狙い撃ちにするなど、政治と司法が表裏一体となった「国策捜査」の伝統は現在も生きている。1審判決が下った森友学園の籠池夫妻による補助金詐欺事件が、いい例だ。政権に逆らった籠池泰典前理事長には見せしめのごとく懲役5年の実刑を言い渡す。一方、森友事件の「本丸」である国有地の不当な値下げ、その経緯を記した公文書改ざんに関与した財務省の佐川宣寿理財局長(当時)らは、刑事責任を一切問われない。
目先の批判だけだから政権にナメられる
黒川氏の定年延長に対し、全国の検察トップが一堂に会する「検察長官会同」で「検察は不偏不党でやってきた。このままでは検察への信頼が疑われる」との意見が出たそうだ。本当に検察は「不偏不党」を貫いてきたのか。胸に手を当てて考えた方がいい。
腐敗のあまり、逃亡犯の日産前会長のカルロス・ゴーン被告にまで「ルノー傘下入りを排除した国策捜査」と言い張られても、一定の理があると感じられるのだ。法大名誉教授の須藤春夫氏(メディア論)が言う。
「国策捜査のたび、メディアはネタ欲しさの習性により検察のリークに飛びつき、権力に都合のいい筋書きを仕立て上げてきました。ゴーン被告の逃亡によって国際的に批判の的となった『人質司法』を放置してきたのも、メディアです。今回はやり方が露骨で極めて無理筋だから追及しやすいだけで、メディアに政治と司法の一体化を捉え直す発想は感じられません。常に目先のことを批判するだけだから、また、視点をズラせば支持率は上がると政権側にナメられてしまうのです」
そんな大マスコミが黒川氏の定年延長にだけ正論をかざすなんて噴飯モノ。片腹痛いとしか言いようがない。前出の森田実氏はこう言った。
「戦後日本の三権分立は幻想で、司法は一貫して政治に従属してきました。その根本問題をなぜ、メディアは追及してこなかったのか。メディアがそれを容認してきたからこそ、安倍政権も違憲行為を平然とやってのけるのです。今回の人事は極めて重要な問題で、それこそメディアは政権打倒の論陣を張らなければ嘘ですよ」
大マスコミには、7年に及ぶ政権のデタラメを許してきた責任にケジメをつけて欲しい。
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