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ペトロダラーシステムと米国覇権の終焉
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/683.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 6 月 20 日 10:59:08: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: グレートリセットは米国覇権の崩壊と多極化、中国の台頭を示すもの 投稿者 中川隆 日時 2021 年 2 月 05 日 19:30:13)

ペトロダラーシステムと米国覇権の終焉


世界最大のヘッジファンド: ドルから人民元への逃避が始まる
2021年6月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14095


世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏の5月29日のインタビューから、基軸通貨ドルの凋落とその競争相手について語った部分を紹介したい。

通貨発行の独占

アメリカで始まっているインフレを受けて多くの投資家がドルの下落予想をしている。

ドラッケンミラー氏: 現金給付がドルを暴落させる理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13560

世界最大のヘッジファンド: ドル下落の時は近い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12927


そもそもの問題は、中央銀行が紙幣を大量に印刷していることである。供給が多くなれば価値は下落する。経済学の基本である。

しかしそもそもなぜ中央銀行は紙幣を印刷し続けていられるのだろうか。ダリオ氏は法定通貨の歴史から始める。

通過の歴史を紐解けば、元々は数多くの私的な通貨があった。中央銀行など存在しなかった。しかしイングランド銀行が通貨発行を独占したいと言い始めた。それまでは多くの通貨が存在し、互いに競争していた。

イングランド銀行が通貨発行業務の独占を宣言するまでは、1つの国の中でも様々な銀行が様々な通貨を発行していたのである。法定通貨は普通ではない。それまでは経済学者ハイエク氏の言うような、様々な通貨が互いに競争し発行者は競争に負けないために通貨の価値を守ろうとすることが普通だった。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12051


しかしイギリスが通貨発行を政府の独占とした後、他の国の政府も続き、今ではどの国も政府の決めた通貨を持っている。ダリオ氏はそうなった理由を説明する。

どの国も国境内で通貨をコントロールしたがる。通貨をコントロールし、資金と信用が何処に行くかを管理することは恐らく政府が持ちうる最も強力な権力だからだ。

紙幣を印刷すればいくらでも予算を積み上げ、自分の支持者に向けて資金をばら撒くことが出来る。その国に他の通貨があれば資金はそちらに逃避するが、その国の通貨が法定通貨だけであれば逃避は限られる。ポール・チューダー・ジョーンズ氏の言うように、貴金属や穀物などのコモディティ市場は規模が小さいからである。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: 中銀がインフレ無視なら物価高騰シナリオに全賭け
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14054


そしてその限られた法定通貨の価値は国民の資産総額とともに下落してゆく。

資金の逃避先

政治家のこうした行動に対する最も古典的な手段はゴールドの保有である。ダリオ氏は次のように言う。

金や銀が人気なのは、単に現物資産だという理由だけではない。普遍的な価値を有しており、それを政府がコントロール出来ないからだ。

政府が際限なく紙幣を印刷する世界においては、政府によって価値がコントロールされない資産を持つことが重要となる。

そしてそうした資産はゴールドだけではない。自分の通貨の価値を下げようとする政府の発行する通貨は、通貨の価値をある程度維持している他の政府の発行する通貨に追い抜かれる。それは大英帝国のポンドを始め歴史上何度も起こってきたことである。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953


ダリオ氏は次のように続ける。

中国政府が何兆ドルもの米国債を持っていて、米国政府が「金は返さない」だの「金利をマイナスにする」だの言い始めたらどう思うだろう?

読者に考えてほしいのは、強制的に決められたマイナス金利とは政府による借金の踏み倒しであるということである。今日本ではゼロ金利だが、政府が円をコントロールしていなければ、あなたがたは自分の預金に対してもっと多くの金利を受け取っていたはずである。あなたは自分の受け取る金利を政府に奪われた上で、所得の半分以上を所得税と社会保険と消費税に持っていかれているのである。

競争相手としての中国

さて、米国債が魅力的でなければ、資金は何処に行くだろうか? ダリオ氏は次のように言う。

そして今やアメリカにとっては中国が資金を奪い合う競争相手となっている。

2015年には中国の金融市場は2%しか外国人に開かれていなかった。今では60%以上にアクセスできる。

人民元建ての資産が魅力的である理由の1つは金利の高さである。

中国は量的緩和をしていない。債券市場は今でも魅力的だ。

先進国ほどの低金利政策が必要ではなかったために「正常な」金利が維持されていて、日米のように誰かに奪われることはない。日本には中国の資産が金融緩和なしにこれほどのリターンを生み出していることを不思議に思うかもしれないが、10年前と今の中国の変化を知っていればそれはある程度は納得されるだろう。中国の街を訪れれば、見違えるほど豊かになっているのは明らかである。

