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新型肺炎で安倍応援団が「桜を見る会追及してる場合か」と野党攻撃も…感染対策おざなりは安倍政権、野党要求を無視し対策本部立てず
https://lite-ra.com/2020/01/post-5232.html
2020.01.29 新型肺炎で安倍応援団が「桜を見る会やってる場合か」おざなりは安倍政権 リテラ
参議院インターネット審議より
本日29日午前、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大に伴い中国・武漢に在留していた日本人を帰国させるためのチャーター機が羽田空港に到着、206人が帰国した。本日おこなわれた参院予算委員会でも安倍首相は「希望するすべての方々の帰国に向け、あらゆる手段を追求していく」と宣言した。
日本政府による在留日本人の帰国対応は当然だが、チャーター機を用意して帰国させる対応を普段なら静養にあてている日曜日にわざわざ安倍首が自ら会見を開いて発表したことをとっても、安倍首相が「早期対応」「リーダーシップ」をアピールする狙いがあったことはミエミエ。しかも、安倍首相がチャーター機での帰国や感染症法上の「指定感染症」に閣議で指定する方針であることを発表したのは27日の衆院予算委員会で質疑にトップバッターで立った自民党の福井照衆院議員の質問に対してだったが、福井議員はこの答弁を受けて、まるで示し合わせたように「総理のご決断にあらためて敬意と感謝を捧げたい」「安倍総理の完璧なまでのリーダーシップに敬意を表したい」と気持ちの悪い絶賛を繰り返した。
そして、こうした安倍自民党による“自作自演”の茶番劇に呼応するように、ネット上では安倍応援団が新型コロナウイルスを利用した野党批判を叫んでいる。
たとえば、タレントのフィフィは27日15時前、こうツイートした。
〈国会中継見てたら、桜を見る会で安倍総理を追及してた。今追及すべきは新型コロナウイルスへの危機管理じゃないのかな…こちらは国民の命を脅かす深刻な問題だからね、呑気なもんだ、と思ってしまった。〉
このツイートは本日29日21時分現在、3.5万件もの「いいね」がなされているのだが、これと同じように「野党はこんなときに『桜を見る会』かよ」「新型コロナウイルス対策を優先しろよ」といった意見が噴出。しかも、ついには自民党の世耕弘成・参院幹事長までもが本日午前、こんなツイートをおこなった。
〈今、参議院内の幹事長室で予算委員会を見ています。野党の質問が始まって40分経過しましたが、先刻武漢からの飛行機が到着し、目の前に総理や厚労大臣等、新型コロナウイルス感染症に対応している責任者が列席している。
このシチュエーションで感染症について質問をしない感覚に驚いています。〉
国会の大きな役割のひとつは行政監視なのだから、公文書の改ざんまで発覚した「桜を見る会」の問題を取り上げるのはごくごく当たり前のことだ。自民党だって、質疑に立った自民党議員が憲法改正について質問するなど、新型コロナウイルスだけを話題にしているわけではけっしてない。というか、それ以前に新型ウイルス対応の所管は厚労省であり、対策を講じるのであれば厚労委員会を開催すべきだろう。
ようするに、安倍政権と安倍応援団は「桜を見る会」問題を封じ込めるために、「野党は新型コロナウイルスの感染拡大そっちのけ」などという、歪曲攻撃に勤しんでいるだけなのである。
しかも、こういう詐術を弄している卑劣な連中には、もうひとつ突きつけておくべきことがある。それは「新型コロナウイルスの感染拡大」への対応についてはむしろ、野党のほうが動きが早く、なおざりにしていたのは安倍政権だったという事実だ。
実際、国内メディアが武漢市で原因不明の肺炎患者が相次いでいると報じたのは昨年の大晦日だが、1月6日には国民民主党の原口一博衆院議員は厚労省に現状と対策について聞き取りをおこなっている。さらに、共産党・宮本徹衆院議員の21日のツイートでは〈新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大への対応について、衆議院厚生労働委員会の理事会を開いてほしいと、野党側から与党側に提案しています〉と報告されている。この野党側から要求されている厚労委員会の理事会が開催されたという報告・報道はなく、与党側が提案を無視していると考えられる。
■政府対策本部もようやく明日設置、関係閣僚会議も国内の患者判明から1週間後
