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金利上昇で下落するハイテク株、上昇する金融株
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1237.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 10 月 31 日 01:51:00: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 投資初心者が最も失敗するパターン 投稿者 中川隆 日時 2021 年 5 月 09 日 10:59:33)

金利上昇で下落するハイテク株、上昇する金融株
2021年3月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12949

金融市場ではここのところインフレ懸念による金利上昇が話題となっている。低金利に支えられてきた株式市場にとっては金利上昇は一大事なのである。

一方で株式市場をセクターごとに見てゆくとその影響は様々である。今回の記事では高金利の影響をセクターごとに見ていきたい。

高金利で下落するハイテク株

先ずは長期金利のチャートから掲載しよう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-3-19-us-10-year-treasury-yield-chart.png


ここの読者には見慣れたチャートかもしれないが、それでもかなりの上昇率である。

この金利上昇で真っ先に影響を受けたのはこれまで上がってきたハイテク株である。先ずは比較対象として米国の株価指数S&P 500のチャートを掲載しよう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-3-19-s-and-p-500-chart.png


そして次がAmazon.comのチャートである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-3-19-amazon-com-nasdaq-amzn-chart.png


コロナ相場の初期には一番に上がってきたAmazon.comが全体の上昇相場において停滞している。特にここ1ヶ月ほどは金利がかなり高いレベルにまで上がってきたことを投資家が懸念しており、Amazon.comの株価も急落となっている。このトレンドは金利が上昇し続ける限り続く可能性がある。

逆境を予想していたドラッケンミラー氏

ここまで議論してここの読者ならば思い出すことがあるかもしれない。ドラッケンミラー氏がハイテク株に懸念を示しながらもハイテク株のホールドを選択していたことである。

ドラッケンミラー氏、Microsoftの買いを大幅増額
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12305


ドラッケンミラー氏は様々なハイテク株を買っているが、最大ポジションであるMicrosoftのチャートを掲載しよう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-3-19-microsoft-nasdaq-msft-chart.png


銘柄選択の成果かAmazon.comよりは調子が良い。しかし2番目に大きいポジションはそのAmazon.comであり、こちらは下がっている。

ドラッケンミラー氏が次のように言っていたことを思い出したい。

難しい問題だ。これから数年4、5%のインフレが来るとすれば、高成長株が他の株に比べて非常に不利になることは歴史的に考えて異論の余地はない。

しかしコロナ禍におけるリモートワークへのシフトは始まったばかりだとして買いを継続していた。その後ドラッケンミラー氏の予想通り金利が上がり、ハイテク株には試練の時となっている。

高金利で上昇する金融株

一方で株式市場には金利上昇で恩恵を受ける銘柄もある。銀行や保険などの金融株である。

これらの企業は基本的に長期金利から収入を得る。銀行ならば預金者に短期の金利を払いながら預かった預金で長期国債を買って金利収入を得る。保険会社は得た保険料を同じく長期国債などに投資する。

したがって金融株にとっては金利上昇はポジティブなのである。例えば代表的な銀行株であるWells Fargoのチャートを見てみよう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-3-19-wells-fargo-nyse-wfc-chart.png


金利が上がり始めた去年の秋から株価が倍近くになっている。

また保険大手のMetlifeの株価は次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-3-19-metlife-nyse-met-chart.png


銀行株と同様の好調である。

結論

この記事で言いたいことは、一言で金利上昇と言ってもセクターによって反応は様々だということである。高金利が懸念されるとしても株式市場で生き残ることはできる。あるいはその時その時にふさわしい銘柄を見つけていけば、1つの銘柄に賭け続けるよりも大きなリターンを上げることはできるだろう。

一方で、確かに金利上昇は金融株にはプラスなのだが、債券を持っていてもインフレで価値が下がってしまうので皆が債券を売り、結果として金利高になっている状況で、債券の買い手である金融株が株式市場で随一のリターンを上げている状況に危うさも感じる。繰り返すが金融株はリターン(金利)がインフレ分より少ないという理由で皆が投げ売りしているものを買う側なのである。

金融株が現在の株式市場の筆頭セクターであるという状況は、今の株式市場について何かを語っている気がする。少なくともインフレと銀行株上昇が共存する状況は長くは続かないだろう。

世界最大のヘッジファンド: インフレで株式市場が暴落する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12949

世界最大のヘッジファンド: インフレで株式市場が暴落する理由
2020年9月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715

世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏が引き続き1970年代のアメリカのインフレ時代について語っている。

