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なぜバフェットは航空・銀行株を売却した?コロナ共生で起こる「例外なし」の業界再編
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/931.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 6 月 04 日 20:23:10: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 1929年と現在の株価がそっくりな件 IMFが重大声明 世界恐慌以来の経済危機 新型ウイルスで170カ国に打撃 投稿者 中川隆 日時 2020 年 4 月 13 日 11:36:19)

なぜバフェットは航空・銀行株を売却した?コロナ共生で起こる「例外なし」の業界再編=俣野成敏
2020年6月4日
https://www.mag2.com/p/money/926441

緊急事態宣言が解除され、ようやく経済が動き出しました。金融のプロはこの先をどう見ているのか?それは天才投資家バフェットが売却した株からも垣間見えます。

1. 緊急事態宣言が解除され、動き出した“経済”
今回は「最新の世界金融事情」特集の続編をお送りします。本特集は「金融のプロは世の中をどう見ているのか?」をテーマに、先月の世の中の動きを俯瞰してみよう、というものです。

ぜひ、ご一緒に「今、世界では何が起きているのか?」「それが私たちの生活にどのような影響を与えるのか?」を考えてみることにしましょう。

本日も、金融事情に詳しい大前雅夫さんをゲストにお呼びしています。大前さんは、当メルマガの金融情報監修をして下さっているFAN GLOBALSOLUTION PTE. LTD.のCEOにして、外国為替、金融商品の専門家でいらっしゃいます。

プロフィール:大前雅夫(おおまえ まさお)
高校、大学時代をアメリカで過ごし、金融業界に就職。HSBC(香港上海銀行)東京支店勤務後、HSBC香港本店では、日本人初のチーフトレーダーに就任。その後、モルガン・スタンレー社、バークレーズ銀行などを経て独立。2012年よりオオマエ・キャピタル・マネジメント社を設立。シンガポール通貨庁に登録し、ファンド業務を行う。現在、セカンドキャリアとして資産形成や金融教育を支援するためのFANを主宰し、シンガポールを中心に自身の経験を活かした講演活動等を行っている(以下、本文中について、名前が出てこない限り同一話者、敬称略)。

ポイント:「バフェット氏がインフラ産業の株を売ったワケとは」

俣野:それでは大前さん、本日もよろしくお願いします。日本では、5月25日に緊急事態宣言が全面解除となりました。まずは、先月1ヶ月の動きからお願いします。

大前:はい。先月は、アメリカを始めとする各国中央銀行の大規模な金融緩和が功を奏し、株式市場が値を戻す展開となりました。2月以降、導入されていた経済活動や行動の制限が、相次いで縮小・解除される動きも広がったことから、市場では一時期、「最悪期は脱した」という楽観論が多勢を占めました。

新型コロナウイルスとの闘いが決して終わったわけではないのですが、これは人々の心理的な開放感が、市場にも表れたのだと思います。

俣野:ワクチンが早期に開発されるのではないか、という期待感もありました。まさに、市場は人々の心情を映す鏡なんですね。

しかし、ここへきて世界の秩序が揺らぐ事態が相次いでいます。5月14日には、世界貿易機関(WTO)のアゼベド事務局長が8月末で辞任する意向を表明。5月22日から中国で始まった全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、香港国家安全法の制定方針が採択されました。

5月30日、アメリカでは白人警官が黒人を暴行、死亡させたことが発端となった抗議活動が50都市に拡大。中南米では、新型コロナウイルスの感染が本格化し深刻な被害が出るなど、混乱が世界に波及しています。

これらの問題の中から、今回は当メルマガの後半で、アメリカと中国の関係について、詳しくお話をお伺いしたいと思います。

まず、もっとも気になるのは、私たちにとって身近な実体経済についてです。現状をご覧になって、いかがでしょうか。

大前:現在、各国それぞれ対策が打ち出されていますが、アメリカについては、1,200ドルの現金給付と、失業保険以外の補助金の期限が、だいたい7月末までになっています。
もちろん、これでは到底足りません。11月にアメリカ大統領選が行われることを考えれば、おそらく年末くらいまでは延長されるでしょう。

実体経済については、アメリカの事例をもとに考えてみたいと思います。

アメリカで空きオフィスが急増中

大前:私は先日、アメリカ・ニューヨークの不動産屋と電話で話をしたんですが、「かなりの物件に、空きが出始めている」と話していました。特にオフィス物件です。
私は、不動産屋に対して「ソーシャル・ディスタンスで、今までの倍以上のスペースを空けるとなったら、同じ人数の社員をオフィスに戻すのに、これまでの倍以上の大きさのオフィスが必要になりますよね?」と質問してみました。これに対する返事は、「企業には、それだけの広さのオフィスを借りるお金がないから、従業員にはテレワークをしてもらう流れになっている」というものでした。

今、多くのアメリカ企業で始まっているのが、従業員にテレワーク手当のようなものを支給することで、自宅で仕事をしてもらうように促すことです。その手当を、仕事中に使う通信費や、もう1部屋借りる費用に充ててもらおう、というわけです。