その上、驚くべきは、安倍首相はいまだにこの新型コロナウイルスについて、政府の対策本部さえ設置していないということだ。
事実、本日の参院予算委員会で、立憲民主党の杉尾秀哉参院議員が質疑の冒頭で新型コロナウイルスの対応について質問をおこない、安倍首相に「政府対策本部は設置されているのでしょうか」と質したのだが、すると安倍首相はたった一言、こう述べたのだ。
「明日、設置する予定であります」
中国本土での感染者数がSARSを上回り、国内でもその時点ですでに7例目の発生を確認、さらにヒトからヒトへの感染が起きたとみられているのに、政府の対策本部はまだ設置していないというのである。
言っておくが、立憲や国民、共産などの野党もそれぞれ28日には対策本部を設置、近く合同本部に格上げすることも決めており、大阪府や千葉県などの地方自治体でも対策本部がすでに立ち上がっているというのに、肝心要の政府に対策本部がない……。世耕議員の言葉を借りるなら、「このシチュエーションで感染症について対策本部すら設置していない安倍政権の感覚に驚く」というほかないだろう。
いや、新型コロナウイルスに対する安倍首相および政府の危機管理は、最初から杜撰かつ後手後手だった。
前述したように昨年末から新型肺炎の感染拡大が懸念されていたが、一方で中国政府が情報を隠しているのではないかという指摘がなされてきた。SARSが発生した際も中国政府は情報隠蔽をおこなった前科があり、それを見越した情報収集・精査と早期対応が求められていたのは言うまでもない。
にもかかわらず、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置したのは、国内ではじめて新型肺炎患者が確認された1月15日の夜。つまり、国内で初の感染者が確認されてようやく、関係省庁から情報を集約し安倍首相に報告をおこなうという危機管理の初歩対応をはじめてとったのだ。
しかも、安倍首相が「新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する関係閣僚会議」をはじめて開催したのは、情報連絡室の設置から約1週間も経った1月21日のこと。「水際対策の着実な実施」「武漢市や上海市からの航空便での健康カードの配布」などといった検疫強化などの対処方針を、国内初の感染者確認から約1週間後も経ってから決定したのである。
■新型コロナウイルスを改憲=緊急事態条項に利用し始めた安倍政権と維新
ようするに、安倍応援団は野党を攻撃し、まるで新型コロナウイルスの対応を無視しているかのように喧伝しているが、実際のところ、中国当局の情報隠蔽に抗議もせず、感染拡大に対する危機管理がまるでなっていないのは、政府・安倍政権なのだ。
こうした「野党ガー」攻撃によって安倍首相の無為無策が覆い隠されていくわけだが、しかし、さらに恐ろしいのは、安倍首相がこの新型コロナウイルス問題をさらに政治利用することだ。
というのも、安倍首相は今回のチャーター機手配によって、国外に取り残された邦人を救助するということを国民に強くアピールし、自衛隊の集団的自衛権行使の正当化に利用しようとしたと思われるが、さらにこれを憲法改正につなげようとしているのではないか。
現に、今回の新型コロナウイルスをめぐっては、28日の衆院予算委員会で、日本維新の会・馬場伸幸幹事長が自民党憲法改正案のひとつである「緊急事態条項」の議論が必要だと訴えるなかで、「新型コロナウイルスの感染拡大は国民には大きな不安だが、いいお手本になる」と発言。ネット上でも「新型コロナウイルスの問題を考えると緊急事態条項は必要」「緊急事態条項があれば中国みたいに街の封鎖も可能になる」などという意見が出てきている。
新感染症と憲法改正を結びつけて「いいお手本」などと言い出すとは、安倍首相の改憲別働隊の面目躍如だが、改憲したくてたまらない安倍首相にとっては、飛びつきたくてたまらないネタであることは疑いようもない。いまは騒動の真っ只中であるため公言せずとも、そのうち「いいお手本」として新型コロナウイルスを改憲の材料に持ち出す可能性は高いだろう。
自分の失策を応援団たちの野党批判によってカバーし、その上、対策をおろそかにしながらも政治利用はしっかりする──。災害対応でも国民を見捨ててばかりの安倍首相だが、あらためてこの男に危機管理を任せることの危険さを国民は直視すべきではないだろうか。
(編集部)
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