前回の記事ではダリオ氏は、1960年代に経済の弱まったアメリカが紙幣を印刷した結果、1970年代が物価急騰の時代となった様子を説明していた。

世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11685


アメリカの1970年代は先進国でもインフレになるということを証明する意味で経済学的には非常に興味深い。しかしインフレの時代とはどういうものだろうか。デフレに慣れて久しい現代人には遠い記憶ではないだろうか。

インフレの心理

インフレとは紙幣の価値が下がることであり、物価が上がることである。しかし当時の様子がどういうものだったのかは当時もアメリカに住んでウォール街で働いていたダリオ氏の経験を聞くのが良いだろう。ダリオ氏はこう書いている。

わたしはインフレの心理というものをよく覚えている。アメリカ人はこぞって借金をしたがり、給料日になるや否や「インフレに先回りする」ために物品を買い漁った。

1970年代のインフレの時代、人々は物品を買い漁った。しかし豊かにはならなかった。物が不足しているから人々は物を買い漁り、インフレになるからである。

紙幣の価値が暴落する時代には資産価値を保存できる別のものがブームになる。結果、金価格は暴騰した。もう一度当時の金価格チャートを掲載しておこう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715


しかし株価はどうなっただろうか。インフレは1972年から急激に悪化しているが、株価はそれに呼応して下落している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715


インフレとは紙幣の価値が下落することであり、すべてのものの値段が上がることである。しかし株価は下落した。

その理由はダリオ氏による上記の描写を読めばより分かりやすいだろう。当時のアメリカ国民は毎年高くなってゆく生活物資を買い集めることで必死になり、株式など買っている場合ではなくなったのである。インフレの時代にもすべての値段が上昇するわけではないというのは興味深い事実である。

価値が下落しているドル紙幣で換算して株価が半分にまで下落しているということは、実質ベースでは株式の価値はほとんど紙切れになったということである。インフレの第1波が収まり始めた1975年からは株価は一度持ち直した。当時のインフレ率も同じように掲載しておこう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715

しかしインフレ第2波のピークとなる1980年の前後には株式市場は再び激しい値動きを見せることとなる。

ポール・ボルカー議長

1979年、カーター政権の元でポール・ボルカー氏が連邦準備制度の議長に選出された。ボルカー氏はインフレを抑えるために政策金利を20%まで引き上げた。現在では考えられない水準である。ダリオ氏はこう書いている。

金融政策によって引き起こされたインフレ危機に対抗するためにボルカー氏は金融引き締めを行なった。そのため金利はドイツのシュミット首相が「イエス・キリスト以来」と呼んだ水準まで高騰した。

実際、インフレ率は最高でも15%に満たなかったのだから、20%はインフレの時代でもかなりの高金利である。今の金融市場が低金利で支えられていることからも分かる通り、これほどの高金利が株式市場を崩壊させないはずはない。
結果、1980年前後の株式市場はボルカー氏の動きに翻弄されることになる。まずボルカー氏が政策金利をどう動かしたのかを見てみよう。


金利の波は2回来ている。1980年の初めと1981年である。そして株式市場はその2度の波に翻弄されるように2度下落相場を迎えている。


何とも激しい値動きである。しかもこの値動きは毎年10%ものインフレの最中に起こったことを思い出したい。

インフレの結果

このボルカー議長による強烈な金融引き締め政策によってインフレはこの時期にピークを迎えることとなった。しかし結果としてアメリカ経済は短期間に2度の景気後退を迎えており、そのような厳しい政策が政治的代償なしに行えるはずはない。ダリオ氏はこう書いている。

ボルカー氏は役目を果たした。しかしその代償としてカーター大統領は職を失うこととなった。

一方でボルカー氏の金融引き締めがなければドルはそのまま自由落下を続け、アメリカは既に覇権を失っていただろう。

世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10592


紙幣印刷がインフレに繋がるとき、国民はどちらかを選ばなければならないのである。

昨年亡くなったボルカー氏はダリオ氏とも個人的な繋がりがあり、ダリオ氏はボルカー氏のことを次のように評している。

幸いにもわたしはボルカー氏と個人的な交友を築くことができた。彼は偉大な人格者であり、素晴らしい能力と影響力があるにもかかわらず謙虚な人物で、ヒーローと呼べる人物が不足している今の経済界において古典的なヒーローの典型だと言えるだろう。

現代の政治が強烈な景気後退か通貨暴落のどちらかを選ばなければならなくなったとき、どちらを選ぶだろうか。それはそれで見てみたい光景ではあるのである。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10473