投資家はそこから利益を得られるだろう。ダリオ氏によれば、こうした環境では動かなければならなくなる投資家が市場には存在する。

魅力的な金融市場がよりオープンになっている。そうなれば機関投資家などは中国の資産についてポジションが少ないと感じ始めるだろう。彼らはバランスを重んじるからだ。米国債から逃避した資金はそういう場所に逃げてゆく。

そしてそれは通貨自体にとってもプラスとなる。ダリオ氏はこう続ける。

中国の資産を買おうと思えば、中国の通貨を買わなければならない。だから良い資産があるということは通貨の上昇要因となる。

一方でアメリカの株式は実質リターンがマイナスになる恐れに直面している。

世界最大のヘッジファンド: 紙幣印刷で株式の実質リターンがマイナスになる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14073


結論

アメリカの投資家は徐々に人民元建ての資産にシフトし始めている。

日本の投資家は日本株や米国株には投資をするかもしれないが、中国の資産がポートフォリオに著しく欠けていることは確かだろう。日本人には中国嫌いが多い。しかしそういう些末なことを乗り越えて実利を見る能力があるならば、投資家は利益を得ることができるだろう。そういう観点からポートフォリオを見直して見るのも良いのではないか。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14095  

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コメント
1. 中川隆[-4135] koaQ7Jey 2021年6月20日 11:00:08 : hoBgz425ds : SmxoSFFVZFM1czI=[6] 報告
ペトロダラーシステム
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/822.html

アメリカは具体的にどのように世界中のマネーを吸い上げているのか
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/209.html

米国が裏で操るビットコイン価格、200万円から30万円まで売り崩したCIAの戦略とは
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/665.html

1ドル 30円から40円が適正価格
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/597.html

日本円と日本の物価は異常に安過ぎる _ 1ドル=50円 が適正価格
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/189.html

日経平均株価が上がる程 日本人はどんどん貧しくなっていく _ アベノミクスがもたらした株価上昇による100兆円の損失
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/188.html
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/143.html

輸出企業が日本を滅ぼす
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/749.html

輸出企業が日本を滅ぼす _ 輸出超過額と対外資産が増える程 日本人はどんどん貧しくなっていく
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/187.html
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/144.html

自由貿易は国家経済を破綻させる _ 自由貿易論者が信じているリカードの「比較優位の原理」は時代錯誤の幼稚な経済理論
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/192.html

世界最大の対外純資産に惑わされるな!国が強くならないデフレ日本の経常収支サイクル
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/989.html

日銀の金融緩和はアメリカの出口戦略に協力していただけだった
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/596.html

安倍政権下で進行していた「日銀の異次元緩和」の“手仕舞い”…再び急膨張する日銀資産
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/312.html

アメリカが日銀に異次元金融緩和させた目的は日本の銀行と大企業の乗っ取り
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/393.html

日本が米国債を買いまくった為に、1ドルが70円以下になると日本の対外純資産はマイナスになり、日本の資産はすべて外資に乗っ取られる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/149.html

サブプライムローンでは負債を返済できない貧困者に借金させて貨幣創造した
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/938.html

ドルが下落したらアメリカは終わり
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1074.html

米ドル凋落の始まりか。ユーロが首位 10月の国際決済通貨シェア 2020年12月7日
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1213.html

米ドル覇権はコロナで終わった
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/193.html

米GDP大幅落ち込み、大恐慌から世界を救うのは「浪費と無駄遣い」
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/251.html

米公的債務が激増し2050年にGDP比400%になる可能性
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/321.html

2. 中川隆[-14139] koaQ7Jey 2022年1月19日 10:56:21 : y3o483bN1Y : NHJjeVV5TzZuS00=[8] 報告
2022.01.19XML
新時代でもヘゲモニーを握るために軍事的緊張を高め、COVID-19騒動を煽る米国
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202201180000/


 世界は新しい時代へ入りつつある。その新時代でもヘゲモニーを握ろうとしているアメリカを中心とする欧米の私的権力はロシアと中国を中心とする勢力を屈服させようと必死で、ウクライナや東アジアなどで軍事的な緊張が高まっている。中東やアフリカも2勢力が衝突する舞台になってきたが、ここにきてアメリカは中央アジアに火をつけようとしている。

 その一方、私的権力の代理人的な存在であるWEF(世界経済フォーラム)の創設者、クラウス・シュワブはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を利用して資本主義システムを大々的に「リセット」するべきだと主張した。

