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ピーター・ターチンの革命理論
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/523.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 3 月 01 日 00:31:01: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: グローバリズムは19世紀の帝国主義の21世紀版、共産主義とは対極にある考え方 投稿者 中川隆 日時 2021 年 2 月 11 日 13:00:46)

ピーター・ターチンの革命理論

最悪の2020年、次に起きる大事件とは?米抗議デモを的中させた専門家の警告=高島康司
2020年6月29日
https://www.mag2.com/p/money/935567


10年前から2020年の米国が混乱状態になることを予測し、見事に的中させた歴史学者ピーター・ターチンの最新の発言を紹介したい。氏は歴史には明らかに再帰的なパターンが存在していると発表している。今後の米国抗議デモの行方と、ひいては世界経済がどう動くのかを見通す参考になるはずだ。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)


すでに科学的に予見されていた2020年の内乱

今回はすでに10年前から2020年のアメリカが混乱状態になることを予測し、見事に的中させた歴史学者ピーター・ターチンの最近の発言について紹介したい。

ピーター・ターチンについては、当メルマガでトランプが大統領になった少し後に書いた2017年5月の記事でも紹介した。この混乱した状況のなか、ターチンが新たな記事で興味深い予測をしている。過去のメルマガの記事も参照しながら、見てみることにする。

ターチンは、ロシア生まれだが、1977年、父がソビエトを追放となったため、アメリカに移り住んだ人物である。現在はコネチカット州のコネチカット大学の教授で、生態学、進化生物学、人類学、数学を教えている。

1997年まで主要な研究分野は生態学であったが、現在は歴史学の研究が中心になっている。

歴史学ではこれまで、ヘーゲルやマルクスなど歴史の統一的な法則性の存在を主張する理論はあったが、そうした法則性にしたがって歴史が動いていることを証明することはできなかった。つまるところ歴史とは、それぞれ個別の背景と因果関係で起こった個々の事件の連鎖であり、そこに統一した法則性の存在を発見することはできないとするのが、現在の歴史学の通説である。

しかしターチンは、生態学と進化生物学の手法、そして非線形数学という現代数学のモデルを適用することで、歴史には明らかに再帰的なパターンが存在していることを発見した。

近代以前の帝国のパターン

そのパターンは、人口数、経済成長率、労働賃金、生活水準、支配エリートの総数などの変数の組み合わせから導かれる比較的に単純なパターンであった。ターチン教授はこれを、ローマ帝国、ピザンチン帝国、明朝などの近代以前の大農業帝国に適用し、そこには帝国の盛衰にかかわる明白なパターンが存在することを明らかにした。

詳しく書くと長くなるので要点だけを示すが、そのパターンとは次のようなものだ。

まず初期の帝国は、人口が少なく、未開拓地が多い状態から出発する。しかし、時間の経過とともに経済発展が加速すると、人口は増加し、未開拓地は減少する。それと平行して支配エリートの人口も増加する。この拡大が臨界点を越えると、帝国は分裂期に入る。

まず、人口の増加で労働力人口は急速に増加するため、労賃は下落する。さらに各人に与えられる土地も減少する。そのため、生活水準は低下し、これを背景とした社会的不満が高まる。

他方、支配エリートの数の増加は、すべての支配エリートに割り振られる国家の主要なポストの不足を引き起こす。これはエリート間のポストを巡る熾烈な権力闘争を引き起こす。この状態を放置すると、国内は支配層の権力闘争と農民の度重なる反乱により、帝国は衰退してしまう。

これを少しでも回避するためには、人口が増加した国民に十分な生活水準を保証するだけの土地を与え、また支配層には国家の十分なポストを与えることができるように、帝国を戦争を通して外延的に拡大し、新しい領地を獲得しなければならない。

だが、この外延的な拡大の勢いよりも、人口の増加と生活水準の低下、そして支配層のポストが不足するスピードが速ければ、帝国の分裂と崩壊が進む。

このようなサイクルだ。

歴史は、多様な出来事が複雑に絡み合った織物のように見えるが、実際は比較的に単純なパターンとサイクルが主導していることが明らかになった。ターチンは、こうした歴史的なサイクルが近代以前のどの帝国にも存在したことを証明し、大変に注目された。


現代アメリカの内乱のパターン
しかし、ターチンが注目されたのはこれだけではない。いまターチンは、近代以前に存在したようなパターンとサイクルが、近代的な工業国家である現代のアメリカにも適用可能であるかどうか研究している。研究は2010年に始まり暫定的な結果が発表され、大変に注目されている。

なかでももっとも注目された論文は、「平和研究ジャーナル」という専門紙に2010年に寄稿された「1780年から2010年までの合衆国における政治的不安定性のダイナミズム」という論文である。2017年4月には、この論文を元にして「不和の時代(Ages of Discord)」という本として刊行された。

この論文でターチンは、アメリカが独立間もない1780年から、2010年までの230年間に、暴動や騒乱などが発生するパターンがあるのかどうか研究した。すると、アメリカでは、農業国から近代的な工業国に移行した19世紀の後半からは、約50年の「社会的不安定性」のサイクルが存在していることが明らかになった。

暴動や騒乱が発生し、南北戦争のような本格的な戦争を除くと、アメリカで内乱が多発した時期がこれまで3つ存在した。1871年、1920年、1970年の3つである。

これをグラフ化したのが以下の画像だ。ぜひ見てもらいたい。

200630_us2020

明らかにこれらの年には、社会で見られる暴力は突出していることが分かる。

社会的不安定の原因
その原因はなんだろうか?

ターチンによると、近代の工業国家は前近代の農業帝国に比べて、経済成長のスピードが極端に速いので、人口の増加とそれによって発生する労賃の低下、生活水準の低下、エリートのポストの不足などにははるかに容易に対処することができるという。

その結果、これらの要因が深刻な社会的不安定性の原因となることは、かなり緩和される。

だが、これらの要因が近代工業国家でも作用し、社会的不安定性の背景となっていることは間違いないとしている。

アラブの春におけるエジプトの例
最近、これをもっともよく象徴しているのは「アラブの春」ではないかという。

たとえば、エジプトのような国は年5%から6%の経済成長率を維持しており、決して停滞した経済ではなかった。

しかし、出生率は2.8と非常に高く、また生活水準の上昇に伴って高等教育を受ける若者の人口が大きく増大したため、経済成長による仕事の拡大が、高等教育を受けた若者の増加スピードに追いつくことができなかった。

その結果、高い教育を受けた若年層の高い失業率が慢性化した。これが、アラブの春という激しい政治運動を引き起こす直接的な背景になった。

格差の固定と現代アメリカの不安定
これとほぼ同じような要因の組み合わせが、やはりアメリカの社会的不安定性の50年サイクルにも当てはまるとターチンは主張する。

人口数と高学歴者の数が増加していても、高い経済成長が続き、生活水準の上昇、ならびに高学歴者の雇用数が増大している限り、社会は安定しており、社会的な騒乱はめったに発生しない。どんな人間でも努力さえすれば、社会階層の上昇が期待できる状況である。