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715  

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コメント
1. 2021年11月17日 21:08:13 : iuKUQXlOU6 : VzR3ZWRmakNxVUE=[22] 報告
ジョージ・ソロス氏、インフレトレードを継続 ハイテク株は一部利益確定
2021年11月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17345


前回はレイ・ダリオ氏のBridgewaterを扱ったが、今回はジョージ・ソロス氏のSoros Fund ManagementのForm 13Fである。

世界最大のヘッジファンド、恒大集団危機でも中国株を大幅買い増し
開示された米国株買いポジションの中にはどんな銘柄が含まれているだろうか。

ソロス氏のポートフォリオ

ここの読者にはお馴染みForm 13Fは機関投資家の米国株買いポジションを開示するものであり、今回は9月末のデータとなる。

ジョージ・ソロス氏のファンド(現在はドーン・フィッツパトリック女史が主に運用している)が前回6月末の開示でインフレ対策の銘柄を買っていたことを思い出したい。

ジョージ・ソロス氏も米国株買い増し ビットコインで大儲けか
その銘柄はアメリカの不動産ディベロッパーD. R. Hortonで、ポジションの規模は3.9億ドルだった。アメリカの物価高騰の原因は脱炭素による化石燃料の高騰と、コロナ対策の景気刺激策による住宅価格の高騰である。

ソロスファンドCEO: ESGはエネルギー価格を高騰させる
不動産ディベロッパーへの投資は後者の流れに乗るためのものである。

今回の開示ではD. R. Hortonのポジションは3.6億ドルに減少している。しかしこれは9月末に株価が下がっていたためで、株数を見ればむしろ増加している。下落したところで買い増したということである。

その結果はどうなったか? D. R. Hortonの株価チャートは次のようになっている。


9月末はまさに底だったようだ。ビットコインを見事に底値買いしたフィッツパトリック氏の手腕は健在のようである。

ソロスファンドCEO: ビットコインはメインストリームの資産になった
インフレでIT株を減額

一方でポジションを減額されているのがハイテク銘柄である。Amazon.comは3.3億ドルから3.0億ドル、Googleの親会社Alphabetは1.7億ドルから1.6億ドルにそれぞれ減らされている。

Amazon.comの株価は以下のように推移している。


Alphabetは以下の通りである。


どちらも動きは悪くない。では何故減額されたのか? それは恐らくインフレを警戒したためだろう。

インフレとは今後数パーセントずつ現金の価値が減価してゆくことで、毎年同じ割合で減価してゆけばその減少率は来年よりも10年後の方が大きい。ハイテク株を含む高成長株のバリュエーションは比較的遠い未来に入ってくる現金に依存しているので、インフレの影響を普通の株より大きく受けるのである。

ソロスファンドは株式市場にやや弱気か

以上、Soros Fund Managementのポートフォリオを概観した。総体としてやはりインフレを警戒したポートフォリオとなっており、Form 13Fに報告されているポジション総額も59億ドルから54億ドルに減額されている。CEOのフィッツパトリック氏の相場観通りのポートフォリオという感じである。

ソロスファンドCEO、株式の利益確定を奨める
一方でソロス氏の弟子であり、フィッツパトリック氏の先輩にあたるスタンリー・ドラッケンミラー氏は真逆のポジションを取っている。また別に記事を書くので楽しみにしてもらいたい。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17345

2. 2022年1月18日 10:54:54 : 3ECNedPwGs : RnhEczdWSW94cW8=[15] 報告
金利上昇で高騰する銀行株の買い時・売り時を解説!
2022/01/14




金利上昇で高騰「銀行株」は買いか売りかホールドか?日本特有の値動きを考慮したトレード戦略=栫井駿介
2022年1月18日
https://www.mag2.com/p/money/1148067


金利上昇で株価が上がっている銀行株について、主にファンダメンタルズの方面から詳しく分析します。銀行株を持っている、またはこれから買おうとしている場合、どのような行動を取るべきでしょうか?(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)


銀行の利益はどこから?
アメリカの長期金利が上昇していて、2021年末には1.5%ほどだったものが2022年に入ると一時は1.8%を超えるまでになりました。

米国国債10年 日足(SBI証券提供)

これを受けて、「金利の上昇と言えば銀行株」ということで銀行株の株価が上昇しています。

220118_kakoi_1

しかし、PERを見てみるとまだかなり低い水準となっています。

株価が上昇しているのにPERは割安なので、まだ買えるのではないかと思えてしまいますが、果たして本当にそうなのでしょうか。



まず、銀行のビジネスモデルを簡単に説明します。

銀行は、人々からの預金を企業に貸し出したり有価証券で運用したりします。

220118_kakoi_2

企業に貸し出して回収するときの利息から、人々からの預金に付く利息を差し引いたものが利ざやとなり、そこから人件費などのコストを引いたものが最終的な銀行の利益となります。(図は預金利息を0.1%、企業への貸出利息を2.0%と仮定したもの)

