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(回答先: 世界的インフレは株価暴落を引き起こす 2022年株式市場見通し 投稿者 中川隆 日時 2021 年 11 月 24 日 09:46:28)
インフレのピークが株価の大底になる
アメリカの4月のインフレ率、予想上回る 株価は下落
2022年5月12日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24257
アメリカの物価高騰が株式市場をも揺るがすなか、注目の最新の消費者物価指数が発表された。4月のアメリカのインフレ率は8.2%(前年同月比)となった。
減速したインフレ率
まず債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏が述べていたように、今回の数字は前回3月よりも下がることが予想されていた。
ガンドラック氏: インフレはピーク
3月の数字が8.6%なので、4月の8.2%はガンドラック氏の想定通り少し下がったということになる。インフレ率のチャートは次のようになっている。
少し下がっている。
何故下がることが想定されていたかと言えば、この数字が前年同月比で、比較対象となった前年2021年4月が、アメリカで3月に行われた3回目の現金給付の影響で物価が急騰した月だったからである。
前年同月比とは前年の同じ月に比べてどれだけ物価が上がったかという数字なので、前年の比較対象の月が物価の高い月であれば、当然ながらインフレ率は高くなくなる。
インフレのピークは株価の大底
以下の記事ではインフレのピークが株価の大底になるということを説明した。
2022年インフレ株価暴落はいつまで続くか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24209
この記事は非常に重要なので読んでもらいたいが、要するに株価の底値を予想するためにはインフレ率が今後どうなってゆくかを予想しなければならない。
まず、前年同期比の数字を考えるためには、比較対象となっている前年において各月の物価上昇がどの程度だったのかを考えなければならないだろう。
そこで、2021年の前月比年率(前の月と比べた数字を年率換算したもの)のインフレ率を見てみたい。
やはり4月頃からインフレ率が高くなり、6月には11%に達している。
よって前年との比較で今年の数字が高いインフレになるためには、高かった去年6月の数字を超えてゆかなければならないということになり、やはり今後数ヶ月のインフレの数字は落ち着くという予想が妥当だろう。
インフレ鈍化で株価反発の可能性
これまでインフレを警戒して株価が下落していたのに、インフレが減速した今回の数字を受けて米国株は更に下落した。
何故かと言えば、8.2%という数字が市場が予想していたほどの減速ではなかったからである。
今回の数字があまりインフレ減速的だと思われなかったとしても、やはり6月(の数字が発表される7月)までは数字上インフレは減速し、株式市場にとってはつかの間の追い風となる可能性もある。
だが結局は、今年の後半にかけてインフレ率がどうなってゆくかということが、株価の最終的な命運を握っている。
それを考えるためには、高騰している住宅価格の上昇率と長期金利を並べた以下のチャートが一番分かりやすいだろう。
アメリカの住宅価格が2月に19.8%上昇、再上昇開始
アメリカ国民は家賃が高騰するなか、ローンを組んで住宅をこぞって買おうとしている。賃貸ならば住宅価格や家賃の上昇はマイナスだが、買ってしまえば自分にとってプラスになる。しかしそうした住宅購入が住宅価格を更に押し上げてゆく。
住宅価格が年率20%近い速度で上がるなか、ローン金利に影響する長期金利は3%程度である。
つまり、年間3%か4%のコストを払うことによって、お金がない人でも20%の資産価格上昇を手に入れることができる。それはローンが実質的に損のない無料の資金であることを意味する。この状態で、アメリカ国民の購買意欲が収まるかということである。
結論
筆者はこの状態でインフレが収まるとはまったく思っていない。だから6月にかけてインフレが減速し、中央銀行が金融引き締めの手を緩めるならば、それは一時的には株価にとってプラスになるだろうが、最終的なインフレ率は更に高くなってゆくだろう。
だがいずれにしても今後インフレ率は最重要指標である。その動向が株価の行く末を決めるからである。以下の記事はしっかり読んでおいてもらいたい。
2022年インフレ株価暴落はいつまで続くか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24257
2022年インフレ株価暴落はいつまで続くか
2022年5月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24209
アメリカも日本も株価の下落が続いている。世界的なインフレでアメリカのFed(連邦準備制度)が強力な金融引き締め政策を行なっているからである。