しかし反対に、格差が固定化して、政治や経済のシステムが一部の特権階級に独占された状況では、たとえ経済が成長していたとしても、社会階層の上昇は保証されない。格差とともに社会階層は固定化される。すると、たとえ高等教育を受けていたとしても、期待した仕事は得られないことになる。

このような状況が臨界点に達すると、社会的な暴力は爆発し、多くの騒乱や内乱が発生するというのだ。

新しい記事でも予測
そして、今回の新型コロナウイルスのパンデミックが発生した後に書かれた論文、「コロナウイルスの長期的な影響」では、社会不安が爆発する危険性はさらに高まったとして、次のように書いている。
※参考:Long-Term Consequences of Coronavirus – Peter Turchin(2020年4月20日配信)

「合衆国に関する国内対立の私の予測はどちらかというと暗い。アメリカの政治エリートは自己中心的で、分断していて、いつも内輪もめが絶えない。だから私は、これから膨大な数のアメリカ国民は、それこそ、底が抜けてしまったかのような状態に陥るはずだ。

一方、政府財政は破綻の危機に直面しつつ、支援は大企業に限定されるだろう。その結果、格差のさらなる拡大と政権への国民の信頼感の完全な低下、そして社会不安の激増、エリートの間の激しい闘争が起こる。そして、私が予測のために使っている構造的な人口モデルのあらゆる負の側面が、アメリカで爆発するだろう。私はこの否定的な予測が間違っていることを心から望む」。

ターチンは歴史学者なので大袈裟な表現はしない。この論文の表現も比較的に抑制的だ。だが、「私が予測のために使っている構造的な人口モデルのあらゆる負の側面が、アメリカで爆発する」とは、要するに内乱の発生の警告である。

ターチンが2010年に最初に予測したことが、まさに目の前で起こりつつあるのではないか?

最新記事「2020」
さらに、このような全米規模の抗議デモの拡大が止まらなくなったいま、ターチンは新しい記事を6月1日に自身のサイトで発表した。それは「2020」という刺激的な題名の記事だった。その記事でターチンは次のように言う。
※参考:the_2020 – Peter Turchin(2020年6月1日配信)

「2010年に私が2020年頃にアメリカ国内で内乱が発生すると予測したのは、当時の政治情勢の分析に基づくものではまったくなかった。どの社会にも社会の回復力を損なう不安定要因が存在する。それらは、1)貧困と格差、2)エリートの権力闘争、3)政府機関の機能不全の3つである。これらの変数を数値化し、私は「政治ストレスインデックス(PSI)」という指標を作った。

2010年当時、この「PSI」がアメリカとヨーロッパでは急速に上昇しており、2020年には危険な状態になることを示していた。それが予測の根拠であった。

動画で公開されたジョージ・フロイド氏の殺害の場面は大変にショッキングで、激しい怒りが込み上げてくる。これは当たり前の感情だ。警察のこの行動に怒らないものはいない。この事件は、抑圧された社会的ストレスが爆発する噴火口になったのだ。

2020年になったいまでも「PSI」は上昇するばかりだ。下がる気配はまったくない。新型コロナウイルスのパンデミックは、この上昇をさらに加速させている。ということは、ジョージ・フロイド氏への怒りがきっかけで始まった今回の抗議デモが、たとえ収まったとしても、新たな出来事が契機となり、社会不安は一層激しくなることが予想される」。

以上である。

ターチンは「PSI」は西欧でも上昇しており、アメリカと同じく西欧も激動の時期に入ったので、今後アメリカと同じような状況になるだろうともしている。

イゴール・パナリンの予測
さらにターチンだけではない。2020年代と特定されているわけではないが、将来のアメリカの分裂を予想しているもう1人の専門家がいる。現在、ロシア外務省外交アカデミーの教授を努めるイゴール・パナリンの予測だ。

1998年、もともとkGB出身だったパナリンはロシア連邦保安庁から得た機密性の高いデータに基づき、2010年頃にアメリカは6つに分裂するという予測を発表した。これは大手経済紙の「ウォールストリート・ジャーナル」に取り上げられ、ちょっとした評判になった。

パナリンがいうには、今後アメリカは経済崩壊や極端な格差などが原因となり、富裕な州と貧困な州との間に深刻な対立が生じ、次第に富裕州が合衆国の連邦から離脱することで、アメリカは6つの地域に分裂するとした。

他方パナリンは、アメリカの分裂はロシアの勢力を拡大させるのでよい面もあるが、ユーゴスラビア型の内戦を伴う分裂になると、その世界的な影響力は図り知れず、ロシア経済にも相当なダメージがある。そのため国際社会は協力し、チェコスロバキア型の秩序ある平和的な分裂を実現できるように努力しなければならないとした。

アメリカは分裂に進んでいる?
このような予測であったが、もちろん2010年にアメリカの分裂は起こらなかった。だから、この予測がまったく無意味であったかといえばそうではないだろう。

2007年にサブプライムローンの破綻が引き金となり、深刻な金融危機が起こった。その影響でアメリカ経済は、2008年と2009年は実質的にマイナス成長となり、国内経済は大変に混乱した。

そのような状況を受け、2009年には米政府の横暴に抵抗し、地域共同体と国民の自立を主張して200万人をワシントンに結集した「ティーパーティー運動」や、2011年には格差に反対して全国に拡大した「オキュパイ運動」などが燎原の火のように拡大した。

もちろんこれらの運動で、アメリカは分裂こそしなかったものの、かつてないような政治的対立が生まれた。これはまさに、2010年ころに経済崩壊から分裂に至るとしたパナリンの予測に近似した展開であった。そうした意味では、評価する声も大きい。

一方パナリンは2010年に、これでアメリカの矛盾は解決されるどころか、予測が発表された1998年よりももっと深刻になっているとし、分裂の火種はさらに大きくなっていると発言していた。そして、時期は明示できないものの、将来アメリカは分裂する可能性は高いとした。

そして、いま我々は2020年の大混乱を目の前にしている。

これは、やはりターチンが予想する大混乱や、パナリンの予想するアメリカの分裂に向かって進んでいる可能性を示唆してはいないだろうか?  

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コメント
1. 2021年3月01日 00:41:50 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[40] 報告
ピーター・ターチン「主流派経済学によるとパンデミックでインフレになるらしい:ペストとインフレーション」(2017年4月6日)
https://econ101.jp/%e3%83%94%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%81%e3%83%b3%e3%80%8c%e4%b8%bb%e6%b5%81%e6%b4%be%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%ad%a6%e3%81%ab%e3%82%88%e3%82%8b%e3%81%a8%e3%83%91%e3%83%b3/

マーク・コヤマのツイッターに誘導されて、スコット・サムナーのブログに辿り着いたが、そこで、異端派経済学が、伝統経済学の牙城American Economic Reviewを侵略しつつあることを私は知った。サムナーはノーベル賞受賞者のロバート・シラーの〔異端派的内容の〕論文を、猛烈に糾弾している。エイプリルフールの投稿なのに、サムナー、クソ真面目のようである。

以下、シラーの論文の要旨からの引用である:

人間の脳は、いかなる時も、経路依存的な行動を正当化するため、事実に基づいていようといまいと、好意的な「物語化」チューニングを行ってしまう。これは、支出や投資といった基礎的な行動ですらそうなのだ。物語化によって、〔人は〕活動を動機・関連付け、価値観や要求を深く感じ入るのである。物語が「バイラル化」すれば、経済的な影響を伴い、世界規模にまで広がっていく。

