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京都市長選が示す政治刷新への課題
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2020年2月 3日 植草一秀の『知られざる真実』
2月2日に実施された京都市長選では与野党が相乗りで支援した現職の門川大作氏が勝利した。 共産党とれいわ新選組が支援した福山和人氏は次点で落選した。 投票結果は以下の通り。 門川大作 無所属・現 210,640 当選 福山和人 無所属・新 161,618 村山祥栄 無所属・新 94,859 立憲、国民、社民の野党3党は国政で対立している自公と手を組んだ。 与野党馴れ合いの市長選を展開した。 投票率は40.71%。 前回選挙よりも5%ポイント上昇したが、主権者の6割が投票を棄権した。 門川氏の得票は全有権者の18.4%に過ぎない。 「今だけ金だけ自分だけ」の人々は自分の利益を守るために投票所に足を運ぶ。 全有権者の18%の投票で市長が選任された。 国政では全有権者の25%の人々の投票で与党圧倒的多数議席が創出されて、25%の人々のための政治が実行される。 政治利権に群がる人々だけが熱心に選挙活動を行い、全体の2割、4分の1の人々が政治を私物化してしまっている。 京都市長選もこの図式によって結果がもたらされた。 京都新聞社が実施した出口調査によると、無党派層の投票先は福山氏が最多で38% 村山氏が30%・門川氏は26%だった。 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/151168 立憲、国民、社民が門川氏ではなく、福山氏の支援に回っていれば,福山氏が勝利したと思われる。 自公政治を否定するなら福山氏を支援するのが筋である。 しかし、立憲、国民、社民は自公と手を組んで門川氏を支援した。 「反自公」ではなく「半自公」であることが明確になった。 立憲、国民、社民は「安倍政治を許さない!」と考える主権者から不信の目で見られることになるだろう。 2017年10月の衆院総選挙で立憲民主党が多数議席を確保できたのは、この新党が「反自民」の旗手になると期待されたからだ。 同時に,この選挙で共産党が立憲候補者を全面的に支援した。 そのおかげで立憲は多数議席を獲得できた。 ところが、立憲は共産党と敵対して自公と手を組んだ。 この影響が今後の立憲支持率に如実に影響することになるだろう。 京都市長選での最大の問題は6割の主権者が投票を棄権したことだ。 4割の主権者しか投票所に足を運ばず、投票所に足を運んだ人の半分の投票で門川氏が再選された。 残念ながら,これが日本政治の現状なのだ。 政治をどの方向に進めるのかを決める権限を持っているのは主権者である市民だ。 しかし、その市民が選挙に行かなければ、選挙に足を運んだ主権者の半分の既得権者の票で市政が支配されてしまう。 今回選挙での門川候補と福山候補の票差は5万票足らずだった。 有権者全体の4%程度の票である。 投票率が100%に接近すれば,当然結果が違ったものになる。 現在の政治に満足しているのなら投票権を放棄するのもうなずけるが,実際は違う。 現在の政治にまったく満足していないのに、選挙に足を運ばない主権者が多数存在する。 変えるチャンスがありながら、変えるための行動を取っていない。 選挙に最も熱心な人々は、現在の政治制度から利益を得ている人々だ。 「今だけ金だけ自分だけ」の人々である。 この人々が20〜25%存在する。 現在の政治にまったく満足していないのに選挙に足を運ばない人が多いために、この20〜25%の人々が政治の実権を握ってしまっている。 拙著『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書) https://amzn.to/2WUhbEK 政治は変えられる。 しかし、行動しなければ政治は変わらない。 政治に無関心ではいられても、政治に無関係ではいられない。 選挙に行って、自らの意思を一票に託す。 現在の自公政治を打破すべきと考える主権者は、全員が選挙に行くことから始める必要がある。 その行動がなければ日本政治を変えることはできない。 |
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