 現在のシステムはドルが中心。そのドルを発行する特権を持つアメリカの私的権力は圧倒的に優位な立場にある。そのシステムを維持するためにドルを実世界から私的権力の下へ還流させる必要がある。そこで考えられたのが石油取引のドル決済と金融規制の大々的な緩和。

 1971年までドルは兌換紙幣であり、金という裏付けがあった。その頃まで金はイギリスの支配下にあった南部アフリカが産出量で圧倒していたことから金本位制の通貨をコントロールできたのだが、その比率が急速に低下していく。そしてリチャード・ニクソン米大統領はドルと金の交換を停止すると発表したわけだ。

 金という制約なしにドルを発行できるようになったとも言えるが、何も対策を講じないと実世界にドルがあふれ、インフレになってしまう。そこでドルを還流させる仕組みが作られたのだ。

 世界は石油を必要としている。その石油を買うためにドルが必要となれば、各国はドルをかき集めるしかない。そして産油国へドルは集まるが、そのドルがアメリカへ戻る仕組みが作られたのだ。サウジアラビアをはじめとする産油国に対し、アメリカの私的権力はドル決済を認めさせる代償として、ニクソン政権は産油国に対して国の防衛と油田地帯の軍事的な保護、必要とする武器の供給、支配的な地位や収入の保障などを約束した。いわゆる「ペトロダラー」の仕組みだ。

 その還流効率を高める意味もあり、私的権力は原油相場の大幅な引き上げを実行した。サウジアラビアのファイサル国王の腹心で石油鉱物資源相を務めた​シェイク・ヤマニ​によると、1973年5月にスウェーデンで開かれた「秘密会議」でアメリカとイギリスの代表が400%の原油値上げを要求、オイル・ショックにつながったという。この会議はビルダーバーグ・グループの会合だったことが後に判明する。この会合は1973年5月11日から13日にかけてスウェーデンで開かれている。

 ヤマニによると、ファイサル国王は価格の高騰が代替エネルギー源の開発を刺激するとして値上げに反対していた。そこで国王はヤマニをイランのパーレビ国王の下へ派遣したのだが、そこで「なぜ原油価格の値上げに君たちは反対するのだ?そう願っているのか?ヘンリー・キッシンジャーに聞いてみろ、値上げを望んでいるのは彼なんだ」とパーレビから言われたという。

 石油相場が急騰した直接的な原因は1973年10月の第4次中東戦争。戦争勃発から10日後、OPECに加盟するペルシャ湾岸の6カ国が原油の公示価格を1バーレルあたり3.01ドルから5.12ドルへ引き上げると発表している。

 この戦争はエジプト軍の奇襲攻撃で始まり、イスラエルは窮地に陥った。キッシンジャーはエジプトのアンワール・サダト大統領をアラブ世界の英雄に仕立て上げると同時にイスラエルへ和平交渉に応じるようプレッシャーをかけようとしたとされているが、石油相場を急騰させることもシナリオに含まれていたはずだ。

 当初、戦争はキッシンジャーの思惑通りに進むが、これを懸念する声が国防長官や統合参謀本部議長などから出てくる。そして統合参謀本部ではイスラエルを助ける方法を検討するが、キッシンジャーは妨害したという。後にネオコンの中心的な存在になるリチャード・パールやポール・ウォルフォウィッツはキッシンジャーの動きに激怒している。(Len Colodny & Tom Shachtman, “The Forty Years War,” Harper, 2009)

 1970年代から金融規制の大幅な緩和で投機市場が肥大化していくことは言うまでもないだろう。実世界から資金を吸い上げて「バブル」という現象が現れるが、これは「ハイパーインフレ」の別形態だ。

 しかし、その後、アメリカの中東における支配力が弱まっていく。ウェズリー・クラーク元NATO欧州連合軍最高司令官によると、2001年の9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された直後、ラムズフェルド長官の周辺では攻撃予定国リストが作成されていた。イラクを手始めに、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランを破壊するとされていたという。


 ドル体制からの離脱を目論んでいたサダム・フセインが支配していたイラクを先制攻撃で破壊したのは2003年。2010年から「アラブの春」というムスリム同胞団を中心とする体制転覆運動が始まり、アフリカに共通通貨を導入しようとしていたリビアのムアンマル・アル・カダフィの体制は2011年に潰された。2001年に攻撃が予定されていた国々は実際、攻撃の対象になっている。

 しかし、それでも中東での支配力を回復するというアメリカの計画は実現していない。そこで中東への依存度を低下させる必要性が強まっているわけだが、これはペトロダラーへの依存を低下させるということでもある。その目的を達成するためにも「カーボンゼロ」、そして通貨のデジタル化は必要なのだろう。デジタル化が進めばコンピュータによる通貨の管理が容易になる。