シラーの論文そのものは読んでいないのだが、シラーは、正当化経済学の関心があまりに狭くなっていて、テンプレ化してしまっているので、経済学の活動を感化できるなら感化して、〔学問〕領域の拡張を提起しているようだ。この件については、私もブログで喚起してきている(例えば、ここ〔本サイトでの翻訳版はここ〕)。興味深いのは、ノーベル賞学者であっても、〔このような喚起を行えば〕異端派の烙印から逃れられないことだろう。

もっとも、私がこのブログを書こうと思った主な目的は、サムナーがエントリで「しかしながら、まさにAS/ADモデルが予測する通りに、ペストはインフレーションを引き起こしていたのだ」(強調はサムナーによる)と続けて述べていたからだ。AS/ADモデルだか何だか知らないが、歴史的事実に照らせば、このサムナーの発言は明らかな間違いである。これは、ヴィルヘルム・アベルの画期的な研究以来、経済史家の間では周知の事実である。フィッシャーの本“The Great Wave(大波)”に転載されているので参照してほしい。

「中世の価格革命」を見ると、14世紀前半までは物価は持続的に上昇しており、ペスト到来以降の時代(1350〜1450年)は、デフレの時代となっている。

さて、〔私の本〕“Secular Cycles(永年周期)”の読者なら、事情がもう少し複雑だったのをご存知だ。農耕社会において、持続的な人口増加は、最終的に仕事を求める農耕従事者と、食料を必要とする飢餓者が過剰増加する結果となる。そのため、土地や土地からの生産物(例えば穀物)のような財は高価となり、労働による生産物(製造業製造物)のような他の財は安価となる。つまり、価格の有り様は、商品に応じて反応するのだ。過度の人口増加は、土地・食料・燃料・住宅価格を上昇させる。また、(ほとんどの未熟練)労働の賃金価格を低下させる。製造業生産物の価格は、主に労働がコストとなっているので、その価格も低下させる。公僕や兵士の賃金も、“余剰人口”からの採用程度に応じて、低下する。

資源に応じての、実質賃金と人口圧迫の関係性は、経済史において最も信頼性が高い関係性の一つである。私の研究から実例を1つ挙げてみよう。

以上グラフにおいて「相対的人口数」は、土地の収容力に対する人口の相対的な数である。「逆賃金」は実質賃金の逆数、すなわち「悲惨指数」である(詳細は“Secular Cycles”を参照)

歴史的に(農耕社会では)、ペストのような伝染病による人口減少は、常に(生き延びた)庶民の生活の質の向上をもたらしている。庶民は、より良い穀物(大麦に代わって小麦)を食べたり、ビールやワインを飲んだり、果物や肉を食べるようになっている。


『農民の饗宴』ピーター・アールウェン画

この〔庶民の生活向上〕は、ヨーロッパではペストの後にも起こっているが、地中海においては、「アントニヌスの災い」や「ユスティニアヌスの災い」の後にも同じ動態が起こっているのを観察できる。そして、ペストが17世紀にヨーロッパに再来した時だと、デフレの時代が続いている。

https://econ101.jp/%e3%83%94%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%81%e3%83%b3%e3%80%8c%e4%b8%bb%e6%b5%81%e6%b4%be%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%ad%a6%e3%81%ab%e3%82%88%e3%82%8b%e3%81%a8%e3%83%91%e3%83%b3/

2. 中川隆[-6993] koaQ7Jey 2021年3月01日 00:43:22 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[41] 報告
ピーター・ターチン「経済学は、不平等が(時に)なぜ減少するのか答えられない」(2015年11月1日)
https://econ101.jp/%e3%83%94%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%81%e3%83%b3%e3%80%8c%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%ad%a6%e3%81%af%e3%80%81%e4%b8%8d%e5%b9%b3%e7%ad%89%e3%81%8c%ef%bc%88%e6%99%82%e3%81%ab/


9月、私はオーストリアのウィーンで開催された国際カンファレンス「持てる者と持たざる者:グローバル・ヒストリーにおける富と所得の不平等を探求する」に行ってきた。この会議については、前回のブログ・エントリで言及しているが、この会議で学んだことの1つが、「経済学者は、不平等が増加したり減少したりする理由を本当に分かっていないんだな。特に減少についてだ」ということだ。

トマ・ピケティから取り掛かってみよう。『20世紀の資本』(いや“Das Kapital”と言うべきか?)は今や不平等を研究する学者の「バイブル」となっているからだ。

ピケティは、不平等が増大する理由について、良い説明を提示している。これは、「皆が同意する」との意味ではない。数学とデータによって裏付けられた一般的なメカニズムを提示した「良い科学となっている」との意味だ。

ここまでは良しとしよう。で、ピケティは、20世紀半ばの不平等の減少をどのように説明しているのだろう? 2つの破壊的な世界大戦と世界大恐慌による、例外的な状況の結果である、とのことだ。下品な言葉になるが許してほしい、言い換えれば、「クソな出来事は偶発するのです」ということだ。

ピケティの結論はあまり満足できるものではない。むろん、不平等は一般的な傾向として常に上昇しているが、時に例外的なランダムイベントが発生して崩壊する、と考えるのは可能だ。すると、破滅的な戦争こそが、財産を破壊し、富裕層を貧困化させて、不平等を減少させることになる。ピケティは、不平等を減少させる力の一つとして、自著の中で何度もこれを挙げている。

このような外生的な説明は、私的には納得できない。(全ての人に共有されているわけでないと思うが)私の直感によるなら、不平等が高進しすぎると、不平等を低下させる影響要因があると考えられる。言い換えれば、ある程度は〔不平等が高進すれば不平等を低下させる〕規則的なプロセスがあるのだ。これこそが、真に極端な形での不平等(1人が全てを所有している場合)を目にしない理由である。ピケティの見解では、我々がこのような極端な不平等に遭遇していない唯一の理由は、そこに到達する前に、常に何らかのランダムイベントが介入しているからだ、ということになる。

ブランコ・ミラノヴィッチは、〔カンファレンスの基調〕講演の中で、「何が不平等をもたらすのか」の問題を取り上げている。もし本当に不平等がサイクル的に推移するのなら、不平等が高くなりすぎた場合には、トリガーとなる不平等を押し下げるなんらかの内生的なプロセスが存在しているはずであるとミラノヴィッチは提起している。なんらかのメカニズムが周期的に作動し、繰り返しのサイクルが生成されることになる。

ブランコは、不平等を低下させるかもしれない「悪性の」影響力は、あまり研究されていないのを認めているが、「良性の」影響力については、テクノロジー(technology)、グローバリゼーション(globalization)、政治政策(policy)から文字を取ってTOPと名付けた3つの影響力を挙げている。私からすれば、この3つの内、意味があるのは1つだけである。「政治政策」だ。実際、政府は高所得者や富に課税して不平等を減らすことができる。最初の2つ、テクノロジーとグローバリゼーションに関しては、むしろ不平等を増大させている理由を説明していると思われる。