2022年世界同時株安
これは予想されていたことだった。少なくともここでは年始から次のように書いておいた。
2022年の株式市場はインフレと金融引き締めで暴落する (2022/1/6)
株を買っている人は、自分が何故株を買っているのかもう一度考えた方が良い。少なくとも筆者には今株を買うべき理由が何1つとして見当たらない。
それで米国株の推移は次のようになっている。
そろそろ最高値から20%の下落になりそうだが、それでもこの下落相場はまだまだ始まったばかりである。
株価暴落はいつまで続くのか
さて、ここで投資家にとって問題となるのは株価暴落がどこまで行くのか、そしていつまで続くのかだろう。
比較対象になるのは常に過去の相場である。例えば同じようにパウエル議長による金融引き締めで下落した2018年の世界同時株安では、最高値から20%の下落となっている。
しかし当時はインフレではなかった。だから結局パウエル議長は自分の金融引き締めが株安を引き起こしていることを認め、引き締めを撤回した。だから20%で済んだのである。
だが今回は引き締めを止めるとインフレが止まらなくなってしまう。
3月のアメリカのインフレ率は遂に8.6%に
だから中央銀行は金融引き締めを止められない。しかも量的引き締めの規模は2018年の2倍となっている。
5月FOMC結果、2018年世界同時株安時の2倍の規模の量的引き締め開始
1970年代のインフレ株価暴落
それだけでも今回の株安が20%の下落では済まないことは分かる。では、過去に同じようにインフレで金融引き締めを止められなかった時の株価暴落はどうだったかと言えば、1970年代の物価高騰時の株価下落を見るべきだろう。
丁度半値になっている。ちなみにインフレに弱いNasdaqは60%の下落である。今の相場でもNasdaqの下げは大きい。
ハイテク株の決算後株安はインフレ暴落相場の始まりに過ぎない
天井から大底までの下落幅を厳密に予想することはできない。だが今回の株価暴落の規模は2018年の20%というよりは、1970年代の50%に近いものになるということは間違いなく言えるだろう。
株安はいつまで続くか
一方で、「どれだけ下がるか」ではなく「いつまで下がるか」についてはもう少し厳密な予想が立てられるだろう。
中央銀行はインフレ抑制のために利上げや量的引き締めをしているが、以前も述べたように株式市場は住宅市場や実体経済よりも先に反応する。
だからこれから続くのは、株価がかなりの程度急落しても、インフレや住宅バブルが収まらない期間だろう。
その時中央銀行はどうするか? パウエル議長がある程度の株安を許容するだろうということは、以下の記事を読めば分かる。
ガンドラック氏: アメリカ金融引き締めでソフトランディングは無理
だからFedは株価が下落していても金融引き締めを一定期間そのまま続けるだろう。
それが終わるのがいつかと言えば、インフレが鈍化し始める時である。実際、1974年の大暴落で大底となった1974年終盤は、アメリカのインフレ率(以下)がピークに達した時である。
だから株価がいつ大底に達するかということは、インフレ率がいつピークになるかを見ていれば分かるということになる。(※5/10誤字訂正しました。)
インフレ率の推移
だが現在のアメリカのインフレ率はピークにはほど遠い直線的な上がり方をしている。
このインフレ率はジェフリー・ガンドラック氏が言うように、今後数ヶ月数字が鈍化する統計的要因がある。
ガンドラック氏: インフレはピーク
だがそれはあくまで統計的要因であり、今後数ヶ月のインフレ鈍化で中央銀行が引き締めを躊躇すれば、それは長期的にはより酷いインフレへと繋がってゆくだろう。
結論
実際にはインフレ率が落ち着くのは(もし落ち着くとすればだが)今年中は無理であり、来年ということになるだろう。
それはつまり来年までは株価が下落しても金融引き締めが止まらない期間が続くということである。株式市場は地獄絵図となるだろう。
大底までの下落幅は1970年代の50%が大まかな目標水準である。しかしドル建てで米国株に投資している日本の投資家には、そこに更にドルの下落分が加算されることを指摘しておきたい。
世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
年始から散々警告していたので、ここの読者は株安を避けられたはずである。この株安は専門家には明らかだったので、著名投資家は皆同じことを言っている。
世界最大のヘッジファンド、アメリカ経済がもう手遅れであることを認める
ガンドラック氏: アメリカ金融引き締めでソフトランディングは無理
まだ株を持っている人は、幸運を祈りたい。何度も警告したので、筆者に出来ることはそれくらいである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24209
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