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(回答先: 投資初心者が最も失敗するパターン 投稿者 中川隆 日時 2021 年 5 月 09 日 10:59:33)
金利上昇で下落するハイテク株、上昇する金融株
2021年3月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12949
金融市場ではここのところインフレ懸念による金利上昇が話題となっている。低金利に支えられてきた株式市場にとっては金利上昇は一大事なのである。
一方で株式市場をセクターごとに見てゆくとその影響は様々である。今回の記事では高金利の影響をセクターごとに見ていきたい。
高金利で下落するハイテク株
先ずは長期金利のチャートから掲載しよう。
ここの読者には見慣れたチャートかもしれないが、それでもかなりの上昇率である。
この金利上昇で真っ先に影響を受けたのはこれまで上がってきたハイテク株である。先ずは比較対象として米国の株価指数S&P 500のチャートを掲載しよう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-3-19-s-and-p-500-chart.png
そして次がAmazon.comのチャートである。
コロナ相場の初期には一番に上がってきたAmazon.comが全体の上昇相場において停滞している。特にここ1ヶ月ほどは金利がかなり高いレベルにまで上がってきたことを投資家が懸念しており、Amazon.comの株価も急落となっている。このトレンドは金利が上昇し続ける限り続く可能性がある。
逆境を予想していたドラッケンミラー氏
ここまで議論してここの読者ならば思い出すことがあるかもしれない。ドラッケンミラー氏がハイテク株に懸念を示しながらもハイテク株のホールドを選択していたことである。
ドラッケンミラー氏、Microsoftの買いを大幅増額
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12305
ドラッケンミラー氏は様々なハイテク株を買っているが、最大ポジションであるMicrosoftのチャートを掲載しよう。
銘柄選択の成果かAmazon.comよりは調子が良い。しかし2番目に大きいポジションはそのAmazon.comであり、こちらは下がっている。
ドラッケンミラー氏が次のように言っていたことを思い出したい。
難しい問題だ。これから数年4、5%のインフレが来るとすれば、高成長株が他の株に比べて非常に不利になることは歴史的に考えて異論の余地はない。
しかしコロナ禍におけるリモートワークへのシフトは始まったばかりだとして買いを継続していた。その後ドラッケンミラー氏の予想通り金利が上がり、ハイテク株には試練の時となっている。
高金利で上昇する金融株
一方で株式市場には金利上昇で恩恵を受ける銘柄もある。銀行や保険などの金融株である。
これらの企業は基本的に長期金利から収入を得る。銀行ならば預金者に短期の金利を払いながら預かった預金で長期国債を買って金利収入を得る。保険会社は得た保険料を同じく長期国債などに投資する。
したがって金融株にとっては金利上昇はポジティブなのである。例えば代表的な銀行株であるWells Fargoのチャートを見てみよう。
金利が上がり始めた去年の秋から株価が倍近くになっている。
また保険大手のMetlifeの株価は次のようになっている。
銀行株と同様の好調である。
結論
この記事で言いたいことは、一言で金利上昇と言ってもセクターによって反応は様々だということである。高金利が懸念されるとしても株式市場で生き残ることはできる。あるいはその時その時にふさわしい銘柄を見つけていけば、1つの銘柄に賭け続けるよりも大きなリターンを上げることはできるだろう。
一方で、確かに金利上昇は金融株にはプラスなのだが、債券を持っていてもインフレで価値が下がってしまうので皆が債券を売り、結果として金利高になっている状況で、債券の買い手である金融株が株式市場で随一のリターンを上げている状況に危うさも感じる。繰り返すが金融株はリターン(金利)がインフレ分より少ないという理由で皆が投げ売りしているものを買う側なのである。
金融株が現在の株式市場の筆頭セクターであるという状況は、今の株式市場について何かを語っている気がする。少なくともインフレと銀行株上昇が共存する状況は長くは続かないだろう。
世界最大のヘッジファンド: インフレで株式市場が暴落する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12949
世界最大のヘッジファンド: インフレで株式市場が暴落する理由
2020年9月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715
世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏が引き続き1970年代のアメリカのインフレ時代について語っている。
前回の記事ではダリオ氏は、1960年代に経済の弱まったアメリカが紙幣を印刷した結果、1970年代が物価急騰の時代となった様子を説明していた。
世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11685