後日の講演では、ウォルター・シャイデルが、「悪性の」影響力について述べた。ウォルターは“The Great Leveler(偉大なる平等化)”(仮題)〔訳注:『暴力と不平等の人類史』として邦訳されている〕と題された本に取り組んでいるが、この本の中で、彼は歴史上の社会において不平等を減少させてきた4つの影響力を特定している。

大量動員戦争
変革的革命
国家の崩壊
パンデミック

アンドレ・フーゲロン(1913-1998年)画『ヨハネの黙示録の四騎士』(1937年)出典

着目すべきは、これらは全て暴力を伴うので「悪性」であるとされていることだ。つまり、暴力は偉大なる平等化装置なのだ。しかしながら、むろん暴力は種類に応じては、不平等を増大させる結果にもなる。戦争を考えてみよう。征服戦争の多く――例えば、戦闘部族が平等主義的な農民を征服して奴隷にし、勝利者を支配階級に仕立て上げる戦争等は、明らかに不平等を増大させる結果となる。

これが理由で、ウォルターは大量動員戦争に着目している。武装可能な全ての市民(ないし少なくとも全ての武装可能な男性)を強制的に動員する社会は、通常、あるいはいかなる時(?)も、不平等を減らさざるを得なくなるのだ。革命も同様である。革命も全てが不平等を減少させるわけではない。革命は場合によっては、単に圧政を執くエリートを、別のエリートに交換するだけである。しかし、場合によっては、革命は劇的に富を標準化させる。


ヴァン・ウラジミロフ(1869-1947)画『冬の宮殿への襲撃』出典

ウォルターの理論は内生化できると私は思う。つまり、不平等が高進しすぎると、国家崩壊や変革的革命の可能性が高まるわけだ。他案あるいは、追加案だと、巨大な不平等を抱えた社会は、それより平等な社会に打ち負かされるので、不平等な社会は撲滅されるか、不平等が現実的課題となり、縮小が余儀なくされるわけである。

私の見解では、ウォルターの理論は、重要な何らかを捉えているが、2つの点で不完全である。第1に、暴力はある状況だと不平等を増大させ、別の状況では不平等を減少させる。この理由について理解を深める必要がある。第2に、暴力以外でも不平等を減少させるメカニズムがあると私は考えている。ただ、これに関してはあまり自信がない。もしかしたら、私が楽観主義者であるが故だけの願望かもしれない。

結論。経済学は不平等の動態の説明において、その能力でもって何らかを教示してくれるのだろうか? 私の意見では、経済学は不平等が拡大する理由は十全に説明できているが、不平等の減少については経済以外の影響力の帰結となっているので、説明できていない。なので、社会が歴史上、どのようにして格差を縮小させたのかを理解したいのなら、我々は経済学を超え、歴史学・社会学・人類学からの洞察を取り入れる必要がある。

そして、我々が暴力無しに、不平等を減らす方法を見つけ出せるのを、私は確かに願っている。

〔訳注:以下、コメント欄で行われた文化進化論の創始者ピーター・リチャーソンとのターチンのやり取りである。〕

ピーター・リチャーソン 2015年11月1日午後10時7分

政治闘争は、必ずしも[多くの]暴力を伴わずに、不平等を減らすことができるように思えます。米国において、19世紀後半から1950年代にかけての労働争議は、不平等の強制的な縮小に大きな役割を果たしています。合衆国のエリートは、労働者に経済的パイの公平な分け前を与えるか、最終的に革命に直面するかの選択に直面したのです。フランクリン・D・ルーズベルトや似たような思想の持ち主が先導したように、政治的エリートは、革命を回避するために、不平等の縮小をビジネスエリートに強要しました。2度にわたる戦時の大規模な動員がなければ、このような縮小が起こっていたのかどうかは疑問の余地がありますが、組合の組織化と急進的な政党による扇動は、エリートに恐怖を与えたのです。これは、パーマー・レイド1とエドガー・フーバー2 による過剰な反応に繋がっています。しかしながら、こういった〔政治闘争〕活動は、中産階級の子息達によって緩慢に行われました。これは、自身の地位に汲々としているエリート達を不安に陥れたのです。こういった活動に従事した中産階級の子息達達は、平等主義達達による「赤」の力の誇示を助けたかもしれません。確かに「革命の脅威」は、エリート達を相当に効果的に抑圧できるのです。

ガンジー流の非暴力も、非常に効果的なことがあります。もし、非暴力に狂信的にコミットしている、非エリートの大集団を組織できたとしましょう。すると、エリートは、非暴力の狂信者達が突如暴力的に憤った場合に、何が起こるかを心配しなければならなくなります。中国共産党は、法輪功のような一見無害な大規模集団組織を本当に恐れているようです。不平等、もしくは不公平な扱いが一般化されていれば、ノンポリの大規模集団組織は、エリートにとっての脅威となるのです。このような組織は、残虐行為が一滴垂らされると、暴力的な抵抗に豹変する可能性があります。

ピーター・ターチン 2015年11月2日 午前5時6分

どうも、ピート。あなたの指摘に完全に同意します。以上は、私がイオンマガジンの論文で述べた「簡単に言えば、平等を取り戻すのは革命への恐怖なのだ」との点で非常によく似ていますね。
http://aeon.co/magazine/society/peter-turchin-wealth-poverty/

なので、ウォルターの指摘は修正されるべきです。「不平等を減らすのは暴力、もしくは暴力への恐怖である」と。まだ幾分悲観的ですが…。

訳注:アメリカで20世紀初頭に、司法省長官のアレキサンダー・ミッチェル・パーマーによって行われた極左へのレイド(強制捜査)と国外退去処分措置のこと [↩]
訳注:FBI初代長官。赤狩りにも大規模に関与している。 [↩]

https://econ101.jp/%e3%83%94%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%81%e3%83%b3%e3%80%8c%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%ad%a6%e3%81%af%e3%80%81%e4%b8%8d%e5%b9%b3%e7%ad%89%e3%81%8c%ef%bc%88%e6%99%82%e3%81%ab/

3. 中川隆[-6992] koaQ7Jey 2021年3月01日 00:44:54 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[42] 報告
ピーター・ターチン「“コネチカットの狂った預言者”」(2020年11月12日)
https://econ101.jp/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%80%8C%E3%82%B3%E3%83%8D%E3%83%81%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E7%8B%82%E3%81%A3%E3%81%9F%E9%A0%90/

グレーム・ウッドが、「クリオダイナミクス(歴史動力学)」と「私」と「今、我々が直面している不和の時代」についての“長い記事”〔訳注:日本での要約はここで読める〕を書いてくれた。グレームは、非常に知性あるジャーナリストであり、クリオダイナミクスと構造人口動態のメカニズムが、どのように国家を崩壊に至らせるのかについての彼の説明は、非常に優れたものだ。アトランティック誌は、徹底したファクトチェックを行っており(今日のオンラインメディアは、ファクトチェックに限られたリソースしか割いていないので、これは珍しい対応である)、グレームの記事内の、事実に基づいた論拠については、何の異論もない。