かつては、マンハッタンの郊外から、毎日、中心部へ地下鉄で通勤するのが、ニューヨークっ子の一種のステータスでした。ところが、新型コロナウイルスの影響で、多くの浮浪者が行き場を失った結果、地下鉄にたむろするようになり、クラスターの発生要因となりました。これによって、“マンハッタン通勤”というプレミアムが、剥がれてしまったのです。

不動産屋の話によると、「今、ニューヨークでは、マンハッタン郊外の部屋数の多い物件への需要が増えている」そうです。これは以後、東京や大阪でも起こる現象だと思います。

俣野:地方への回帰が進む、ということですね。現在、日本でも矢継ぎ早に景気対策が打ち出されているところですが。
日本株は夏場まで好調か。ただし実態経済は…

大前:日銀の黒田東彦総裁が、「できることは何でもする」とおっしゃっているように、金融市場に関して「日銀の資産購入がどこまで実行されていくのか?」が注目されるところではあります。株式市場は、とりあえず夏場くらいまではポジティブな反応が期待できるのではないでしょうか。

しかし、日本の実体経済はひどい状態だと思います。今はまだ表面化していませんが、2月、3月、4月……と徐々に悪くなって、これまではしのいでいた人たちも苦しくなっていく状況が、7月、8月くらいから出始めるでしょう。

仮に、経済が昨年末の状態にまで回復したとしても、すべての産業やサービスが戻ってくるわけではありません。これから冬にかけて、業界の選別、淘汰が進んでいくことになります。

俣野:その中の一つが、航空業界です。先日、世界三大投資家の1人と言われるウォーレン・バフェット氏が、航空業界の株式をすべて売却し、ニュースになっていました。これについては、どう思われますか?


バフェットがお気に入り銘柄まで手放し始めた

大前:バフェット氏が今回、売却したのは、手持ちのアメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空、サウスウエスト航空の4社です。2月にデルタ航空を買い増しした時には、新型コロナウイルスの影響がここまで大きくなることを、予想していなかったことがわかります。

航空株は、バフェット氏のお気に入り銘柄でしたから、株主総会で質問が集中したのも無理はないでしょう。しかし、冷静に考えれば、バフェット氏がこのような行動に出るのは当然だと思います。

やはり、キーワードはソーシャル・ディスタンスです。以後、飛行機はスペースを空けて搭乗することが必須の情勢ですから、これまでの3分の1ほどの人員しか運べなくなります。その状態でフル稼働になったとしても、収益がこれまでの3分の1になれば、経営的にかなり厳しくなります。

これまでにも航空業界では、破綻や合併がしばしば起きてきましたが、今後はインフラ産業として、国が関与をしていかなければ立ちいかなくなるところが多いでしょう。当然、航空機のメーカーや、部品メーカーなどにも影響が及びます。

航空業界の収益率に、もう一つ大きく影響してくるのが原油価格です。

本来であれば現在の原油安はプラスに働くはずですが、航空業界は、どこも先物市場で原油を調達しています。こうすることによって、価格変動の影響を受けにくくするはずが、かえって高い価格で買い付けを行うこととなりました。

結果的に、今回の原油安のメリットを、彼らはまったく享受できていません。これらは、すべてチケットの価格に跳ね返ってきます。チケット価格が上昇すれば、さらに利用者が少なくなる、という悪循環が続くことになります。まず、LCC(格安航空会社)から撤退が相次ぐでしょう。

こうした状況を考え合わせると、バフェット氏が「航空会社の株は、実は一番持っていてはいけない株だったんじゃないか?」という判断をされたのも、ムリはないと思います。
もちろん今後、見通しが変われば、買い戻す可能性も十分、ありますが。

ゴールドマン・サックスの株まで売却

個人的には、バフェット氏がゴールドマン・サックスの株を売ったことに注目しています。両者の関係は、2008年のリーマン・ショックの際に、氏が同社に救いの手を差し伸べたことから始まりました。

今回の売却は、氏が「今後、金融業界の収益は低迷する」と判断してのことと推測されます。各国が行っているマイナス金利政策などの影響で、「低金利になることは避けられない。銀行の収益は圧迫される」と考えてのことでしょう。

俣野:これまで磐石と思われていた業界も、再編を迫られることになるのは間違いないですね。

結論:「以後、あらゆる業界で大変革が起こり、例外はない」

2. 表面化するアメリカと中国の対立

俣野:ところで、ここへきて、中国とアメリカの対立が抜き差しならないものになってきていますね。

5月22日、中国では、新型コロナウイルスによって遅れていた全人代が開幕。始まる前日の21日夜、中国政府が香港国家安全法を採択する旨を発表し、世界を震撼させました。
香港は昨年、逃亡犯条例の改正に大勢の市民が反対し、大規模なデモに発展。業を煮やした中国政府は今回、香港基本法18条の例外規定に、香港国家安全法を追加する形で、本法の制定を採択しました。早ければ、今夏より施行する見通しです。

香港返還時に「50年は堅持する」と言っていた一国二制度を、このタイミングで中国が反故にするというのは、やはり新型コロナウイルスが関係しているのでしょうか。
大前:通常、全人代は3月に行われますが、コロナで延期されていたので今になった、と見ることもできます。しかし中国の内情を見てみると――  

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