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(回答先: アメリカはタックスヘイブン 富裕層は税金払わず 投稿者 中川隆 日時 2021 年 6 月 11 日 16:12:30)
日本人技術者の給料がアメリカにボロ負けする訳、トップ級は年収1億円超、巨大IT企業の収益力支える
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https://news.yahoo.co.jp/articles/5cfe685605798393fc5ed459b75033c0ae27348c
アメリカでは、トップ技術者の年収がなぜ1億円を超えるのか?(写真:タカス/PIXTA)
アメリカで、トップクラス技術者の年収は1億円を超える。経営者だけでなく、高度専門家の年収が高いのがアメリカの特徴だ。これが可能になるのは、企業が高度専門家の貢献を評価するからだ。また、付加価値生産性のきわめて高い企業が生まれたからである。
昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第63回。
■グーグルがオファーするエンジニアの最高年収は?
アマゾンが従業員の年収上限を日本円換算で4000万円に引き上げたと報じられた。技術者の引き抜きに対抗する狙いがあるという。
あまりの高額さに言葉を失う。
しかし、これはアメリカでは格別に珍しいこととはいえない。
Levels.fyiという就職情報のサイトがある。ここには、アメリカ企業がオファーしている報酬が、職種やレベルごとに、細かく紹介されている。
それによると、アマゾンの場合、ソフトウェア・エンジニアリング・マネージャーという職種の場合には、最高クラスの年間給与が81.5万ドルになっている。円に換算すれば1億円近くなる。
グーグルのソフトウェア・エンジニアでトップクラスのプリンシパル・エンジニアを見ると102万ドルで、1億1628万円になる。
メタ(旧フェイスブック)でトップクラスの年収を見ると85.1万ドルだ。
アップルのソフトウェア・エンジニアで最高クラスの年収は76.8万ドルだ。
このような状況の中で、4000万円(35.1万ドル)という数字を評価する必要がある。
ただし、注意すべきは、以上で述べた年収の中には、ストックオプションが含まれていることだ。
そして、その比率が高い。例えば上で述べたアマゾンの場合、基本給は16.2万ドルだ。最初に述べたアマゾンが年収上限を4000万円にしたというのは、基本給に関するものである。
したがって2倍以上の引き上げということになる。
ずいぶん思い切った決定のように思えるが、実はそうでもない。
グーグルの場合には、基本給が33万ドルでストックオプションが58万ドルになっているのだ。そしてボーナスが12.3万ドルだ。
33万ドルを円に換算すれば、3762万円になるから、アマゾンがそれに対抗して、基本給の上限を4000万円にしたというのは、うなずける話だ。
われわれ日本人にすると、雲の上の巨人たちの闘いとしか思えないのだが……。
ところで、アメリカの経営者の収入は非常に高額だ。
経営者の年俸が高いのは、アメリカに限ったことではない。日本でも、アメリカほどではないが高い。ゴーン日産会長の年収が極めて高額だったことはよく知られている。
アメリカの特徴は、経営者だけでなく、技術者など高度専門家の給与が高いことにもある。
■平均給与で見ても2000万円を超える産業群
以上は、時代の脚光を浴びている企業の、しかも、特別に所得が高い人たちである。だから、ごく一部の人だけのことだと思われるかもしれない。
しかし、アメリカでは、高度専門家の所得が一般に高い。
アメリカ商務省のデータで見ると、「情報データ処理サービス」部門の2020年の平均給与は18.4万ドル(2100万円)だ。
平均給与が高い部門は、これだけではない。例えば、「証券、商品、投資」は25.4万ドル、「出版(ソフトウェアを含む)」は18.5万ドルだ。これらも、高度な専門家が活躍している分野だ。
アメリカの高度専門家の給与が高いことは、ビジネススクール卒業生の初任給のデータからもうかがうことができる。
ハーバードやスタンフォードなどの有名ビジネススクールでは、卒業した直後の初任給が15万ドル程度だ。つまり、1700万円くらいになる。
それに対して、日本の場合には、大学院生の初任給は男女平均で年306万円だ(厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査の概況」による)。
これは医学部も含む数字だから、それを除けば200万円台だろう。
日本は、専門家を評価せず、彼らに対して相応の報酬を払っていないことがわかる。
■平等に貧しい日本社会
OECD(経済協力開発機構)によると、2020年における賃金は、日本が3.85万ドルでアメリカが6.94万ドルだ。だから、日本はアメリカの6割以下だ。
上で見た専門家の年収や大学院卒の初任給の開きは、これよりずっと大きい。
つまり、平均における日米格差よりも、高度専門家における日米間格差のほうが大きいのだ。
日本では賃金所得はアメリカより平等に分配されており、アメリカの場合には所得の偏りが著しいということになる。だから、これは、分配の問題として捉えることができる。
しかし、それだけではない。
1つは、技術者の専門家としての能力が評価されているかどうかだ。
アメリカでは、転職のマーケットが形成されている。日本では、このようなマーケットはない。ジョブハンティングや個別的な人脈に頼らなければならない。
日米のもう1つの基本的な違いは、アメリカ企業の収益率が高いことだ。
巨大IT企業の収益は非常に高い。それは、専門家の力が実現しているものだ。
例えば、アップルの場合には、つぎのとおりだ(2010年度)。
売り上げから原価を引いた付加価値の総額は、1528億ドルだ。従業員数は15.4万人なので、1人当たりでは99.2万ドルになる。仮にこの6割が人件費だとすると、59.5万ドル。日本円では、6785万円になる。
経営者の報酬などを差し引いたとしても、高級技術者に1人当たり数千万円の年収を支払うことは十分可能だろう。
以上のように給与の数字を並べれば、「人間の幸せは所得で決まるわけではない」との反論があるだろう。
そのとおりだ。「人はパンのみにて生きるにあらず」とは、2000年以上にわたって、(キリスト教徒以外の人々も含めて)人類が認めてきたことだ。所得がなくても心が豊かである人は大勢いる。
しかし、だからといって、社会全体として所得が重要であることを否定するわけにはいかない。
一定の所得は、社会全体が幸せになるための十分条件ではないが、間違いなく必要条件だ。
所得再分配政策を行うにしても、元手がなければ皆が貧しくなるしかない。
■1970年代に逆戻りした日本
私が1960年代の終わりにアメリカに留学したとき、その豊かさに圧倒された。それと同じような状況が、いま再現されつつあるようだ。
これは、平均賃金や1人当たりGDPを見ていては、なかなかわかりにくい。
私たちの世代は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」ともてはやされた時代を経験している。だから、いまの状況はおかしいと感じている。
しかし、時間が経てば、この状態が当たり前だと思う人が増えてしまうかもしれない。
そのようなあきらめムードは、すでに広がりつつあるように思われる。
上のような数字を見ていると、「アメリカと同じように豊かになることなど、逆立ちしてもできるはずはない」と、誰もがあきらめたくなる。
そうしたあきらめが恐ろしい。そして、「人はパンのみにて生きるにあらず」が、それを正当化する安易な論理として使われることが、もっと恐ろしい。
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