しかし、グレームは、ジャーナリストなので、雑誌の発行部数(ないし購読料)を上げるようなやり方での事実の提示が彼の仕事となっている。グレームの見解は、私の研究をいくつもの別のアングルから観たものとなっているが、そこで彼が記事に付け加えた「ひねり(偏った解釈)」に関しては、私は科学者なので同意できない。特に、私を「預言者」(もっと酷く「狂った預言者」)と描いたことは、ハッキリ否定したい。彼は(ありがたいことに)記事内では、この極端なキャラ付けは行っていないが、ツイッターではやらかしてくれた。


しかし、私は預言者ではないし、預言者だと主張したこともない。実際、私は予言を避けている理由について、ブログで具体的に書いてきている。そして、私は、他の「預言者達」への批判も記載している。私は科学者なので、理論を検証するためのツールとして科学的な予測を使用している。言い換えれば、どの理論が正しくて、どの理論が間違えているのかを発見するために、「予測」を道具として使用しているのだ(具体例についてはここを参照してほしい)。

また、私は「メガヒストリー」の書き手ではない。私がジャレド・ダイアモンドやユヴァル・ノア・ハラリの著作を楽しんでいるのは、彼らが仮説を検証可能なものとして提供し、興味深い概論を生み出しているからだ。しかし、ダイアモンドやハラリといった作家は、概論の提示でストップしている。私はそこから、彼らの口頭でのアイデアを引き継ぎ、動的モデルに翻訳し、さらにそれを定量的な予測として抽出し、歴史データで検証しているのだ。私は、自身でも「グランド・セオリー(壮大な理論)」を提唱しているが、主な仕事は理論を叩き潰すことにあり、理論を増やしてはいない。

もう一つの大きな問題は、グレームが私を「傲慢で嫌な奴」として描いていることだ。彼の記事を読んで、私はあちこちでドン引きしてしまった。たしかに、私は、歴史の推移を理論として検証するのに、理論を明示的なモデルに変換してから、大規模なデータセットを使用してモデルの予測性を検証する、かなり野心的なプログラムを提唱している。しかし、私は、自分をハリ・セルダンとは思っていない。実際、空想上の人物であるハリ・セルダンは、非線形力学や数学的カオス理論を理解できていないなかった(アシモフはカオス理論が発見される前に、小説を書いているからだ)。そして、クリオダイナミクスは歴史心理学ではない。

それよりも、グレームの記事を読んだ読者が抱くであろう最悪の誤解は、私の歴史学についての見解だ。「降伏条件」ってマジなのか! グレームの良心は一体全体どうなっているのか? 歴史学や歴史家(そして考古学者や宗教学者)について私がどう考えているかなら、感謝と尊敬でしかない。私は、何度も「クリオダイナミクスには歴史学が必要だ」と書いてきた。10年前、我々のグループは、セシャト・プロジェクト1 を立ち上げたが、このプロジェクトの成功は、専門家である歴史家や考古学者との協力に決定的に依存している。このセシャトの紹介文を読んで欲しい。私と私の学僚達が、歴史学について本当に考えていることが分かるはずだ。

このアトランティック誌の記事を読んだ歴史家は、当然のことながら激怒するだろう(ありがとう、グレーム)。しかし、私としては、歴史家の皆さんに、我々の目的とアプローチについて知ってもらうために、セシャト・プロジェクトについてもっと知って欲しい。我々は、歴史学を滅ぼす(あるいは「降伏」を強制して)はおらず、歴史学の繁栄を望んでいる。我々は、過去の社会の様々な側面についての知識を蓄積し続けるために、学術的な歴史家による専門知識の活用を必要としている。我々が分析に使用するためのデータは、データ変換される前にまず、歴史家と考古学者による複雑で曖昧な歴史的証拠の解釈に頼っている。過去の社会についての我々の知識は、多くのギャップと不確実性を抱え込んでいる――我々の分析結果は、思い込みだけでなく、知識の限界をも露呈しており、データは必然的に不確実性を反映してしまっているからだ。

歴史学はクリオダイナミクスが無くとも存在することができる(そして存在していた)が、クリオダイナミクスは歴史学が無ければ存在することはできない。そして、私が希望するのは、クリオダイナミクスが、過去の社会の研究を単なる学問的営為でないことを示し、歴史学に借りを返すことにある――とりわけ、現在の「不和の時代」にどのように至ったのか、そして荒れ狂う海を先に進むのに何ができるのかについての理解で役立つことによってだ。

訳注:セシャト・プロジェクトは、ターチンが代表となって、全世界の学術機関を繋いで歴史の定量データを集めることを目的として学術プロジェクト。セシャトはエジプト神話に登場する知恵の女神の名前である。 [↩]

https://econ101.jp/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%80%8C%E3%82%B3%E3%83%8D%E3%83%81%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E7%8B%82%E3%81%A3%E3%81%9F%E9%A0%90/

4. 中川隆[-6991] koaQ7Jey 2021年3月01日 00:49:44 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[43] 報告
国家興亡の方程式 歴史に対する数学的アプローチ
ピーター・ターチン (著), 水原文 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E8%88%88%E4%BA%A1%E3%81%AE%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F-%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E6%95%B0%E5%AD%A6%E7%9A%84%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81-%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3-ebook/dp/B0722VMLYB/ref=sr_1_1?dchild=1&hvadid=467498919770&hvdev=c&jp-ad-ap=0&keywords=%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3&qid=1614527104&s=books&sr=1-1

商品の説明
著者について
ピーター・ターチン (Peter Turchin)

コネチカット大学教授(生態学・進化生物学、人類学、数学)
理論生物学者として研究をはじめ、近年はCliodynamicsという歴史動態を数学的にモデル化する学際領域で活動している。特に、社会文化的進化、歴史のマクロ社会学、経済の歴史と計量経済史の交点に興味を持って取り組んでいる。
水原文 (Bun Mizuhara)
技術者として通信キャリアやメーカーに勤務した後、フリーの翻訳者となる。震災を機に埼玉県から宮城県へ転居。訳書に『1びょうでわかる世界の「今」』『ビッグクエスチョンズ 宇宙』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『Cooking for Geeks』(オライリー・ジャパン)など。フランス車(シトロエン)とコントラクトブリッジ(カードゲーム)、お茶(表千家)を愛してやまない。日夜Twitter(@bmizuhara)に出没している。 --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。


内容(「BOOK」データベースより)
歴史を自然科学のように研究することはできるだろうか?本書の著者、ピーター・ターチンは、歴史×数学という新しい枠組みで、この問いへの回答を試みる。このようなアプローチの重要性を示すことから始め、数学の簡単な紹介の後、歴史文献の圧倒的なレビューと精緻なモデル化と理論の検証を行う。数学に苦手意識を持つ読者も、モデルの仮定と導き出される予測さえ把握できればターチンの主張を理解することができる。それがどれほど実際の歴史を記述しているか、ぜひ体感してほしい。 --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ターチン,ピーター
コネチカット大学教授(生態学・進化生物学、人類学、数学)。理論生物学者として研究をはじめ、近年はCliodynamicsという歴史動態を数学的にモデル化する学際領域で活動している。特に、社会文化的進化、歴史のマクロ社会学、経済の歴史と計量経済史の交点に興味を持って取り組んでいる

水原/文
技術者として通信キャリアやメーカーに勤務した後、フリーの翻訳者となる。震災を機に埼玉県から宮城県へ転居(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。

カスタマーレビュー

タカハシ
5つ星のうち5.0 歴史社会学 × 数理モデル
歴史社会学に数理モデルを当てはめる過程をまとめた内容となっています。
文系科目とされる歴史に、(理系科目である)数理を用いてモデルを構築するという視点が面白く、
歴史好き、数学好きなら、どこかしら琴線に触れる内容があるのではないでしょうか。

個人的には、

・数理で用いる数学が、大学1~2年生レベル(微分方程式の初期で習う内容)であること
・数理モデルが実際にどう利用されるのかが学べる内容になっていること
・論述が論文の形式に似ており、学術研究を行う練習になること
から、特にこれから工学・理学で数理を学ぶ学部生・院生に推薦したい内容に感じました。


5つ星のうち4.0 コンピューターシミュレーションによる歴史の再現への挑戦!

