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(回答先: グレートリセットは米国覇権の崩壊と多極化、中国の台頭を示すもの 投稿者 中川隆 日時 2021 年 2 月 05 日 19:30:13)
ペトロダラーシステムと米国覇権の終焉
世界最大のヘッジファンド: ドルから人民元への逃避が始まる
2021年6月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14095
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏の5月29日のインタビューから、基軸通貨ドルの凋落とその競争相手について語った部分を紹介したい。
通貨発行の独占
アメリカで始まっているインフレを受けて多くの投資家がドルの下落予想をしている。
ドラッケンミラー氏: 現金給付がドルを暴落させる理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13560
世界最大のヘッジファンド: ドル下落の時は近い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12927
そもそもの問題は、中央銀行が紙幣を大量に印刷していることである。供給が多くなれば価値は下落する。経済学の基本である。
しかしそもそもなぜ中央銀行は紙幣を印刷し続けていられるのだろうか。ダリオ氏は法定通貨の歴史から始める。
通過の歴史を紐解けば、元々は数多くの私的な通貨があった。中央銀行など存在しなかった。しかしイングランド銀行が通貨発行を独占したいと言い始めた。それまでは多くの通貨が存在し、互いに競争していた。
イングランド銀行が通貨発行業務の独占を宣言するまでは、1つの国の中でも様々な銀行が様々な通貨を発行していたのである。法定通貨は普通ではない。それまでは経済学者ハイエク氏の言うような、様々な通貨が互いに競争し発行者は競争に負けないために通貨の価値を守ろうとすることが普通だった。
ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12051
しかしイギリスが通貨発行を政府の独占とした後、他の国の政府も続き、今ではどの国も政府の決めた通貨を持っている。ダリオ氏はそうなった理由を説明する。
どの国も国境内で通貨をコントロールしたがる。通貨をコントロールし、資金と信用が何処に行くかを管理することは恐らく政府が持ちうる最も強力な権力だからだ。
紙幣を印刷すればいくらでも予算を積み上げ、自分の支持者に向けて資金をばら撒くことが出来る。その国に他の通貨があれば資金はそちらに逃避するが、その国の通貨が法定通貨だけであれば逃避は限られる。ポール・チューダー・ジョーンズ氏の言うように、貴金属や穀物などのコモディティ市場は規模が小さいからである。
ポール・チューダー・ジョーンズ氏: 中銀がインフレ無視なら物価高騰シナリオに全賭け
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14054
そしてその限られた法定通貨の価値は国民の資産総額とともに下落してゆく。
資金の逃避先
政治家のこうした行動に対する最も古典的な手段はゴールドの保有である。ダリオ氏は次のように言う。
金や銀が人気なのは、単に現物資産だという理由だけではない。普遍的な価値を有しており、それを政府がコントロール出来ないからだ。
政府が際限なく紙幣を印刷する世界においては、政府によって価値がコントロールされない資産を持つことが重要となる。
そしてそうした資産はゴールドだけではない。自分の通貨の価値を下げようとする政府の発行する通貨は、通貨の価値をある程度維持している他の政府の発行する通貨に追い抜かれる。それは大英帝国のポンドを始め歴史上何度も起こってきたことである。
世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953
ダリオ氏は次のように続ける。
中国政府が何兆ドルもの米国債を持っていて、米国政府が「金は返さない」だの「金利をマイナスにする」だの言い始めたらどう思うだろう?
読者に考えてほしいのは、強制的に決められたマイナス金利とは政府による借金の踏み倒しであるということである。今日本ではゼロ金利だが、政府が円をコントロールしていなければ、あなたがたは自分の預金に対してもっと多くの金利を受け取っていたはずである。あなたは自分の受け取る金利を政府に奪われた上で、所得の半分以上を所得税と社会保険と消費税に持っていかれているのである。
競争相手としての中国
さて、米国債が魅力的でなければ、資金は何処に行くだろうか? ダリオ氏は次のように言う。
そして今やアメリカにとっては中国が資金を奪い合う競争相手となっている。
2015年には中国の金融市場は2%しか外国人に開かれていなかった。今では60%以上にアクセスできる。
人民元建ての資産が魅力的である理由の1つは金利の高さである。
中国は量的緩和をしていない。債券市場は今でも魅力的だ。
先進国ほどの低金利政策が必要ではなかったために「正常な」金利が維持されていて、日米のように誰かに奪われることはない。日本には中国の資産が金融緩和なしにこれほどのリターンを生み出していることを不思議に思うかもしれないが、10年前と今の中国の変化を知っていればそれはある程度は納得されるだろう。中国の街を訪れれば、見違えるほど豊かになっているのは明らかである。
投資家はそこから利益を得られるだろう。ダリオ氏によれば、こうした環境では動かなければならなくなる投資家が市場には存在する。
魅力的な金融市場がよりオープンになっている。そうなれば機関投資家などは中国の資産についてポジションが少ないと感じ始めるだろう。彼らはバランスを重んじるからだ。米国債から逃避した資金はそういう場所に逃げてゆく。
そしてそれは通貨自体にとってもプラスとなる。ダリオ氏はこう続ける。
中国の資産を買おうと思えば、中国の通貨を買わなければならない。だから良い資産があるということは通貨の上昇要因となる。
一方でアメリカの株式は実質リターンがマイナスになる恐れに直面している。
世界最大のヘッジファンド: 紙幣印刷で株式の実質リターンがマイナスになる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14073
結論
アメリカの投資家は徐々に人民元建ての資産にシフトし始めている。
日本の投資家は日本株や米国株には投資をするかもしれないが、中国の資産がポートフォリオに著しく欠けていることは確かだろう。日本人には中国嫌いが多い。しかしそういう些末なことを乗り越えて実利を見る能力があるならば、投資家は利益を得ることができるだろう。そういう観点からポートフォリオを見直して見るのも良いのではないか。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14095
- 外貨との交換システム SWIFT 中川隆 2022/3/02 09:03:06
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