 リセットを実現するためにも使われているCOVID-19騒動は人びとの行動を制限、生産活動を麻痺させたが、石油の需要を低下させる要因にもなる。その騒動が始まって3年目に入ろうとしている今、「感染」に対する疑問が強まり、「COVID-19ワクチン」の危険性が明確になってきた。COVID-19の蔓延を演出する道具として使われてきたPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が診断には不適切だということをWHO(世界保健機関)やCDC(疾病予防管理センター)も否定できなくなっているが、それでも日本は使い続けている。PCRのほかに「感染拡大」を演出する有効な手段が思いつかないのだろう。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202201180000/

3. 中川隆[-13612] koaQ7Jey 2022年3月02日 08:59:03 : FZOBU9yPw6 : NVZHWXJmdjBqS00=[3] 報告
01-29 拡散されている「元が円を抜いた」情報を斬る
2022/01/29



妙佛 DEEP MAX
4. 2022年3月15日 08:14:38 : ddTeqfvkZA : SGdtN2p5YzNRYTY=[5] 報告
ジム・ロジャーズ氏: ウクライナ危機でドルは暴落する
2022年3月14日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/21358

ジョージ・ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを設立したことで有名なジム・ロジャーズ氏がStansberry Researchのインタビューでウクライナ情勢とドル相場について語っている。

ロシアのウクライナ侵攻

ウクライナ侵攻後、意見を表明している著名投資家は多くない。あらゆる人が感情的になり、西側でも同調圧力という名の情報統制が行われているのだから、誰もメディアに顔を出して喋りたくはないだろう。

そんな中でも躊躇わずに意見を言い続ける投資家がいる。ロジャーズ氏である。彼はロシアの侵攻前から主張していた意見をそのまま主張している。

戦争は何にとっても良いことにはならない。ウクライナ危機は2014年にアメリカの国務省がウクライナでクーデターを引き起こし、選挙で選ばれたウクライナの政治家を追い出した。今われわれはその代償を払っている。

また、NATOはロシアの隣国ウクライナまで勢力を拡大してきた。この状況は完全な狂気だ。この戦争は起きる必要がなかった。誰の利益にもならないことをしている。

日本を含む西側のメディアではロシアのウクライナ侵攻は突然起きたような報道になっているが、元々の原因は2014年にアメリカが支援したウクライナのクーデターで当時の親ロシア政権が暴力デモによって追放されたことである。

それはベルリンの壁崩壊以降、東側に勢力拡大しないという約束を破って行われたNATOの勢力拡大の最終局面として行われた。ウクライナはロシアと国境を接しており、しかもモスクワまでミサイルを打ちやすい位置にあるからである。

ジム・ロジャーズ氏: 米国のウクライナ支援はロシアが米国直下のメキシコの反米を煽るようなもの
誰のための戦争か

ロジャーズ氏はこの誰の利益にもならない戦争が誰の利益のために行われたのかを語っている。

だがある官僚にとっては利益になるのかもしれない。彼女の名前はビクトリア・ヌーランドで、彼女は2014年のウクライナのクーデターを引き起こし、彼女の行為のためにわれわれは大きな代償を支払っている。

ヌーランド氏はアメリカの外交官で、2014年のウクライナのクーデターの後に新しい政権に誰が就くべきかを話し合っている会話をリークされニュースになった。つまり、ウクライナの現政権はアメリカの傀儡だということである。

ジム・ロジャーズ氏: 米国のロシア嫌いはオバマ政権によるウクライナ政権転覆が露呈して決まりが悪くなったから
これは当然ウクライナ国民にとっては悲劇なのだが、ロジャーズ氏によればアメリカの政治家は戦争を引き起こすことでアメリカにも危害を加えている。

アメリカはロシアに対して制裁を加えた。それは世界の貿易で幅広く使われているドルという通貨の使用権をアメリカが決めることが出来るからである。

しかしロジャーズ氏によれば、ドルを武器として使い始めたことで元々危ぶまれていたドルの命運が尽きたという。彼は次のように言う。

これはドルの終焉を意味している。何故ならば、国際的な通貨であるためにはドルは中立でなければならないが、米国政府はそのルールを変えようとしているからだ。

もしアメリカが誰かを気に入らなければ、制裁を加えてドルを使えなくする。

これは西側メディアの偏向報道に惑わされず、ウクライナにおけるアメリカの行動に疑問を持つ人々にとってはかなり現実的な黄色信号となっている。ドルを持つということは、アメリカに資産を預けるということだからである。