経済史研究や人口史研究から始まった歴史過程への数理的解析手法の適用の潮流はついにここまで来たか。紀元500年から1900年までに現れては消えていった数々の王朝の領土の消長過程をシミュレーションで再現してしまおうという一見すると無謀で壮大な野心的試み。

コンピューターに計算させるプログラムの核となる中心的な仮説は「メタエトニー辺境理論」。中世イスラムの思想家イヴンハルドゥーンの国家盛衰理論の中に現れる「アサビーヤ」の概念(社会の成員が社会連帯的な行動を行える能力を当該社会がどれだけ有しているか)を導きの糸にして著者ターチン博士は次のような仮説を提唱する。国家の中心地滞と周縁地帯とを区別し、外敵と接するがゆえに厳しい生存競争環境となっている周縁地帯においては、国境の内側と外側双方に集合的連帯の能力を高めた集団を生み出し新たな国家形成が促されるが、中心地帯においてはそうした外敵の脅威が希薄なため集合的連帯能力が弱体化していく結果、しまいには新興国に取って代わられてしまうのではないかと。他にも計算に組み込まれる仮説はありますが、この仮説が一番重要なファクターだと著者は考えているようです。

驚くべきは、シミュレーションの結果です。確かにヨーロッパの国々の分布がかなりよく再現されている!実際にはシミュレーションするたびに大きく違った結果が出てくるそうなので(数学的にはカオスのふるまいらしい)、多数の試行結果の中に現実によく近似したものが含まれていただけとも言えますが、それでもなかなかの一致であり、理論自体の蓋然性の高さも相まって「これは本物かもしれない!」という気持ちになります。必見です。

思うに、1000年以上に渡る国家盛衰の歴史過程が比較的単純で直観的に納得のいく仮説群から導かれることがシミュレーションで確認できるということは非常に感動的ではありますが、しかし、逆に言えば、コンピューターに頼らずとも従来通りの歴史学的・社会科学的洞察でもほとんど事足りることが証明されてしまったというようにも理解できなくはない。とてもではないがにわかには信じがたいような非直観的仮説から現実が再現されるようなことでもない限り、コンピューターは世界を理解したいという人間の知的欲望に本当の意味で革命的な寄与をしたことにはならないのではないかという思いもぬぐえない。

しかし他所ではお目にかかれないすごい内容であることは間違いない。繰り返しますが、必見です。


5. 中川隆[-6990] koaQ7Jey 2021年3月01日 00:51:53 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[44] 報告
ラジブ・カーン「ピーター・ターチンへの10の質問:『歴史の方程式』は存在するか?」(2010年2月10日)
https://econ101.jp/%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%80%8C%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%81%B8%E3%81%AE10%E3%81%AE%E8%B3%AA%E5%95%8F/

ピーター・ターチンは、生態学、進化生物学、ならびに数学を修め、コネチカット大学で教鞭を取っています。彼は5冊の本の著者です。その内の3冊『国家興亡の方程式』、”Secular Cycles”(『長期の世代循環』) 、”War and Peace and War”(『戦争と平和と戦争』)は、新分野「クリオダイナミクス(歴史動力学)」から得られたモデルの概説試案となっています。私は、『国家興亡の方程式』と”War and Peace and War“(『戦争と平和と戦争』)に書評を書いています。以下がターチンへの10の質問です。

Q1:あなたの最初の研究分野は、定量的な生態学でした。なにが、あなたを歴史動態のモデル化に転向させることになったのでしょう?

ある時点となりますが、生物個体群の動態における大きな問題の大部分が解決されている、ないしまさに解決されようとしているということを、私はハッキリ理解することになったのです。なので、私は”Complex Population Dynamics“(複合的な生物個体群の動態)に関する本を書くことになり、考えていた上記の問題の答えの統合を行いました。そして、よりやりがいのある分野への探索を始めることになりました。そこで判明したのが、まだ数学化されていない最後の科学分野は歴史である、ということです。まず最初に考えていたのが、単純に歴史の動態に関して幾つかの数学的モデルを書き出すことでした。趣味としてですよ。しかし、いったんこれをやってみたら、モデルの予測が、実データでテストできるかどうか見てみたくなったのです。非常に驚いたことに、歴史の進展に関しては、多くの定量的データが存在することが分かりました。つまり、モデルと理論のテストを行う事が、顕著に可能であることが判明したわけです。その結果、この件で、私の主目的は、机上の計算や、よりの厳密化を行うことよりも、「実証可能性」となりました。「私の理論は実データでテストできるか」が最優先興味になったわけですね。

Q2:あなたは、「クリオダイナミクス(歴史動力学)」という新分野の最前線にずっといます。新分野が必要なのでしょうか? 経済学者達が既に、「クリオメトリクス(計量経済史)」の最前線にいて、自前の理論的フレームワークを保持しているように思われるのです。あなた特有のフレームワークの付加価値は何になるのでしょう?

私は、「クリオダイナミクス(歴史動力学)」が必然だと確信しています。歴史の進展は非常に複雑です。経済的要素だけでなく、人口統計的、社会的、政治的、思想的、気候的、そしてその他多くの要素が関わっているのです。なのでおそらく、人は大規模な学問的分野にまたがるようなアプローチでもって歴史に相対すべきなのでしょう。科学的手法に従うようになることが、社会科学の最終到達点なのです。私は経済学者達に多くの敬意を払っていますが、多くの点で彼らは、歴史を扱って進捗をもたらすのを困難としています。例えば、最近まで、経済学者達は、「合理的経済人が破産するモデル」を扱いかねてきました。別の問題もあります。伝統的な経済学の理論は、あまりにも均衡に焦点を当てすぎています。このことは、経済学者に歴史の動態を扱いづらくさせているのです。この両障壁は、今や解体されつつありますが、未だに経済学者達は、「クリオダイナミクス・コミュニティ」の最前線にはいません。クリオダイナミクス(歴史動力学)は、歴史社会学者、人類学者、そして政治学者からなる非常に大きな領域を代表しているのです。

Q3:学問分野からの観点となりますが、あなたの研究に、最も肯定的な反応はどの分野からでしたか? また最も否定的な反応はどの分野からでしたか?