このように銀行のビジネスモデルは非常に単純なものとなっています。



企業に貸し出す金利は市場金利+αという形で決まるので、市場金利が上昇すれば企業への貸出金利も上がることになります。

よって、【金利の上昇=銀行株の上昇】という連想が生まれるのです。


日本の金利は上がらない!?
では、アメリカの金利が上がったからと言って日本の金利も上がるのかというところです。

短期的に見ると、確かにある程度の連動性はあります。



日本の10年利回り国債金利も今年に入って大きく上がっています。

日本国債10年 日足(SBI証券提供)
日本国債10年 日足(SBI証券提供)

そもそもなぜアメリカが金利を上げようとしているかというと、最大の理由はインフレの抑制のためです。

これはアメリカのCPI(消費者物価指数)の推移です。

米国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス
米国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス

物流の混乱や生産者の不足などでものの価格が上がっているところにさらに金融緩和でお金をばらまいていて、物価の上昇に拍車がかかっています。



2021年12月にはなんと7%も価格が上昇しました。

これが続くと、低所得者層や年金生活者は苦しくなってしまうので、これを抑えるために金利を引き上げて物価を下げるという動きを行わなければなりません。

ところが、今の日本のCPIはこのようになっています。

全国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス
全国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス

確かに物価は上がっていますが、数字を見ると、0.6%に過ぎません。

アメリカの7%に対して0.6%なので、大して上がっていないというのが正直なところです。

日本も物価が上がり始めてはいますが、これは金融緩和によるものではなく、物流費や原油価格の上昇によるいわゆる“コストプッシュ型”のインフレなので、利上げを行ったところで物価にはさほど影響がないということになります。

国内情勢だけを見ると、日本は金利を上げる必要は必ずしもありません。

しかし、アメリカの金利に合わせて上げなければならないケースもあります。

アメリカの金利が上がると、自国で運用するよりアメリカに持って行って運用するほうが利益が出るということになるので、世界中からアメリカにお金が集まる、つまりドルが買われ、ドル高となります。

円安ドル高となってしまうと輸入物価が上昇してしまうので、それを抑えるために利上げを行ってアメリカに流れてしまったお金を引き戻さなければならないという側面があります。

一方で、日本には輸出企業が多く、円安になると海外競争力があがるので、円安はどちらかというと歓迎される向きがあります。

したがって、円安になったからと言ってそう簡単に利上げを行うかというと必ずしもそうではありません。

また、ドル/円のレートを見ても、今は1ドル=115円といったところで、過去と比べてもそこまで円安の状況ではありません。

米ドル/円 月足(SBI証券提供)


【関連】1ドル130円超に備えよ。日銀が円安を放置する3つの理由とは?逆風・追い風が吹く企業も解説=栫井駿介
https://www.mag2.com/p/money/1127780


この間も日本の政策金利はほぼゼロでしたから、それでもそこまで円安になっていないので、日本はそう簡単に金利を上げないのではないかというのが私の考えです。


銀行の業績と金利の関係
しかしながら、メカニズムとしてはアメリカの金利が上がれば日本の金利も上がりやすいというところがあるので、仮に日本の金利が上がった時のことを考えてみましょう。

三菱UFJフィナンシャルグループを例に、金利と業績の関係を見てみます。



220118_kakoi_5

直近10年で、日本の金利は右肩下がりとなっていて、1%あったものがほぼゼロというところになっています。

しかし、1株当たりの利益は横ばいで、業績(株価)もほぼ横ばいとなっています。

長期的に見ると、金利と業績はあまり連動していないという結論がここから導き出せます。

したがって、今、金利の上昇で銀行株が上がっていますが、そんなに長くは続かないのではないか、という仮説が立てられるわけです。



では、金利と業績がなぜ連動しないのかということを考えてみます。

1つ目の仮説として、1%以下の微々たる金利変動では業績にそれほど影響は与えないのではないかというものです。

金利に対する業績の感応度はそれほど高くないということです。

逆に言えば、金利が2%3%と大きく上がっていくようであれば業績(株価)にも影響が出る可能性があると考えます。

2つ目の仮説は、銀行の利益の本質は「長短金利差」なのではないかということです。

先ほどは銀行の利益は運用金利(企業への貸出金利)から調達金利(預金利息)を引いたものと言いましたが、運用金利が上がる時には同時に調達金利も上がることになるので、単純に金利が上がったからと言って利益が増えるというわけではありません。