ひっそりと進むドル離れの動き

ロシアや中国がドルからの離脱を考えるのは当たり前の話だが、その他にも同じように考えている人々は日本人の思うほど少なくない。

以下の記事に書いたようにアメリカの共和党の議員がこの問題におけるNATOの責任を指摘しようとしてペンス元副大統領に黙らされているくらいだから、むしろ西洋の政治家の危険性を認識していないのは日本人くらいなのではないか。

欧米諸国を席巻する反ロシア同調圧力
そういう事情を分かっている人々は当然ながらドルを持つことを躊躇し始める。そしてアメリカと距離を置く行動はドルだけではなく、西側の株式市場や西洋の政治観・文化などにも波及する。

ドルだけではない西側への疑問

筆者が現状一番危険に思っているのは、西側諸国に上場するロシア関連の証券が取引停止になったこと、そしてFacebookやYoutube、EUなどがロシアメディアを遮断したことである。

前者は投資家にとって大問題である。西側のシステムを通して投資をしていると、西側の政治的利害のために資産を遮断されたり、最悪奪われたりする可能性がある。

また西側のロシアメディア遮断については、筆者は世界中のあらゆるメディアを読んでいるが、西側がアゾフ連隊などウクライナに不利な情報を一切報じない一方で、西側に遮断されたロシアのSputnikなどはウクライナ情勢に関してプーチン氏にとって不利な反戦デモのことなども報じていた。

アゾフ連隊: ウクライナ国家親衛隊に実際に存在するネオナチの暴力集団
日本や西洋の人々はロシアや中国は情報統制されていて自分たちは報道の自由を享受していると思い込んでいるが、実際に両方のメディアの記事を読んでいるとむしろ逆であることが分かる。ロシアや中国で西側メディアの情報を完全にシャットアウトすることは難しいが、ロシアの主張は西側にはまったく入ってこない。

だがやはりこうした脱西側の流れで一番ダメージが大きいのはドルからの離脱だろう。ロジャーズ氏はこう続ける。

制裁はアメリカを害している。今や多くの人がドルの代わりになるものを探し求めている。中国人、ロシア人、インド人、ブラジル人、イラン人…彼らは出来るだけ早く米国ドルの代わりになるものを作ろうとしている。

アメリカは毎日自分の足を撃ち続けている。ドルはもうすぐ基軸通貨ではなくなるだろう。それはアメリカにとって良いことではない。イギリスにとって良いことではなかったように。彼らの通貨はかつて基軸通貨だったが、そのステータスを失った。そして多くのものを失った。

ドルをこれまで支えていたもの

経済学上の大きなテーマの1つは、アメリカが大量に紙幣印刷し貿易赤字と財政赤字を抱えているにもかかわらず、何故ドルが暴落していないのかということである。

その答えはまずドルが基軸通貨であることである。基軸通貨であれば貿易で決済を行うためにドルが必要なので、ドルを買おうとする人々は世界中から現れる。それが本来暴落すべきドルを支えていたのである。

だがレイ・ダリオ氏などが研究していたように、基軸通貨を持った国は基軸通貨の上にあぐらをかくようになる。どれだけ紙幣を印刷しても問題は起きないという幻覚を見るのである。

歴史上その幻覚は覇権国家の末期にいつも現れるが、名前は異なっている。今回、その幻覚の名前はMMT(現代貨幣理論)と言うらしい。この宗教の信者の合言葉は「インフレが来るまで紙幣を印刷し続けられる」だったが、いや、ある意味ではそれは正しかったのかもしれない。インフレが来たからである。

2月の米国インフレ率は7.9%、今後更なる物価高騰へ
しかしインフレは覇権国家崩壊の第1段階に過ぎない。ダリオ氏が研究したように、第2段階は通貨暴落である。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
結論

このウクライナ危機をきっかけとして進むドル離れは、インフレで元々危ぶまれていたドルの地位を暴落させてしまうだろう。

投資家にとって重要なのはタイミングだが、タイミングについては以下の記事で書いているのでそちらを参考にしてもらいたい。

2022年ドル円の推移予想: インフレによるドル高は持続せずドル円暴落へ
また、西側の政治家にコントロールされた決済システムを避けるために思いつくものはまず暗号通貨で、ポール・チューダー・ジョーンズ氏などはこの状況で暗号通貨を買っている。

チューダー・ジョーンズ氏、インフレヘッジで暗号通貨を買い増し
しかしロジャーズ氏はそれについては否定的のようである。

ジム・ロジャーズ氏: 仮想通貨の価値はゼロになる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/21358

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