肯定的な反応は、上記に列挙した分野からありましたね。具体的には、歴史社会学、社会人類学と文化人類学、政治学、経済歴史学と社会歴史学、人口統計学です。否定的な反応は、これまでのところ実際にあまりありませんでした。主たる防衛的メカニズムは、私たちを無視することですね。歴史学者の95%が行っていることです。私にとって、気にするような事ではありません。実は、嬉しい驚きもありました。歴史社会学者と(推定)5%の歴史学者から肯定的反応が返ってきたことです。クリオダイナミクス(歴史動力学)の時代が到来している、ということなのでしょう。因みに、私たちは、今年、査読付き論文雑誌を始めています。

Q4:あなたがソ連で生まれたという事実は、歴史を科学的研究するというコンセプトを見開くことなったかもしれない、と私は推察しています。人類の過去を科学的に記述し、未来の予測を試みる、といったマルキストの思想形成のような、歴史の可視化を行えたのではないか、と。あなたの今の知的関心と、文化的背景の関係はあると考えていますか? それともないのでしょうか?

はい、ロシア的背景は、私の知的関心への強い貢献要因だと思います。しかし否定しておくと、マルキシズムは関係ありません。あなたに知って欲しい事があります。私が、歴史研究を始める前に、マルクス主義を完全に拒絶していた事です。これは私の家族的背景に由来してます。(私の父は、ソ連における人権活動家であり、1970年代後半に海外追放されているのです)。つい最近ですが、社会科学の研究者になったことで、私はマルクスの特定の洞察の価値を理解し、理論に組み入れることを習得しました。しかし、どんなに想像たくましくしても、私はマルキストではありません。ロシア的要素は(私が信奉する限り)、ロシア人は広大な思索家になる傾向、といった行動に現れます。ドストエフスキーが一度言っていたと思うのですが、「ロシア人の心は非常に広い。広すぎるくらいだ。俺はできるなら縮めたいよ」1 と。なのでロシア人は宇宙理論を生み出す傾向を持っています。(『ロシア宇宙主義』と今や呼ばれようになった、哲学一派すら存在します)。自身の研究において試みているのが、このロシア的傾向性と、アングロ・サクソンの実用性・経験主義の融合なのです。

Q5:あなたは、自身の学説で集団淘汰モデルを打ち出しています。しかしながら、私がなじんでいる限りあなたの研究内容は、文化的集団淘汰に焦点を絞っています。サミュエル・ボウルズによって提唱されている、狩猟採集民に関する血縁レベルの集団淘汰についてどう考えていますか? そしてそれの、農業的個体群への適応可能性についてはどう考えていますか?2

私が考えるに、集団淘汰メカニズムは、遺伝レベルと文化レベル双方で機能します。そして、もちろん遺伝と文化の相互作用に基づいたものとなります。この遺伝と文化による混合要因は、初期人類の進化においては、主に遺伝的要素が働いていました。現代は、文化的要素がより強く働くことになっています。しかしながら、遺伝的進化は未だに継続しています。なので、今日においても淘汰作用が、100%文化的ということありえないでしょう。私のクリオダイナミクスのサイトに査読前原稿があります。そこで私は、超大規模な社会性(数百万単位の個人が協力的な集団を形成する我々の能力)の進化に焦点を当てています。そして、そこでの私の主たる着眼点は、文化的集団淘汰です。

私たちが期待すべきでないことが1つあります。遺伝子と文化の間に綺麗に線引が行えるようになることです。この2つの情報伝達による共進化が、進化が作用する要所なのです。

Q6:あなたの農業社会を基盤にした政治形態の盛衰モデルについてです。モデルで、あなたは「高次の民族」アイデンティティの生成に関しては、制度的宗教の重要性を強調しているように思われます。歴史学者達によって言及されてきた歴史上の奇妙な現象の1つがあります。それは、世界的宗教の台頭が、紀元前600年から西暦600年の間に起こっており、さらにこの期間の後には、多数の宗教の台頭が比較的低位安定になった現象です。あなたは、この現象のパターンに関してなんらかの説明言説を保持していますか? それとも、説明すべきものは何もないのでしょうか?

事実、これは歴史における最も印象的なパターンの1つですね。そしてこの現象は、私の理論に非常にきれいに適応します。私自身に繰り返させるよりも、読者には私の最近の論文を読むことを勧めます。以下のURLに論文の再刊行版が掲載されています。
http://cliodynamics.info/PDF/Steppe_JGH_reprint.pdf
p.201からの「枢軸時代3 」の私の解説を読んでみてください。そこから続けて、「枢軸時代」期間の中東の部分(p.209)をチェックしてみてください。

Q7:レイ・ファンの著作”China: A Macro History“(『中国:マクロの歴史』)で言及されている事実に私は依拠しているのですが、それによると、中国では王朝と王朝の間の空位期間が、年代を経るごとに短くなっていっている、とのことです。これは、あなたの歴史進展のモデルによって説明可能でしょうか?

はい、可能です。世界の他の地域でも、同じ観察現象となって現れてるとのことです。ビクター・リーバーマンの著作”Strange Parallels“(『不思議な類似性』)の、最近出版された2巻によるとですが。思うに、国家の運営能力が文化的に進化しているという事例は、非常に説得力があります。おのおのの新国家は、白紙から始まっていません。過去の様々な試みの中で開発された政治統合の技術を既に備えているのです。結果として、政治形態の規模と統合は、時間とともに増大する傾向となります。そして、空位の期間は短くなっていくのです。

Q8:あなたは、歴史をまたいだ高次の民族的フロンティアの重要性に着目しています。
旅行とコミュニケーションが容易になった現代世界においては、空間的な境界線の価値は減っているように思えます。なので、文明はいくぶんですが、相互に入れ替えされていると思うのです。(例えば、第3世界における西洋人の飛び地居住、西洋社会へのイスラム教徒のディアスポラ(離散集住)、アフリカにおける中国人、等々…)。高次の民族的フロンティアの概念は、このような現在の状況にも転用可能ですか?

私は可能だと考えていますが、現段階では完全に根拠のない推測ですね。さきほど言及したビクター・リーバーマンは、別の際立ったアイデアを保有しています。それは、現代ヨーロッパ人の実態は「外見が白いアジア人」だというものです。どういうことかと言いますと、西暦1500年以後、文化進化の主要な中心地が、〔中央アジアの〕ステップ地帯のフロンティアから、ヨーロッパ人達の植民フロンティアへとシフトしたということです。 私たちは、おそらくいまだにこのシフトした同時代にいるのでしょう。だから、最も激しい文化進化が行われているのは、西洋社会が他の社会に侵略的影響を与えている地域ですね。

また忘れてはならないのが、民族・宗教的ディアスポラ(離散集住)は、近代性による発明ではないことです。より重要なことに、今日における情報流通は、その場限りではありません。なので、(イラクから数千キロ離れている)サウジアラビアに住んでいるような人が、アブグレイブ4 に関するニュースをリアルタイムで見ることができる。しかもおそらく視覚的なデータで。そして、その人は、イスラム原理主義ゲリラになることを決心するわけです。よって、私は、この基礎的な動力は未だに展開していると推測しています。しかも、この動力は、現在のコミュニケーション以前の動力と違い空間的に限定されていないのです。

Q9:現代のポスト・マルサス的世界についてです。過去の長期の世代循環から、我々が得ることができる、なんらかの洞察は存在するのでしょうか?

