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新型コロナ感染拡大で現実味…東京五輪返上で20兆円消失
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/269469
2020/02/22 日刊ゲンダイ
東京マラソンも一般参加中止(C)共同通信社
「感動で、私たちは一つになる」なんて言っている場合か。新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大に歯止めが掛からず、東京五輪中止が現実味を帯びてきた。コロナ禍に襲われる日本は不信の的。2012年大会を開催した英ロンドンが“名乗り”を上げる前代未聞の事態に追い込まれている。開催に向け莫大な資金が投じられてきた。万が一、中止となった場合の経済損失はシャレにならない。
◇ ◇ ◇
政府の後手後手対応で新型コロナ感染は拡大の一途だ。震源地の中国当局は従来の飛沫感染や接触感染に加え、霧状に浮遊する粒子に混じったウイルスを吸引する「エアロゾル感染」の可能性があると指摘。五輪ホスト国の日本にとってまさに弱り目にたたり目だ。
国内のスポーツ関連イベント規模縮小や中止が相次いでいる。来月1日の東京マラソンに続き、同8日の名古屋ウィメンズマラソンも一般参加を取りやめ。22日予定されていた五輪事前イベント「ホストタウンサミット」も中止された。
そうした中、ロンドン市長選の主要候補者2人が「ロンドンが再び五輪を開催する用意があると確信している」などとブチ上げ、東京の代替地に“名乗り”。新型肺炎の猛威が長引けば長引くほど、東京開催が危ぶまれるのは必至だ。
東京返上の可能性はあるのか。スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏は「東京でパンデミックにならない限り、中止の可能性はほぼないと思う」と前置きしつつも、こう続ける。
「IOC(国際オリンピック委員会)が最もこだわっているのは大会の持続可能性です。IOCのアジェンダ2020は、やむを得ない時は一つの都市以外での『分散開催』を認めています。ロンドンには既存施設があり、工事経費が抑えられる上、大会運営も心得ている。東京がどうにもならないと判断すれば、IOCはロンドン開催への変更を含めて手段を選ばないでしょう」
暑さ対策への懸念からIOCの「鶴の一声」でマラソン競技の開催地が東京から札幌に変更された時と同じように、「合意なき決定」が下される可能性はゼロじゃない。実際、米タイム誌は、安倍首相が招致の際に「アンダーコントロール」と言い切った原発事故による放射能汚染が解決されていないと指摘する環境保護団体の見解を引き合いに、〈新型コロナウイルスは五輪に影響しないとの(政府の)主張は疑いをもたれるだろう〉と報じている。
4四半期連続のマイナス成長の可能性も |
東京五輪が中止となった場合、気になるのは経済損失だ。総経費はすでに3兆円超え。一方、都のオリンピック・パラリンピック準備局の試算によると、五輪開催の経済効果は招致が決まった13年から30年までの18年間で約32兆円。年間約1.8兆円だ。五輪が吹き飛べば約20兆円が泡と消える。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「消費増税強行のあおりで19年10〜12月期の実質GDPは前期比1.6%減、年率換算で6.3%減の大幅マイナスでした。コロナ感染が直撃している20年1〜3月期のマイナス幅はさらに膨らむ可能性がある。その上、五輪がスッ飛べば4〜6月期、7〜9月期のダメージは甚大です。20年の日本経済はガタガタになり、4四半期連続のマイナス成長の可能性もあるでしょう」
五輪への影響を避けるため、国民の生命と安全を犠牲にした揚げ句の返上が日本経済にトドメを刺すことになるのか。
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