アメリカの1970年代は先進国でもインフレになるということを証明する意味で経済学的には非常に興味深い。しかしインフレの時代とはどういうものだろうか。デフレに慣れて久しい現代人には遠い記憶ではないだろうか。
インフレの心理
インフレとは紙幣の価値が下がることであり、物価が上がることである。しかし当時の様子がどういうものだったのかは当時もアメリカに住んでウォール街で働いていたダリオ氏の経験を聞くのが良いだろう。ダリオ氏はこう書いている。
わたしはインフレの心理というものをよく覚えている。アメリカ人はこぞって借金をしたがり、給料日になるや否や「インフレに先回りする」ために物品を買い漁った。
1970年代のインフレの時代、人々は物品を買い漁った。しかし豊かにはならなかった。物が不足しているから人々は物を買い漁り、インフレになるからである。
紙幣の価値が暴落する時代には資産価値を保存できる別のものがブームになる。結果、金価格は暴騰した。もう一度当時の金価格チャートを掲載しておこう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715
しかし株価はどうなっただろうか。インフレは1972年から急激に悪化しているが、株価はそれに呼応して下落している。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715
インフレとは紙幣の価値が下落することであり、すべてのものの値段が上がることである。しかし株価は下落した。
その理由はダリオ氏による上記の描写を読めばより分かりやすいだろう。当時のアメリカ国民は毎年高くなってゆく生活物資を買い集めることで必死になり、株式など買っている場合ではなくなったのである。インフレの時代にもすべての値段が上昇するわけではないというのは興味深い事実である。
価値が下落しているドル紙幣で換算して株価が半分にまで下落しているということは、実質ベースでは株式の価値はほとんど紙切れになったということである。インフレの第1波が収まり始めた1975年からは株価は一度持ち直した。当時のインフレ率も同じように掲載しておこう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715
しかしインフレ第2波のピークとなる1980年の前後には株式市場は再び激しい値動きを見せることとなる。
ポール・ボルカー議長
1979年、カーター政権の元でポール・ボルカー氏が連邦準備制度の議長に選出された。ボルカー氏はインフレを抑えるために政策金利を20%まで引き上げた。現在では考えられない水準である。ダリオ氏はこう書いている。
金融政策によって引き起こされたインフレ危機に対抗するためにボルカー氏は金融引き締めを行なった。そのため金利はドイツのシュミット首相が「イエス・キリスト以来」と呼んだ水準まで高騰した。
実際、インフレ率は最高でも15%に満たなかったのだから、20%はインフレの時代でもかなりの高金利である。今の金融市場が低金利で支えられていることからも分かる通り、これほどの高金利が株式市場を崩壊させないはずはない。
結果、1980年前後の株式市場はボルカー氏の動きに翻弄されることになる。まずボルカー氏が政策金利をどう動かしたのかを見てみよう。
金利の波は2回来ている。1980年の初めと1981年である。そして株式市場はその2度の波に翻弄されるように2度下落相場を迎えている。
何とも激しい値動きである。しかもこの値動きは毎年10%ものインフレの最中に起こったことを思い出したい。
インフレの結果
このボルカー議長による強烈な金融引き締め政策によってインフレはこの時期にピークを迎えることとなった。しかし結果としてアメリカ経済は短期間に2度の景気後退を迎えており、そのような厳しい政策が政治的代償なしに行えるはずはない。ダリオ氏はこう書いている。
ボルカー氏は役目を果たした。しかしその代償としてカーター大統領は職を失うこととなった。
一方でボルカー氏の金融引き締めがなければドルはそのまま自由落下を続け、アメリカは既に覇権を失っていただろう。
世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10592
紙幣印刷がインフレに繋がるとき、国民はどちらかを選ばなければならないのである。
昨年亡くなったボルカー氏はダリオ氏とも個人的な繋がりがあり、ダリオ氏はボルカー氏のことを次のように評している。
幸いにもわたしはボルカー氏と個人的な交友を築くことができた。彼は偉大な人格者であり、素晴らしい能力と影響力があるにもかかわらず謙虚な人物で、ヒーローと呼べる人物が不足している今の経済界において古典的なヒーローの典型だと言えるだろう。
現代の政治が強烈な景気後退か通貨暴落のどちらかを選ばなければならなくなったとき、どちらを選ぶだろうか。それはそれで見てみたい光景ではあるのである。
世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10473
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715
- 金利が上昇すると特に成長株の株価が下がる 中川隆 2022/1/23 15:50:59
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