これは「イールドカーブ」と呼ばれるもので、金利とその償却期間の相関関係を表したものです。

220118_kakoi_6

期間が長くなるほど金利が上がっています。

預金者には6ヶ月や1年など比較的短い期間で利息を払い、企業には3年・5年といった長い期間で貸し出し、その金利の差が銀行の利益となります。

この長期と短期の金利差が大きくならないと銀行の利益は上がらないということになります。

イールドカーブの傾きが上がった時(スティープ化)、初めて銀行の利益が上がります。

しかし、長い期間で貸し出すと当然リスクも大きくなるので、今日本の銀行はそのリスクを下げようとして貸出期間を短くするという動きをしています。(レギュレーションの短期化)

それによって、この長短金利差の恩恵をあまり受けられなくなっているのです。

3つ目の仮説として、オーバーバンキングによる金利競争というものがあります。

実は今、預金量自体はどんどん増えています。

しかし、それを貸し出す先が無いのです。

国債で運用してもそれこそ金利がゼロに近いですから、できれば安定的に金利を払ってくれる優良企業に貸したいところですが、企業の方にも資金需要があまり無く、仮に借りたい企業があったとしても、貸したい銀行がたくさんあるので、より金利が低い銀行から借りようとし、どんどん金利が引き下がることになります。



長期金利とは直接関係なく、銀行は利益を得にくくなっているところです。

以上のことから、短期的な株価を見れば、金利が上がれば銀行株が上がりやすい側面がありますが、長期的に見ると、株価が上がり続けるためのベースとなる業績は簡単には上がらないということが言えます。


売る?買う?ホールド?銀行株の扱い方
結論としてはこうなります。

1. 国内金利が米国と連動して上がるかどうかは不透明
2. 国内金利が上昇したとして、過去10年の業績・株価の連動性は低い
3. 上昇基調の継続あるいはイールドカーブの鋭化があれば、長期的な株価の伸びも期待できる
(3)に関しては、金利やイールドカーブの状況によるので、事前に予測するのはなかなか難しいと思われます。



これを受けて、投資家はどのように動くべきか、私から提案させていただきます。

割安感もあり、既に銀行株を保有しているなら、もう利確のタイミングを探っても良いのではないかと思います。

このグラフを見れば分かるように、株価はボックス圏で、上がったり下がったりを繰り返しています。

(SBI証券提供)
(SBI証券提供)

なぜこのような動きをするかというと、銀行に成長性が見込まれておらず、上がったら早めに売ろうと考えている投資家が多いからです。



これから右肩上がりで上昇し続けることは、よほど金利が上がり続けたり長短金利差が広がり続けない限り、難しいと思われます。

したがって、ここまで上がればラッキーと思っていったん売るということを検討するべきだと思います。

配当目的で保有しているのなら、配当利回りは4%くらいあり、配当としては手堅いので、そのまま持ち続けても良いと思います。

1つの方法として、先ほども示した通り株価はボックス圏で動いているので、上がった時に売って下がったら買いなおすというのも配当株の買い方としておすすめです。

今、上昇しているのでこれから買おうとしている方も多いと思います。

確かにこの上昇トレンドでPERも低いので、上昇がしばらく続く可能性も大いにあります。

しかし、やはり成長性は厳しいですから、どこかで下げに転じることが考えられます。

今から買ってすっと放置というわけではなく、どこで売るかを意識したうえでエントリーするべきだと考えます。

まとめ
1. 割安感で保有していた人 → 利確のタイミングを探る
2. 配当目的で保有していた人 → 基本保有継続だが利確もアリ
3. これから買おうと思っている人 → まだ悪くないかもしれないが、売りどきは意識
3. 中川隆[-13822] koaQ7Jey 2022年2月07日 10:20:24 : oCqatUkqPM : VzByNlhuRTcyRkE=[33] 報告
長期金利とテーパリングの関係
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1097.html
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1127.html

単なる景気後退なら長短金利差はゼロになるが、スタグフレーションなら長短金利差はマイナスとなる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1484.html

金利上昇で下落するハイテク株、上昇する金融株
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1237.html

金利が上昇すると特に成長株の株価が下がる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1451.html

米金利上昇でドル高・円安というのは市場の投機的な動きであり、長期的なトレンドを形成するものではない
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1239.html

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