私の研究中の仮説は、「人口層構造理論」、「エリートの過剰生産」、「国家財政の脆弱性」の3つのメカニズムのうちの2つが、現実世界では引き続き機能しているというものです。次の質問の答えを参照してみてください。

Q10:あなたの次の大きなプロジェクトは何ですか?

私が今研究している主要プロジェクトは、1780年から現在までのアメリカ史における人口層の構造分析です。なので、上記の質問9で少し言及した仮説を、実証分析で裏付けるられるかどうかの検証を行う予定ですね。


※訳注:訳者による注釈・補足は〔〕で括っている
※訳注:本サイトでは、ピーター・ターチンのブログ記事の翻訳を行っている。
※訳注:タイトルを直訳すると『ピーター・ターチンへの10の質問』となるが、馴染みの無い分野の記事内容と考え副題を追加している。

※訳注:本インタビューが行われた後、2016年に、ターチンは2冊の本を刊行している。”Ultrasociety: How 10,000 Years of War Made Humans the Greatest Cooperators on Earth“(『超社会性:戦争の1万年はいかにして人類を地球上でいまだかつてない協調者に仕立て上げたのか』)はQ5で言及している「超大規模な社会性(数百万単位の個人が協力的な集団を形成する我々の能力)の進化」を扱ってる。”Ages of Discord“(『不和の時代』)は、Q10で言及されている研究をまとめたものである。それぞれの本で扱われている内容の日本語による概略は、ココやココやココで読むことが可能。


※訳注:邦訳がない書籍は、原題の直後に訳者による便宜上の邦題を追加している。

訳注:『カラマーゾフの兄弟』の登場人物のセリフを指すと思われる。正確には「いや実に人間の心は広い、あまり広過ぎるくらいだ。俺は出来る事なら少し縮めてみたいよ」(岩波文庫版より)である。 [↩]
訳注:『集団淘汰』という言葉に関しては、数十年前にほぼ棄却された後に、近年また別の形で復活していることに注意する必要がある。ここでカーンとターチンが話題にしているのは、後者の近年復活した『集団淘汰』のことではないかと思われる。

古典的『集団淘汰』とは70年代頃までの、多くの生物学者の共通見解であった、群れ同士のあいだで行われる生存競争が進化を左右する、といった説である。この説は、個体間の利他行動が進化する理由を説明しやすい。個体がたがいに助けあう群れは、そうでない群れより生存に有利だと考えられるからである。しかし現実の生物は、群れ内部の個体間競争に勝つため、群れ全体にとっては損害となる進化をすることが珍しくなく、この説にそぐわない事実が多く指摘されることになった。
そのため60年代半ばにハミルトンの包括適応度説(いわゆる『利己的遺伝子説』)が出現し、進化の基本単位を遺伝子とする血縁淘汰等での説明が主流となった。このことで、アリやハチの巣にみられるような利他行動の進化がこの説で説得的で説明されるようになり、集団淘汰説は廃れていくことになった。
しかしハミルトン説で説明できるのは血縁者間の利他行動だけなので、人間が非血縁者同士でも助けあうよう進化した理由は、今に至るも大きな謎として残されている。ターチンが研究している、人間の超大規模な社会性の発達等である。この謎の解明の目的にさまざまな説が唱えられているが、その中には集団淘汰的発想を復活させるものも多い。人間だけなんらかの理由で集団淘汰により進化したとする説もあれば、遺伝子ではなく文化の進化が疑似集団淘汰的に起こるとする説や、遺伝子と文化の共進化という現象を想定する説もある。 [↩]
訳注:哲学者カール・ヤスパースによって提唱された時代区分の名称。紀元前500年前後に、今にいたるも影響を与えている宗教や哲学思想が、世界各地で別個に同時多発的に発生した現象を指す時代区分 [↩]
訳注:イラクのバグダッド近郊にあるアブグレイブ刑務所のことと思われる。イラク戦争渦中に、この刑務所を占拠したアメリカ軍は、ここで捕虜の虐待を行っており、マスメディアに報じられたことでアメリカ軍への批判が寄せられることになった。 [↩]

https://econ101.jp/%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%80%8C%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%81%B8%E3%81%AE10%E3%81%AE%E8%B3%AA%E5%95%8F/

6. 中川隆[-6989] koaQ7Jey 2021年3月01日 00:55:09 : 1vS4Oaq6as : UVJJTWxKQ3EwUUU=[45] 報告
国家興亡の方程式 歴史に対する数学的アプローチ
ピーター・ターチン

目次 :
1章 取り組むべき課題・問題を明らかにする
2章 地政学
3章 集合的連帯
4章 メタエトニー辺境理論
5章 メタエトニー辺境理論の実証検証
6章 民族運動学
7章 人口構造理論
8章 永年サイクル
9章 ケーススタディ
10章 結論/ 付録

読書メーターレビュー


mash さん
数式で把握するのは絶対無理だろっていう領域にまで数理モデルを利用している内容です。集団の凝集性が国家の基盤となり、成長すると今度はその辺境で別の集団が凝集性を伸ばし、前の国家を飲み込んでいく。このモデル化がもし大体合ってるなら人の動きも学習させれば数式化できるのかな

溝旗昌吉 さん 読了日:2017/03/12
本書は言葉の上での仮説を数理モデルに変換し、どのモデルがデータと一番適合するか検証するという自然科学と同じアプローチで歴史動態を研究する試みを紹介している。本書で紹介されモデル化され実証された仮説には、集団行動を行う能力(アサビーヤ)が帝国の辺境で増大して帝国の中心部で減少することで辺境から新しい帝国が生まれるという仮説(メタエトニー辺境理論)、被支配民族が支配民族に同化するとき支配民族の宗教や言語が個人から個人へ社会的ネットワークを通じて拡散するという仮説(民族運動学の自己触媒モデル)、

くらーく さん 読了日:2016/04/09
いろいろと数式化していますが。。。分かりません。普遍的かもしれませんし、過去の事例がたまたま合う式にもっていったかもしれませんし。 ディープラーニングさせたい気もしますな。

Akxvigs さん 読了日:2019/02/23
悪くはないがタイトルが示唆するほど面白くはない。数式はあんまり出てこないですが文書部分が読んでいてあまり頭に入ってこないというか論文を読んでいるようなもので興味をひかれない。圧力を受けた辺境から帝国が生まれる、人口動態にかなり長い波がありそれは帝国の興亡と関係がある、エリートの過剰生産が国家の衰退を招くなどいくつか示唆に富む。またあらゆる国家こういった形で一般化することは、自分達は特別だと考える者へアンチテーゼになる。その点に一番科学らしさを感じる。

7. 2021年6月02日 18:52:26 : 4D3OjxhHhg : TEswdkdERG1YZ0E=[491] 報告
革命の理論はいいが、革命とはどう定義するの?
変革、混乱とはどう違うの
、イデオロギーと思想はどう違うの
このこの男は全て混同しているね。
人民が思想を理解して運動すれば革命だね、力だね!
まず言葉ありき(新約聖書)だね

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